【翻訳部辞書:Money】
こんにちは。プロジェクトマネージャーの小沢です。今回はMということで候補が結構あり迷ったのですが、Money「お金」について書いてみたいと思います。お金の話題とはいっても、我が家のやりくり術などについてではなく、海外に行ったときに驚いたお金に関するエピソードです。
あの頃わたしは若かった
あれは、学生寮で4年間をともに過ごした友人3人と行った、ヨーロッパへの卒業旅行のときのことです。1人は、大学院進学の準備などのため1週間パリに滞在したあとに日本へ帰国したのですが、残りの2人と一緒に、パリ→ドイツ→チェコ→オーストリア→イタリア→モナコ→フランスを約1か月かけて周遊しました。
場所だけ見ると贅沢な旅に見えますが、いわゆるバックパックの貧乏旅行です。ヨーロッパの国々をお得に周れる「ユーレイルパス」を使い、ドミトリー式(知らない人と同部屋 1泊約2,000~3,000円程度だったかな)のユースホステルに泊まったり、駅で宿泊客をキャッチしている人と交渉してその日の宿を決めるなど、行き当たりばったりの旅でした。その日泊まる宿をその日に決めるなんて、いま思えばすごいことしていたなぁと思います。
モネ?
旅の後半、フィレンツェからモナコ、モナコからフランスのニースに移動しました。お金にまつわるびっくり案件が発生したのはそのときです。わたしだけ一人、フランスのレンヌという街に住む友人に会いに行くため他の2人と別行動をすることになっており、ニースの砂浜に座って、美しい地中海を眺めながら夜行列車までの時間つぶしをしていました(※女の子ひとりで夜行列車に乗るのは危険なのでお勧めしません)。
しばらくすると、50代くらいの小柄で細身のラテン系のおじさんがわたしに何やら話しかけてきました。「モネ、モネ」と言っている模様。フランス語はすこしだけ勉強していましたが、「モネ」って言われても画家のことしか思い浮かばないしなぁ、とキョトーンとしていると、サングラスをかけた金髪で細身のマダムが怒った調子でそのおじさんに何かを言って追い払ってくれたのです。
そのあとすぐに、あのおじさんはお金(小銭)を要求してきていたことに気が付きました。フランス語では小銭のことをmonnaie [mɔnɛ] 「モネ」というのですね(英語の発音が悪いだけかと思っていましたが、いま調べたらフランス語でした)。紙幣ではなく、小銭だったのは謙虚ですね(そうじゃない)。
お金をせがまれていたことを知ってドキドキしましたが、おじさんを追い払ってくれたマダムが「わたしの近くにいなさい」と言ってくれて少し安心してそこで過ごすことができました。そのときの、おじさんとおばさんの容姿は今でもよく覚えています。
やさしい社会
最近の日本では、周りにたくさん人がいる状況下で、「お金、お金」なんて手を出して要求されることはありませんよね。え、恐喝?と思ってしまいそうです(かつて昭和40年代前半ごろまで、大きな駅には物乞いの人もいたそうですが)。
わたしが行ったことのある欧米の国々では、何か入れ物をもって「お恵みを」と声をかけてくる人もいれば、お金を入れてもらう用の入れ物を自分の前に置いて道路に座り込んでいるホームレスの人たちも、お金を入れている人たちもよく見かけ、カルチャーショックを受けたものです。移民も多く、苦しい生活をしている人も多いと思うので、昔からそういう習慣が根付いているのでしょうね。日本ではホームレスを見て見ぬふりをしたり、邪険に扱ったりする人が多いですが、ヨーロッパではそういった人たちを排除しない。やさしい社会だなぁ、と思いました。
最近では日本も、どこかで災害や紛争などがあると寄付をしようという雰囲気があり気軽に寄付がしやすくなったように思います。また、以前はボランティアというと少し敷居が高いイメージでしたが、微力でも力になりたいという気持ちがあれば参加していいんだ、という風潮が広がってきた気がします。さすがに道端でお金をください、と声をかけるのはどうかと思いますが、本当に困っている人がいたら手を差し伸べられる社会になっていけるといいですね。