三方の小品【33:パスタ】
〇〇に入るキーワードは、配信中にスターとコメントのキリバンを取っていただいたリスナーさんにリクエストしていただきました。
鎌倉屋トルテという少女の思い出や、頭の中に触れていきませんか。
パスタ
パスタ (テキスト版)
内容は上の画像と同じです。
アルデンテ、アルデンテ、パスタの魂……ふんふんふん、歌いながら嬉しそうにキッチンへ立つ後ろ姿にはリボンが楽しそうにゆらゆら。そう、まるでバレエを踊るかのように軽やかな身のこなしで料理をしているのは紛れもない丸眼鏡。バレエは踊れないけれど。
こぽこぽと沸き立つ鍋から上がる湯気が、カラリとした季節を和らげるかのように緩やかな湿度を足していく。一瞬ハッとしたかのように動きが止まったのは、くるくるりんと立ち上る湯気にもし色がついて見えたなら、どんなに愉快だろうか……おおよそそんなことを考えていたからでしょう。春色の空気がふわりと立ち込め……新たな季節に少しずつ色を塗り替えていくようにね。
頃合いを見て、ここだ!の瞬間で塩をひと振り、パスタを入れていく。
湯の中でぐるぐる動きだしたパスタをのぞき込んだかと思えば振り返って、ニヤリ。「回遊魚みたい」なんて想像しているね?愉快な気持ちが上昇していくのが感じられる。
ずっとハッピーな丸眼鏡がそこにいたっていいじゃない、だって春だもの。
ちょっと目を離した隙に行ってきたのは庭だね。両手いっぱいの摘みたてのフレッシュなハーブの香りが、キッチンを新緑色に染め上げる。
15回目のアルデンテっの掛け声とともに回遊魚たちを熱湯から流水へダイブイン。きゅっと絞めたらもう完成はすぐそこで。
パステルカラーの似合う季節だからと、特製のゆで卵も追加でトッピング。見た目はちっともパステルカラーじゃないのだけれど、目の前に置かれたパスタはなんともカラフルでハッピーでゴキゲンな一皿。
今日もよくできたね、きっとそろそろみんながやってくる頃だから。さ、お裾分けの準備をはじめようか。
初出:2022年4月7日
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