【詩の書き方 22】
カンボリオ家の息子で孫の
アントニオ・トーレス・エレディアは、
五つの三角帽子にかこまれて、
柳の小枝を持たずに来る。
(ロルカ『セビーリャの道でアントニート・エル・カンボリオの捕縛』)
「柳の小枝を持たずに」とわざわざ書いておくことによって
「柳の小枝を持った」状態をも同時に想起させる量子論的幻惑。
文章の技巧以外でこのような効果を生みだせるだろうか。
「たとえその午後の母などよりは、もっともっとこうした喧嘩向きの訓練を受けていた母だったとしても、結果はおそらく同じだったろう。」(ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』)
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