Azoop=スタートアップの営業現場を赤裸々に書いてみる(その1)

こんにちは、Azoop小林です。
前回CTOの庄司さんが、1人目のエンジニアがスタートアップでどう動くといいのかについて書いていました。今回は、スタートアップとしてのAzoopの営業現場について書いてみます。


スタートアップという言葉

スタートアップという言葉は、Wikipediaによると、

新しく設立された会社のこと。
特に、新規事業領域を開拓する会社のこと。ベンチャー。

だそうです。
「新しく設立された会社が、特に新規事業領域を開拓する」わけで、営業現場でもそれなりに様々な悩みや課題があって、右往左往(仮説検証)したりします。
Azoopも、もれなく右往左往(仮説検証)してきました(今でもしてるかも)。私が入社してから1年半ほどの間にも大きな戦術変更が3回ほどありました。今回から数回に分けて、この戦術変更について書いてみたいと思います。

Azoopのビジネス

まず最初にAzoopのビジネスを簡単にお伝えします。
Azoopは現在大きく分けると3つの自社事業をローンチしています。

(1)中古商用車売買プラットフォームの運営
中古商用車(トラックやバン、バス、フォークリフトなどなど)を売り買いできるプラットフォームを運営しています。プラットフォームは利用者の属性によって2つに分かれています。

①トラッカーズマーケット
『中古車業者(出品者)』と『中古車業者や一般消費者(購入者)』をマッチングしています。普通車でいうところのカーセンサーやGoonetみたいなサービスです。

②トラッカーズチャレンジ(来月あたりから名称変更するかもしれません)
『運送業者(出品者)』と『中古車業者(購入者)』をマッチングしています。いわゆるユーザー車両オークションです。それをネット完結で行っています。車両売却希望の運送会社の車を預かり、購入希望の複数の中古車業者から入札を集めています。最高値を提示した中古車業者が落札していくサービスです。

(2)運送会社の経営支援クラウドサービスの運営
トラッカーズマネージャーというサービスです。運送会社は車両に紐付く様々な情報(例えば車検・定期点検整備記録・部品交換・保険・燃料費・高速代・ドライバー人件費・パーツの保管などなど)を管理しなければいけません。が、紙やエクセルでの管理では、煩雑でしっかりとした管理を行うには大変な労力が必要でした。その負を解決するサービスです。

(3)ドライバー人材紹介
運転手の人材紹介事業を行っています。

今回は(1)中古商用車売買プラットフォームの運営 の営業について私が入社してからの右往左往(仮説検証)をお伝えします。

1.2019年9月~2019年12月頃

このころは、トラッカーズマーケットとトラッカーズチャレンジは同一のサービスとして運営していました(トラッカーズチャレンジというサービスは存在していなかった)。『運送会社(出品者)』から預かった車両をトラッカーズマーケットに掲載。ネットを通じて購入希望者を募るモデルです。商用車流通は、「出品者→買取業者→オークション→販売業者→購入者」と出品者と購入者の間に複数の業者が挟まるのが一般的です。この商流を「出品者→購入者」と1to1でマッチングすることで、出品者、購入者双方にコストメリットが出やすいマーケットを構築しようと考えていました。
このマーケット構築のために取った戦術は以下です。

出品車両数を最大化する

ネットを通じて購入希望者を募るモデルだから、ネット上に魅力的な車両が大量に掲載されている必要がある。こだわるべきは出品車両数だと考えました。営業チームにはKGIとして『出品台数(出品を依頼されてネットに掲載した台数)』を課しました。

また、この頃はまだ、出品者と購入者は同じ運送会社が時に入れ替わる「Azoop経済圏」が構築できると考えていました。トラックを売却したい時には出品者となり、またトラックを購入したい時には購入者になる、そんな運送会社が多いと判断していました。そのため、営業チームが出品台数を追いかけ、出品でお付き合いしていただける会社が増えていけば、自然とマッチングが生まれやすくなると考えました。

結果として

出品台数は確実に伸びました。
が、成約数(ネットを通じてマッチングが発生する数)が伸びませんでした。

何が起こったか

運送会社の売却行動は次のような流れが一般的です。
(1)売却車両を決める
(2)複数社に見積を取る(相見積)
(3)見積を通じて売却車両の価値を知る←納得感の醸成
(4)最も高い見積提示会社に売却
車両の売却価格は相場で動いていますから「適正価格」の把握がプロでも難しいものです。そのためネットでどれだけ高い(と我々が感じる)価格提示がされても、他社にも聞いてみないことには意思決定しにくいんです。
一方で、中古車両の購入希望者は「今すぐ欲しい」というニーズが大きく、自身が価格を提示したのに、売却の意思決定がされないことで、待ちきれずに他社に流れる、ということが頻発しました。

また、出品獲得を優先することで、運送会社の予備車(使用している車両が故障した際に利用するバックアップ車両)の出品が増えました。「予備で置いてある車両で不測の事態が発生したら使用するけれど、高い価格で購入してくれる購入者が現れるなら売却しても良いよ」という予備車の性質と、この頃のトラッカーズマーケットのサービス設計が相性が良かったんです。が、「高い価格で購入してくれる購入者が現れるなら」という前提で出品をお預かりするため、購入希望者からの価格提示に対して首を縦に振ってもらえないことも増えてしまいました。

2.2020年1月頃~2020年3月頃

成約車両数を最大化する

出品車両数を最大化するための営業活動の弊害は「すぐに売れない車両」「(購入者からみて)お買い得でない車両」がサイト上に大量に掲載されてしまうことでした。そのため、この時期は営業チームへのKGIを成約車両数としていました。

結果として

成約車両数は伸びましたが、台あたり粗利益が減りました。

何が起こったか

この時期には、出品者と購入者は実は別々の属性であることが多く、出品でお付き合いしていただいた会社が必ずしも購入者側に回らないことも見えてきました(運送会社の購入者を増やすためには出品とは別の営業努力が必要)。そのため、この期間に生まれたマッチングの多くは「運送会社→販売業者(中古車業者)」でした。前述した商用車商流の「出品者→買取業者→オークション→販売業者→購入者」から、「買取業者とオークション」をダンピングした形です。コストメリットは一定の水準で出せますが、購入者への直接販売に比べると小さくなってしまいます。この環境の中で、成約台数をKGIとすることは、結果として台あたりの粗利益を削り、出品者にメリットを提供して成約させることになりました。

3.2020年4月頃~2020年12月頃

昨年4月、コロナ禍により業界が大混乱に陥りました。フィリピンの非常事態宣言に伴う港湾閉鎖の影響から、フィリピンへの商用車輸出ルートがロックダウンしたのです。このことがきっかけで、当社の営業戦術も大きな方針転換が行われました。ここからはまた次回書きたいと思います。

さいごに

現在Azoopでは営業チームにジョインしていただける方を募集しています。上述したようにAzoopは今でもスタートアップらしく?!日々仮説検証を繰り返し営業戦術を作り上げています。営業戦術だけではなく、サービスも磨きこんでいるので、営業現場でわかった知見を基に、サービス変更が行われることも日常茶飯事です。あなたの声で戦術も、サービスも変わる可能性があります。変化を楽しめる、事業開発に興味がある方は、ぜひご連絡ください。質問だけでも大歓迎です。ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう。

興味を持ってくれた方はこちら⇒Azoop採用ページ

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