「切り絵で世界旅」ダリダの墓（パリ／フランス）モンマルトル墓地で一際目立つ等身大のダリダ像

偉大な歌手ダリダの像はあくまでも神々しい

　全体が 小高い丘になっているモンマルトルは、多くの芸術家に愛された下町情緒漂うエリアだ。有名な白亜のサクレ・クール寺院を見た後、モンマルトル界隈を散歩しながら、目当てのモンマルトル墓地に行く。
　入口付近のエミール・ゾラの墓には本人の威厳をたたえたリアルな胸像があった。ここには、スタンダール、ドガ、ハイネ、ニジンスキーなどの著名人が眠っている。ほとんど同じような形の墓が並ぶ日本とは違って、こちらの墓はどれも個性的であり、墓地全体にアートっぽい雰囲気が漂っている。パリでは、墓地は散歩コースにもされているそうだ。これは誰だろう？　と推測しながら歩くのも楽しい。

　個性を競う墓の中でも一番目立っていたのが、ダリダの墓だった。等身大の像がリアルで、いまにも歌い出しそうだった。1973年にリリースしたアラン・ドロンとのデュエット曲「あまい囁き」は世界中で大ヒットした。
　彼女はエジプト生まれのイタリア系フランス人で、生まれ育ったエジプトではミス・エジプトに輝いた美貌の持ち主であり、歌手としては全世界で1億7000万枚以上のレコード売上記録を有している（2018年時点）。これだけの大歌手であれば、ダリダの像に後光がさしていても不思議ではない。