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ドラマ感想 ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪 第4話感想 ヌーメノールに迫る不吉な未来

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 このドラマの感想文、どこまで続けられるかわからないのだけど、もうしばし続けよう。忙しくなってくるまで、もうしばし余裕がありそうだから。

 始まりはヌーメノールの謁見の間。執政女王ミーリエルが生まれたばかりの子供に祝福を与えている。集まっている女達はたぶん貴族階級とかだと思うのだけど、女王が自ら生まれた子供たちに祝福を与える……というのはいい習慣だ。

 しかしふと振り向くと、ヌーメノールの都市が洪水でバッシャーン!
 そう遠くない未来、ヌーメノールの島が沈むことを暗示している。
 子供の出産という慶事に災害のイメージを重ねてきたことに意味はあるだろうか。単に慶事と災害を対比したかっただけなのか、それとも「次世代はもうねーよ」という意味なのか……。

 広場では第3話でハルブランドにボコスカやられたおっさんが演説している。後ろの掲示板にクエストカード(求人票)が貼ってあるね。エルフが島に一杯やってきたら、俺たちの仕事がなくなっちまうぞ! エルフを追い出すんだ! ……みたいなことを話している。
 要するにここの人たちも、エルフが自分たちよりも頭が良くて、働き者で、仕事の質がいい……ということを認めているわけだ。そんなのが一斉に来るようになったら、自分たちの仕事がなくなる。それはつまり、自分たちの「立場」を失ってしまう。働きづめでしんどくてもいいから、仕事だけは奪われたくない……という心境が現れている。仕事はその人間のアイデンティティなのだ。
 たかがエルフ1人漂流したきた……というだけでこの大騒ぎ。ヌーメノール人のエルフ嫌悪の強さがわかる。

 この場面のセットを見てみよう。こんな巨大なセットよく作ったよね。労働者達のレリーフが作られていることから、ここがギルド本部であることがわかる。レリーフはたぶん、このヌーメノールを建造した人たちをイメージしたものだろう。で、宰相のおじさんがこの門を背にしているので、王城とギルド本部が同じ場所だということもわかる。

 カメラ位置を反転させたところ。CGなしでここまでやるのは凄いな……。奥の方の階段までよく作り込まれている。
 たぶん建物が斜めを向いて建っているんじゃないかな。奥から手前へ、距離感を出すために。

 その様子を見ているエアリエン。可愛い女優さんだよね。
 私がこの衣装で気にしたのはオッパイで、オッパイとオッパイの谷間に影ができている。むぅ、ブラジャー付けてないのか。この時代の女の子は、どうやってオッパイを支えていたのだろうか……?

 謁見の間。ガラドリエルが手に入れてきた資料を女王に見せて、南方国に危機が迫っている。今すぐに挙兵を! と意見具申するが……。
 しかし冷徹に拒否する女王様。うーん、ヌーメノール王家はエルフの血を引いていて、ガラドリエルはヌーメノール建国の王と知り合いなんだけどな……。ミーリエル女王の対応の方が不遜な気がするけども……。

 一方その頃、船乗りを目指していたイシルドゥルだが、いきなりクビになってしまう。この展開がやや雑。今まで完璧だったのに、一度のミスでクビにするって、それはあり得ないだろう。お話を進めるためとはいえ、強引に感じる。

 ミーリエル女王がここまで頑ななのは、父親が関係しているからじゃないか……。
 という仮説を立てて、ガラドリエルはヌーメノール王が幽閉されている塔へ乗り込む。そこにいたのは正気を失い、寝たきりになっている王だった。

