『渡り鳥北へ帰る』(1962年・斎藤武市)
小林旭の歌の世界には、「ダンチョネ節」「ズンドコ節」などいわゆる「アキラ節」と呼ばれるリズム民謡、そして「さすらい」「北帰行」「惜別の唄」路線の叙情ソングがある。いずれも、名アレンジャーで作曲家の狛林正一によるものが多い。狛林といえば「ギターを持った渡り鳥」「口笛が流れる港町」などの遥かなる郷愁を駆り立てる叙情ソングを手掛け、大戦中の南方戦線の兵士たちの愛唱歌を放浪者の孤独の歌に再生させた「さすらい」をものした才人。
「北帰行」は、昭和30年代中盤、歌声喫茶で歌われ