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日本で初めて職業として「ノーコードエンジニア」を募集した会社の社長が考えてる事

こんにちはトオルです。

先日8月3日からNewsPicksで特集になっている話題のノーコード特集ですが。

実はぼくの会社(オムニスといいます)ではこの記事が出るちょうど前の7月31日に「ノーコードエンジニア」という職種で募集をしてます。

そもそもこの「ノーコードエンジニア」というのが職業なのかスキルなのかすらまだ曖昧です。「ノーコードエンジニア 募集」というのがあるか色々検索して見たのですが、見当たりませんでした。

そういう意味では日本で初めて企業が「ノーコードエンジニア」という職種を募集したのかなと思ってます。

そこで今回はなぜ募集したのか、何を考えているのかを書きたいなと思っています。また今回ノーコードエンジニアと言っているのはWebflow、Shopifyの様な特化型ではなく、bubble、Adalo、glideなどの総合型、ヴィジュアルプログラミングと呼ばれるツールを使う人達を指しています。

なぜ募集したのか

ぼくらの会社はファッション分野のデジタルトランスフォーメーション、DXを行っている企業です。単純に言えば昔からの企業と一緒にデジタル化を進める為にデジタルサービスを色々作ってる、という感じです。

ですが、現状ぼくの会社ではあまりに多くのプロダクトに手を広げ、また異業種の人と一緒にデジタル化を進めているので相互理解にはかなりの苦労が伴います。デジタルネイティブ企業であればすんなり行く所が全く思うように進まない。しかも大企業によくある関わる人たちの人数が多く、意思決定がスムーズでなかったります。

そこでシステム開発の現場で起きる、あるあるですが「要件定義まで戻る」という現象が常態化します。そもそも要件定義が曖昧に進んだりしてデザイン・開発フェーズでこの要件定義が同時進行するという事が起きます。(PMとかPdMどうしてるんだって話しありますが)

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そこで要件定義フェーズのワイヤーフレームの精度をあげる為にFigmaの様なUIデザインツールを使ったりするのですが、ここにも落とし穴があります。それは、UI設計が出来る人はデータベースの事は知らない事が殆どです。なので、なんとなくの情報になってしまいます。本来はこの時点でデータベースの設計まで考慮されていると、このモックアップがそのままデータベース定義書として使えます。ですが、Figmaはあくまでデザインツール、あまり整合性が取れていないまま進んでしまいます。

何とかデザイン・開発フェーズまでに仕様の精度を上げたい、という事で考えたのがbubble / Adaloです。この二つのツールは会員登録などを伴う様々なアプリケーション、例えばメルカリの様なサービスもゼロから作る事が出来ます。そこでFigmaで作ったワイヤーフレームを元に詳細設計のタイミングで簡単なプロトタイピングを作ってしまおうと考えました。

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というのが今回の募集の背景になります。なので、ここではあくまでもプロトタイピングとして使うのであって商用のアプリケーションは別で開発する事になります。Figmaとbubble / Adaloがあれば理論上は下書きは完全に終わってる状態ですので後はデザイン・開発はそれを再現すれば良い、となると思っています。

ノーコードエンジニアは職種なのかスキルなのか

広義ではノーコードサービスを色々使えます、という感じで一つのスキルだと思いますが、bubble / Adaloなどはある程度のトレーニングが必要だと思います。Webflowもそうですね。なので今後はこの領域のエキスパートが出てくると思います。もちろん、これを専門とした職業であるノーコードエンジニアという職種も確立されて行くのではと思っています。

多分ですが、ノーコードエンジニア募集、ツールはなになに、みたいになっていくのかなと思ってます。もしくはWebflowデザイナー、とかかもしれません。ツールによって色々あるかもしれません。

ノーコードが使える領域

ぼくの会社が作っているサービスはエンタープライズ(大企業)が提供するサービスとなります。そうすると現状のツールでサービスを提供してしまうと、ベンダーロックイン(ツールを使う事で依存してしまう事)や、柔軟性を欠く事による売上の機会損失の可能性などがあり、現状ではあまりにも事例が無く、エンタープライズでの導入は中々難しくなります。今の時点でぼくがイメージしてるのはなんとなくこんな感じです。

