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9.1993年 世界最速ワゴン記録の意味

初代レガシィが10万キロ世界速度記録を達成し、それまで印象にないスバルのパフォーマンスや品質性能を世の中にアピールしたことが、特にインナーのやる気や自信につながった。というお話は以前お話ししました。

そのレガシィが2代目になる、コンセプトはLEGACY MY 1ST ワゴンが時代のファーストカーになる。担当は尊敬するIM先輩でした。そして、この2代目レガシィでも「記録に挑戦」することとなります。

8のSAJのところでも書きましたが、90年くらいに一気に火のついたRVブーム。もちろんまだ93年当時もアウトドアやキャンプブームみたいなものは続いてたと思います。各社から(似たような)ステーションワゴンがたくさん発売され、レガシィ以外のステーションワゴンも街でたくさん見るようになります。

初めのころはパジェロやレガシィに代表されるように「4WDの悪路走破性」みたいなモノがRVだったのですが往々にしてあることで「ブーム」になるとファッション化してきて、見た感じRVやFFのRVが乱立します。もちろんたまの週末キャンプに行くファミリーにとって本格的なRVは必要なくカッコRVで良かったのです。

時代と商品とターゲットの話は最初のころにしましたが、この図です。

初代はスキーブームやRVブームの時代の中、4WDワゴンという提供価値が市場に受け入れられてきましたが、上記のような環境の中RVの中でも、お客様ニーズが多様化してきます。

上記の図では2.5代目 1995年のところで「パフォーマンス」という価値を追記していますが、レガシィの「差別化」はここにありました。ちょうどWRCでのWRXの活躍も重なり、SUBARUに対する期待が「パフォーマンス」に向けられました。

結果的にこのころ爆発していたRVの販売もじきに収まってしまうのですが、レガシィはRV本来の価値以外の新しい価値提案で生き残ったと思っています。

93年の「世界最速ワゴン」にも既にその思いがありました。他のワゴンとの差別化。それがパフォーマンスだったのです。ロッド・スチュアートが語る「レガシィが俺のファーストカーだぜ」というコピーも「その速さ」「そのパフォーマンス」があったから、さらに説得力が上がったのでした。

95年にはビルシュタインダンパーを装着し280psという当時最高の馬力を誇るGT-Bがレガシィの歴史を変えるのですが、その片鱗は3代目デビュー時代に始まっていたのです。

時代とお客様の気持ち(ターゲット)は移ろいやすく変わっていきます。RV代表格のクルマも販売台数を落としていきます。その移ろう時代と気持ちに対して自社製品をいかにチューニングしていくか。新たな価値を提案できるか。これもブランド生き残り戦略かと思います。

変えてはいけない不易(お客様の期待)にたいして、移ろう気持ちが流行(新しいモノを求めるお客様の気持ち)だとするとブランドにとって変えてはいけないものを、いかにチューニングしていくか、または新たな共感される価値提供ができるか。そこにブランドの生き延び方があるのではないかと思います。

世界で一番速いワゴン。その意図はそこにあったのです。

ちなみに下記LEGACY BLOGは2006年に私が仕事として書いていたものです。残していただけていましたw


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