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諏訪原小説コレクション

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#幕末

【小説】胃もたれ侍、異世界へ行く

「三郎!またか!」
「はあ、その通りです。誠にかたじけない」
 弱々しくうなだれる三郎を見て、鼎蔵は大きなため息をついた。
「まったく、お前は剣の腕は立つのにどうしてそんなに腹が弱いのだ!われわれの悲願成就のために、お前の力は不可欠なのだぞ!」
「そうは言われても、儂にもどうにもならんのです」
「医者にはかかったのか」
「もう何度も。長崎で修行した何某とかいう医者にも見てもらいましたがね。どうも病

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