 王はすっかりエルフ嫌いになってしまったヌーメノール国民を諫め、エルフとの和解を求めていた。
「父は人間がヴァラールを怒らせたと執拗に公言していた。“悔い改め昔に戻れ”と。民に不安が広がり、エルフとの関係刷新が布告されると、反乱が起きた」
 ヌーメノール人、そんなにエルフが嫌いなのか……。モルゴスとの戦いではエルフと一緒に戦ったし、建国の王はエルフなのに、何があったんだろう……。
 ヴァラールというのは神様のこと。ヴァラの複数形がヴァラールなので、「神々」という意味となる。
 それで王は民衆からの支持を失い、事態を収拾させるためにミーリエルが執政を執ることとなった……。

 パランティール。
 正しくはパランティーア、あるいはパランティア。ドラマ版ではなぜかパランティールと呼んでいる。
 『指輪物語』の世界には7つのパランティアがあることになっているが、長い歴史の中でそれぞれがどこへ持ち去られたかよくわからないものになっている。
 本来のパランティアは遠くにものを見たり、パランティア同士通信ができたりする。携帯電話のない時代に遠距離通信が可能な道具なので、非常に貴重。
 2003年に公開された『ロード・オブ・ザ・リング 第3章』ではサウロンに関心を惹こうと、アラゴルンが自らパランティアの前に姿を現すが、サウロンから逆に間もなく死のうとしているアルウィンの映像を見せられて困惑する……という場面がある。遠くのものと通信ができるが、使用には要注意な道具でもあるんだ。
 ドラマ版のパランティールはなぜか未来予知ができる石になっているが……。もしかすると誰かが悪意を持ってその光景を見せているのかも知れない……。

 ミーリエル女王はエルフを追い出せば、島沈没の危機から回避されると信じている。ガラドリエルが説得しようとするが、耳を貸してくれない。
 この時のミーリエル女王が、ほとんどまばたきもせず、瞳の揺れもなしに、真っ直ぐ一点を見詰めている。向き合っているが頑なになっている様子がわかる。

 王侯貴族見守る中、ガラドリエルを追い出そうとする。
 これまたすごいセットだな……。画面の中央やや右のところ、少し奥づまったところが第3話でガラドリエルが隠れていた場所だ。
 すごい作り込みだけど、やっぱり気になるのが道幅の狭さ。港近くの道幅がこんなに狭かったら、流通が滞ってしまう。
 でもどうやらセットにこだわっている作品なので、そこまで巨大なセットなんて作れるわけがない。その辺りの事情は察するのだけど、あの道幅の狭さだと、これだけの都市に物を行き渡らせるのは大変だろうに……。

 カメラを反転させたところ。さすがにこっち側の風景はCGだろう。まさかあれもセットだなんて言うなよ……。

 動き出すボート。その上で直立不動で立ち尽くすガラドリエル。ボートって結構揺れるものなんだけど、その上でこの姿勢で立ち尽くすって、なかなか凄い……。

 ガラドリエルを追い出して、女王と執政が安心して小道に入っていく。
 このシーンを見たとき、「オイオイ、護衛はどうした」と思ったが、このカットに入って、すでに兵士達が先回りしていて、住人達が外に出ないよう扉の前に立っていた。ちゃんと警備していた。

 エルフを追い出せば、島沈没の危機は回避されるはず……そう考えていたが、ガラドリエルを追い出した途端、王の木がものすごい勢いで散り始める。王の木は普通の樹木ではなく、王の権勢が弱まってくると枯れ始め、王の帰還を予期するとまた咲き始める……という樹木。かなり霊的な木でもあるんだ。それがこの勢いで散り始めて、「あっれー?」ってなっている場面。

 そこでようやくミーリエル女王は、ガラドリエルの申し出を受け入れる。そもそもヌーメノールの島はモルゴスとの戦いで協力してくれたから、ヴァラールから報償として与えられたもの。もしもエルフに対して不遜な態度を取ったら、沈めるよ……という忠告もあった。
 それがいつの間にか、ヌーメノール人は反対に解釈して、エルフがやってくると島が沈むと思い込むようになっていた。ガラドリエルの忠告通り、エルフと協力して闇の勢力との戦いを決意する。それが島を沈めぬようにするための手段だ……ミーリエル女王も理解し始める。

