個とチームからはじめる人的資本経営の巻
今回は、人的資本経営をスピーディかつ本質的に実現する、世の中にはあまりない方法をひとつご提案したいと思います。
■人的資本経営の本質は?
経済産業省によれば、人的資本経営とは・・・人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方 と定義されてます。
その本質は何かを考えるためのヒントを中央大学大学院戦略経営研究科の島貫智行教授が、的確に示されています。
図式化するとこんな感じでしょうか。
■人的資本経営フレームワーク(田中弦モデル)
さらに、上記のような価値連鎖を起こすためのモデルを、ユニポスの田中社長が、2000社以上の人的資本開示情報を読み込み、優れたエッセンスを凝縮し作成されたのが「人的資本経営フレームワーク(田中弦モデル)」です。
ここまで明確に、わかりやすく整理されたものがあるのだから、あとは実践するだけという考え方もあるでしょう。
が、これまで僕が組織開発のコンサルタントとして数百社の現場支援にかかわってきた経験からすると・・・
この壮大な構造やプロセスの前に怯んでしまう経営者も少なくないのではないかと想像します。
僕は、「田中弦モデル」を人的資本最大化のための「マクロ・アプローチ」と勝手ながら呼んでいます。
これを全社に展開するためには、トップから始めて、人事部や経営企画部などが事業部と連携しつつ、アウトカムまで導き出し、それを統合報告書などで開示していく流れかと思います。
かなりの手間と時間もかかりそうですね。もちろん、覚悟と決意を持って邁進している経営者はほんとに素晴らしいと思います。
■個とチームからのミクロ・アプローチ
一方で、僕はもう少しシンプルに、個とチームから始めることの可能性を、実はここ数年間、クライアント企業との実践を通じて試行錯誤してきています。
人的資本経営という概念は、一般的には組織(企業)全体の視点で使われることが多いので、チームというスコープに限定するのかという疑問もあるかもしれませんね。
もちろん、限定するということではありません。主体性を発揮できる身の回りからはじめ、それらが組織内に徐々に波及していく創発的な動きをイメージしています。
個とチームからはじめる「ミクロ・アプローチ」と僕は呼んでいますが、個にフォーカスした「キャリアシフト」と、チームにフォーカスした「チームシフト」の二本立てです。
マクロ、ミクロの両側からのアプローチがあると、「田中弦モデル」をより実践的に進めていくこともできるのではないでしょうか。
■キャリアシフト(ミクロ・アプローチ①)
それでは、実際にどのようなことをしているのかをご紹介していこうと思います。
日本企業は、新卒一括採用の慣習などもあって、人財が画一的な傾向があると言われます。
しかし、本当にそうでしょうか?
僕は、日本企業の社員にも、深掘りしていくと、一人ひとり異なった想いや持ち味が明確にあると、実際のかかわりを通じて感じています。
たしかに、入社年次、キャリアパス、階層別研修などの視点でみると、どうしても似通った傾向が出てきがちなことはあるでしょう。
この図をご覧ください。
いまのお話は、主に「外的キャリア」の視点ですね。でも、「内的キャリア」に視点を移すと、実は極めて多様であることが見えてきます。
一人ひとりのキャリアは、同じ会社にいても、内的キャリアと外的キャリアの相互作用によって動的に形成されていくものなので、多様であるのは当然なのです。
人的資本を最大化するという観点からも、リスキリングや個を活かす人事制度などの前に、疎かにされがちだった内的キャリアに着目することが
「社員個々の意思や主体性を起点にする」上でも、重要だと考えています。
例えば、手前味噌になりますが、僕らが開発した新時代のキャリアデザインプログラム=マインドフルカフェ®︎は、
一般的なキャリア研修とはかなり様相が異なります。
簡単に申し上げると、「内的キャリア」にフォーカスし、一人ひとりに固有なキャリアの「ストーリー」創作を通じて、不確実な時代環境の中でも、意思決定をしながら歩んでいくガイドをご提供します。
以下のように全部で三部構成です。
「人的資本理論」によりノーベル経済学賞を受賞(1992)したゲーリー・ベッカーは、人的資本の所有者は、社員個々人であると説いていますが、個々の人的資本を高めるのに自己の内面に向き合うプロセスは個人の責任と言ってもいいかもしれません。
■チームシフト(ミクロ・アプローチ②)
個人の人的資本から組織的人的資本の創出をしていくには、チーム単位で具体的なプロジェクトを通じて、アクションラーニングしていく体験をすることが最も効果的だと考えています。
理想的には、その企業全体の理念や戦略を、現場のチームレベルまでブレークダウンしていくことがいいのかもしれませんが、
そこにかかる手間や時間のコストを考えると、まず自分の影響の及ぼせるチームから始める方が現実的、かつ本質的であったりします。
経験的に、そこにはふたつほど根拠があります。ひとつは、上位の方向性を落としていくと、どうしても合わせに行ってしまいがちで、自分たち自身の想いがこめにくいことがあります。
もうひとつは、自分たち起点で考え始めると、実は、その方向性が上位のものと重なることがとても多いということです。
これも手前味噌にはなりますが、僕の開発したチームラーニングのプログラム"あすbe"というものがあり、
以下の表のような流れで進めていきます。こちらの内容については既にnoteの他コラムで書いていますので、ご覧いただけたらうれしいです!
https://note.com/tongari_ken/n/nfe215f33b2ca
以上、人的資本最大化に向けたミクロ・アプローチについて2つご紹介してきました。
マクロ・アプローチを補完するもうひとつの可能性としていかがでしょうか?
おもしろいな、なんか気になるなと感じた方、「スキ」や「ブックマーク」いただけるととても嬉しいです。
では、また次回お会いできることをたのしみにしております!
▼メルマガ(ご登録ください!)
【とんがりチーム便】という僕が執筆しているメルマガにご登録いただけると、組織・人財開発まわりのとっておき情報を、毎週1便ずつお届けします。
https://academy1.jp/p/r/VW6PgnZP
▼note(フォローください!)
▼ホームページ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?