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出版物の総額表示義務化したら死ぬ(色々と)

今朝Twitterで“出版物の総額表示義務化に反対します”のハッシュタグを見て何事か?と思ったら、ああそういうことか…と。


一難去って、また一難 ぶっちゃけありえない!!

︎全然プリキュア世代じゃないのに、思わず脳裏に去来しました。いやもうホントまじありえない。

すでに色んな方が意見表明してるとおり、このルールを強行した場合のデメリットをまとめると

①今現在国内にある全ての出版物の値段表記を一冊一冊変えなくちゃいけない。(Q.どうやって?A.人の手で!)
②しかもそれを消費税率変更の度にやらなきゃいけない。(菅さんは上げざるを得ないとか言ってるし、枝野さんは下げろって言うし、どちらにしても白目)
③そんなのいちいちやるの面倒だしとんでもなくコストかかるので、出版社は売れ筋商品だけ売るしかなくなる。

ざっくり言うとこんな感じ。

①の値段表記を変えることについては、スーパーとかコンビニとか普通の小売店では対応できたから書店もいけるっしょ!と思っちゃってるのかもしれないけど、できないんですよ財務省さん。お気づきかとは思いますが、書店て値札を店が用意しないでしょ?商品そのものに書かれてるよね。あれはなんでかって言うと出版物が再販売価格維持制度の対象だからです。

再販売価格維持制度を簡単に言うと「作った人が売値を決めていい特別ルール」のことです。詳しくは上の記事を読んでもらえればと思いますが、要は「お店が勝手に値引きしたりマージン上乗せしたりとかしちゃダメ」と法律で決められてるってこと。本のほかに新聞とかCDもこの制度の対象です。

何はともあれ、本の値段は出版社が決めるものなので、価格表記を変更するとなったらたぶん書店がそれを代行することはないんじゃないかと思います。となると、一旦店頭在庫を全て出版社へ返して「売りたい商品は価格表記を直してからまた店へ送ってください」という対応になる筈です。出版社ではカバーの刷り直しをするか、もしくは新しい価格表記を印字したシールを上から貼るか、どちらかの対応をしなくちゃいけません。そしてまた出荷する、と。

これを日本全国に存在する全ての出版物でやれってんですよ???
出版業界のみならず、印刷業と配送網にどれだけ負荷かかると思ってんだコノヤロウ。日本のマンパワー不足なめんな。あとたぶん私が勤めてる音楽流通業界も巻き添え喰らう。まじやだ。

まあ時代が移ろえば法律もそれに即して変わっていくべきだとは思うし、なにもかもについて「変わるのイヤー」と愚痴るつもりもないのです。ただ今回の総額表示義務については利益を生まない無駄な業務が大量発生するので、そのせいで出版業界全体が傾くことも考えられるし、それは消費者にとっても経済にとってもデメリットでしょうが!ということを言いたいわけです。

また、このルールが強行された場合、利益の薄い出版物を販売することが今後難しくなる(もっというと限りなく無理に近い難しさになる)ことが危惧されてます。そもそも出版業界の薄利多売方式とか、巨大化しすぎたシステムのせいで連携がてんで取れてない部分とか、いい加減どうにかしようとは誰も思わんのかと門外漢ながらイライラさせられるところは多くあるのですが、それはそれとして今まで培ってきた多様で豊かな文化的土壌がめためたに壊滅されることはなんとか避けたい。

そもそも、ですけど。法改正のときいつも考えるんですが「誰のために法改正するんだっけ?」と、法改正する側になってみます。善悪は別として、変えるからには理由がある筈なので。

総額表示義務化が誰に利するかというと、おそらく消費者にとって便利になり、便利であれば購買意欲が刺激されるから経済が回るということを見越しているんじゃないかと思います。ただ実際のところは「増税のせいで総額表示の金額があがった=高いから買わない」という消費者が多いらしくて、スーパーマーケット業界からも税抜き価格表記を恒久的に認めるよう要望を出してます。もう一体何のためなのか本当に。。

国政に携わる人間が馬鹿でマヌケな悪人どもだなんて断じて思っていません。でも少なからず考えの足りない部分はあるし、各業界のリアルな事情や国民の生活現場のことを細かいディティールまで把握するのは不可能でしょう。仕方ないよ。彼らも私たちも人間だもの。

足りない部分は補えたらいいと思うし、余力があるときはパブリックコメントをどんどん送ろうと思ったのでした。(上に書いたようなことを丁寧めの文語で送りました)