 さーてアロンディルはその後どうなった?
 ついに「アダル」という名前の男と謁見することになった。見た目はどうやらエルフらしいが……。この男がサウロンその人なのか、それともサウロンのしもべなのか……。まだわからない。サウロンには多くの異名があったが、アダルという名前では呼ばれていなかったはず。この男は何者か。

 アダルは瀕死のオークの最期を看取るのだが……。
 鎧がちらっと映るのだが、たぶんエルフが着ていた鎧じゃないかな? エルフが着ていた鎧を略奪して、改造して自分のものにしていたようだ。他人のものを勝手に自分のものにする。こういうところがオークらしい。

 一方その頃、村の住人達は砦にやってくるのだった。
 砦もセットだな……凄いな。奥に見える風景はCG合成だが、手前の風景はどこまでがセットで、どこからがCGなのだろう。区別が付かない……。

 砦の中へ入っていく。おお、カットの流れが『ロード・オブ・ザ・リング 第2章』とほぼ一緒だ。2002年の劇場版を意識して作られてるなぁ。
 でも中に入ってみるとわりと狭い。そこまで巨大な砦ではなかった。

 ここのシーンで一つ端折っていることがある。砦にやってきた村人達は、まず「エルフ達はどこへ行った?」という疑問を持つはずだ。これが端折られているのは、視聴者はもう知っているから、もういいでしょう……ということだろう。
 村人達はエルフに救いを求めてやってきたのだから、まず「エルフ達はどこへ行った?」という話題をしてもよかったような気がするけど……。
 砦に逃げ込んだものはいいものの、砦にはまともな武器らしいものはなく、それ以前に剣もろくに扱えない農民ばかり……。「砦まで来たけれど、どうするよ?」という感じになりそうだ。

 それどころか食料の用意もしていない。籠城戦を続けられるのは食料が尽きるまで。兵糧攻めはしんどいぞ。この辺りの意識もなく、結束もない村人達。砦での籠城戦を乗り越えられるだろうか。

 こうして見ると、石の積み方が雑。エルフの石工職人がこんな雑な建築を作るはずはないので、この砦はエルフの手によるものではなく、そこにあったものを再利用したものだろう。中を見ると植木や彫刻があったりするので、その辺りはエルフが持ち込んだものだろう。

 村まで戻ってくるテオとその友人。それにしてもこの2人、姿勢が悪いな……。
 まだ太陽の光が出ている。オークの気配はないから大丈夫だよ……と言うけど、側の茂みを見ると、牛の死骸が……。牛の頭が叩き落とされ、その胴体がない。ということは喰われた後。オークは村の近くにいるんだ。

 やっぱりいたオーク!
 そのオークに対し、テオはブラッドソード(仮)を振り回してどうにか逃げ出す。しかしブラッドソード(仮)はオーク達が探していたもの。むしろ執拗に追いかけてくるようになる。

 井戸の底に飛び込んで、どうにか隠れるテオだったけど……。
 その後、夜が深まる時間までずっと井戸で隠れていたらしいテオ。そのわりには顔の血色がいい。うーん……水温がわりと暖かかったのかな。

