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kyatapy
『一斉授業をハックする』から③
『一斉授業をハックする :学校と社会をつなぐ「学習センター」を教室につくる』において、伝統的な試験が批判されているところがもう一か所ある。
教室での授業は、結局、ある一つの終着点に行きついてしまいます。テストです。生徒にとってテストを受ける目的といえば、ほかの誰か(親や教師)を満足させることでしかありません。考えてみれば、生徒自身の人生や興味関心とはあまり関係のないものです。つながりが見つけられませんから、学びの要点もつかめません。その結果、「どうしてこれを学んでいるのだろう?」とか「なぜ、これが必要なのだろう?」と自問自答しています。
ここはテストを批判しているというより、よい点数をとったり、親を喜ばせたり、いい進学先に進んだりする以外のところで、学ぶ意義を見出せないまま授業や試験を受け続ける状態に置かれている生徒が少なくないのではないか、という点を指摘したいのだと思う。授業を通して自分の興味関心や強みを見出せるようなかたちに学習指導が行われるといいのだが、実際は、「よい成績をとるためにやっているだけになる」(p.217)。そうではなく、生徒が情熱を持っていることと学びを結びつけようというのである。