stinger

こう見えて(どうも見えてないか)二十世紀の終わり頃理学部の大学生だった私は、朝、酒をあおってから学校へ行き、図書館で実験のレポートを書いた時期があった。
努力家だな〜(遠い目)。
そんなんが続くわけはなく、卒論には全く手を付けずに中退した。
学問に対する憧れが尾を引いているので、大学生と聞くと仰ぎ見てしまう。

レンジでチンするゆたぽんではなく、大日本帝国謹製のアレポン目的のように酒を使えるかどうかは、酒の種類と人の体質によると思う。
私がレポートを書くためにあおっていたのは、ブランデーとペパーミントリキュールをいい加減にステアしたstingerだった。
たぶん、酒臭くはなかったと思います。
今も呑んで帰って息子に酒臭いかどうか訊いても、臭くないって言われるし。
それも酒と人によると思う。

バーに入って一杯目にstingerを頼むとバーテンダーに微妙な反応をされたり、二杯目に頼むと他のものを勧められたりする。
よくは分からないが、そういうカクテルらしい。

また、酒をあおった状態で大学の図書館でレポートを書いていたことを私が告白しても、やはり相手は微妙な反応しかとれないだろうと思われるので、特に誰かに話したことはなかった。

知人がマスターをしているカフェがあり、行きつけである。
カウンター席のみのこじんまりとした店構えで、マスターも一緒にその日出会った人と話すことも多い。
ある日ある人とバーの話になった。
「あそこはいいですよ、僕、あそこで放送大学のレポート書いています。」と言う。
お〜っ。
自分以外で酒を飲みながらレポートを書く人に初めて会った。
でも、私も、とは言えなかった。
その方は院卒で、よくは分からないが、私の書いていたレポートと一緒にしては失礼だろう。
「そのお店、読書もできますか?私、飲みながら本読みたいんですよね。」と訊くと、「ぜんぜん大丈夫です。僕も本も読みますし、他にもそういうお客さん見かけますよ。」と言う。
それはありがたいと思った。
世の中には、酔っていないととっつけない本がある。
大学生は無理でも、本くらいは私も読みたい。

さらにいろいろ話を聞くと、その人は農業をやっているという。
「晴耕雨読ですか。」と言うと、「いや〜、そんないいもんじゃないですよ。雨の日も田んぼに出ますし。」と言う。
その人は米を作っているが、日本酒は飲まず、ビールとウイスキーが好きということだった。

ん~。
オチが着きませんね。
只今方向を模索中です。

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