電子伝達系とATP合成
こんにちは小林です。
今回は”電子伝達系”についての記事になります。
ATP合成経路の一角を担うものになります。
ではさっそく。
電子伝達系
生物がATPをつくりだす一連の代謝の最終段階になります。
クエン酸回路(酸化的脱炭素反応)によって生じたNADH・FADH₂(電子が付いた補酵素)を元にATPを作る機構になります。
クエン酸回路については下記記事をご覧ください。
NAD・FADは電子を輸送するトラックのようなもの。というのは前回のお話に出てきた通りです。
NAD・FADに結びついている水素イオン(H)がATPを生み出すトリガーになります。
電子伝達系の中身
電子伝達系はミトコンドリア内膜に存在します。
ミトコンドリアは二重構造ですので外膜も存在し、内膜と外膜の間を膜管空、内膜より内側をマトリックスと呼びます。
電子伝達系の構成要素
大まかに分け5つの要素で構成されておりそれぞれ
電子伝達系複合体Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
ATP合成酵素(上記画像Ⅴ)と呼ばれています。
ATP合成までの流れ
NADHver.
NADHが電子伝達系複合体Ⅰに水素イオンを受け渡します。
Ⅰから4つの水素イオンが放出されます(通称:プロトン)
受け渡された電子(水素イオン)は”ユビキノンQ”によってⅢに運搬され
Ⅲでも4つの水素イオンが放出されます。
更に”シトクロムC”(ヘムタンパク質)によってⅢからⅣに電子(水素イオン)が運搬され、Ⅳでも水素イオンが2つ放出されます。
プロトンは膜管空に放出され、外膜に近いほどプロトン濃度は高くなります。濃度を一定に保つ為、プロトンはATP合成酵素(Ⅴ)を通り内膜に戻ります。(プロトン濃度勾配)
プロトンが戻ってきた時のエネルギーを用いてATPが合成されます
FADH₂ver.
FADH₂は複合体ⅠではなくⅡから入ってきます。
Ⅱではプロトンを放出せず”ユビキノンQ”によってⅢに運ばれプロトンを4つ放出します。
ⅢからⅣに”シトクロムC”により運搬されプロトンを2つ放出します。
放出された水素イオン(通称:プロトン)は酸素(O₂)に受け渡され水(H₂O)になります。
簡潔にまとめると
NADHやFADH₂が
水素イオンを酸素に受け渡しATPを合成する機構=電子伝達系
と言えます。
ここまで出てきた言葉を振り返りましょう。
ユビキノンQ
還元型コエンザイムQ10から成るものです。
サプリでよく目にすると思います。
シトクロムC
ヘムタンパク質(鉄+タンパク質)になります。
鉄は偉大です。
ここまでは電子伝達系とは何か、そこに付随する用語を説明させて頂きました。これから先はマイナスの相互作用を及ぼす栄養素について触れていきますので、ご興味ありましたら最後まで目を通して頂けると幸いです。
カプサイシン
唐辛子等に含まれる辛みの主成分
ロテノン
殺虫剤、農薬に使用される成分
アミタール
睡眠薬、鎮静剤に含まれる物質
上記がミトコンドリアに多く存在すると※複合体Ⅰ酵素を阻害する可能性があります。※NADHユビキノンレターゼ
ワーファリン
血液凝固を防ぐ薬などに含まれています。
コエンザイムQ10との摂取でワーファリンの効果が抑制されます。
電子伝達系の不活性につながる要素
ミトコンドリアの酸化やミトコンドリア内のpH酸性化(本来のpHは中性もしくは弱アルカリ性)などが挙げられます。
この辺の対策については後日、記事にしたいと思います。
最後までご覧いただき有難うございます。
次回も宜しくお願い致します。