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日本では個人の所では早い人では2018年 - 2019年くらいからサービスを作ったり、自分の仕事を効率化させるツールを作ったり、業務フロー(プロトタイピング開発)の中で活用したりしていたと思います。それが徐々に中小企業などでサービスや業務ツールに使われ始めている様に思っています。

ですがエンタープライズでは業務ツールでも情報管理の面からも業務情報を入れてしまう事に抵抗があると思います。そこでぼくらの様に新規サービス開発時のプロトタイピングなどでの導入から始まっていき、効果、実績を確かめながらその後2021年、2022年と徐々に上に向かって進んでいくのではと思っています。

日本のSIer(システム開発)は巨大市場

2015年の日本のSIer市場は7兆円とも言われています。

これはとてつもなく大きな市場です。更に年々デジタルサービス、業務の自動化、効率化のニーズは上がっています。

これからノーコードは急速にこの市場に入っていくと思われます。これから受託会社、人材紹介、スクールなど様々な事業が展開されていくと思います。ツールもどんどん新しいものが出てくると思っています。エンジニアを1万人作るよりも1万人のノーコードエンジニアという職種を作っていく方が圧倒的に学習コストも低く、早いと思います。現状はベンダーロックインなどが障害になっていますが、そのうちセルフホスティング型のオープンソースも出てくるでしょうからエンタープライズ企業でも問題なく使える様になっていくと思います。

変わる大企業とスタートアップ

スタートアップは間違いなく変わると思います。単純に言えば1週間くらいでまあまあちゃんとしたサービスが提供出来る様になると思います。ある程度ユーザーが見えたら独自色を追加して行くためにエンジニアを雇って行けば良いと思います。なので海外では既にNon-Tech Founder(技術的知見が無い起業家)という人たちが出てきていますが、今後はこのトレンドは増加する一方だと思います。

多分、これから1-2年でこのノーコードエンジニアという職種と一緒にスタートアップに挑戦する人たちが続出して行くと思います。もちろん、事業をやる本人もある程度トレーニングを受ければ作れる様になるので、ソロプレナー(個人起業家)も広がると思います。

もちろんこれによって大企業も大きな影響を受けると思っています。今までとはまるで違う速度感で新しい事業が続々と立ち上がる訳です。しかもそのノウハウやツールの進化の速度は尋常じゃないくらいの速さになって行くと思います。そうした新しいタイプのスタートアップと向き合っていく必要があるため今まで以上に変化に対する機動力が求められるでしょう。

更に困った事に、今までは初期投資が必要な場面がどうしてあったけれど、数人、もしくは1人で出来てしまうため、大企業で新規事業を立ち上げる事のメリットも下がってしまいます。副業解禁の流れもある中で能力のある人は勝手に新しい事業をどんどん作ってしまうでしょう。

そうした中で、なぜこの会社でなければいけないのか、という事がより求められていくと思います。

まとめ

こういった事を踏まえて、ノーコードエンジニアをエンタープライズの中で試していくというのは、今後スタートアップだろうが、エンタープライズだろうが何をやるにしてもこの「ノーコード」というのが必ずついて回り、更には近い将来必ず従来型のやり方のままの企業は急速に競争力を失って行くと思います。

こういった状況ならば、むしろ積極的に活用する事で未来を作って行く側に回った方が良いと思っています。このまま変化の波に晒され、続々と立ち上がる事例のニュースなどの前にどこか遠い場所の事のように思わず、自ら取り組み事例などを作っていき、今どこまで出来るのか、いつ出来る様になるのかを知る事で新しい事業創出の機会が生まれると思っています。

[追記] ぼくとオムニス社で働いているケントさんとポッドキャストを撮ってのでぜひ聞いてみてください。


いくつか参考になる記事を貼っていますので、ぜひ見てみてください。


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