 その後、どうにか逃げ出すテオ。追いかけるオーク。ここのオークの姿が不気味に描かれていて非常に良い。
 オークは「魔物」であるから、不気味に描かれるべきなんだよ。「魔物」は「生物種」じゃないんだ。RPGに対する昔からある批判に、「生き物を殺すのは可哀想だ」……というのがあるけど、いや、生物種じゃないんだよ。魔物なんだよ。自然に生まれてきたものではなく、悪意を持って作られた存在で、魔物によって人が一杯殺されているんだよ。「生き物を殺すのは可哀想」じゃないんだよ。
 というか「生き物を殺すのは可哀想」ってなんだよ。なんで上から目線なんだよ。お前サバンナでも同じこと言えるのかよ。サバンナよりどぎつい魔物の狩り場でぬるいこと言ってちゃダメだろ。アビス深界6層でそんなこと言ってたらすぐに死ぬわ。
 日本のRPGはその魔物・モンスターを可愛く描きすぎなんだよ。人間一杯殺しているような存在を、可愛く表現してどうするのさ。もっと人間から見て、恐れる存在として描かなくちゃダメだろ。姿を見て、間違いなく戦わなくちゃいけない相手だ……と思うように描かなくちゃダメだろ。
 ……と常々思っているので、魔物をちゃんと怖い存在として描かれているのがちょっと嬉しい。
 ところでこの森の中を走ってくるオーク達のスロー映像、第3話のハーフットのお祭りの描写と雰囲気が似ている。カメラの向きが逆なだけ。なにか意識しているのかな?

 どうにか森を抜けたところで、朝日が昇ってくる。
 いいロケーション! 太陽の光もバッチリ。このショットを撮るために、この風景を探してタイミングを待って撮影したんだろうな。いい画になってる。

 どうにか砦まで逃げてくるけれど、アダルの伝言は降伏しなければオーク達全員で襲うぞ……というもの。
 一方、テオは怖いおじさんに絡まれていた。このおじさんもブラッドソード(仮)の存在を知っていて、闇勢力に乗り移る気まんまん。南方人の中でもいまだにサウロン側の人達はいるのだ。

 ようやくエルフとドワーフ、エレギオンとカザド・ドゥーム(モリア)との交流が始まった。エルフとドワーフの技術力が協力し合えば、より優れたものができるだろう。エルフとドワーフは仲が悪い……とファンタジーではよく作られがちの設定だが、別にエルフとドワーフはいつも仲が悪かったわけではなく、協力し合っていた時期もあった。
 このエレギオンは第2紀1697年には滅亡することになっている。いまだにドラマの設定が何年頃かよくわからないのだけど、まだ戦争すら始まっていないから、その以前だと考えられる。

 話はちょっと飛んで、ドワーフたちは何を隠していたのか……。それはミスリルだった。
 ファンタジーRPGではミスリルといえばあまりにも定番のアイテムなので、どこでも生産できるもの……みたいについ考えてしまうが、こちらの世界観ではミスリルは発見されたばかりの鉱物。鉄よりも軽く、鉄よりも加工が簡単で(融点が低い)、鉄よりも丈夫。鉄の上位互換のような鉱物がミスリルだ。
 2001年の映画『ロード・オブ・ザ・リング 第1章』では、フロドがミスリルの鎖帷子を身につけていて、仲間達から珍しがられた……という描写がある。ミスリルはこの世界観において、希少なアイテムなのだ。

 なぜドワーフたちはミスリルの存在を隠すのか……。それは警戒心が強い父親のせいなのだが……。ミスリルで武器を作ると、鉄よりも強力なものが作れてしまう。つまり、兵器を作る手段を相手に与えることになる。
 今から4000年前、鉄の加工法を発見し、当時最強の武器であった「鉄の剣」の製造に成功したヒッタイトは、圧倒的な軍力で周辺国を従え、世界最初の「帝国」を築くこととなった。鉄の剣の製造法は当時秘伝の技だった。なぜ秘伝にしていたのか……というと世界最強の武器の製造法なんて教えてしまうと、対抗国が同じ武器を作って抵抗してくるからだ。
 そんなわけで、ミスリルの秘密を明かさないのは、国防意識として正しい。

 ドゥリン王子はエルロンドとの友情のために、秘密にしていたミスリルを明かすことにした。
 一方、その父王はエルフに対して警戒していて、「エルフの秘密を暴くんだ」とドゥリンに囁く……。
 ドワーフの王子も父親に悩まされているようで……。ドゥリン王子とエルロンドの友情はこの後、どうなってしまうのか……。

 第4話ここまで!

次回


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