結城東輝(とんふぃ)

弁護士(スマートニュース/法律事務所ZeLo/二弁), NPO法人Mielka代表, …

結城東輝(とんふぃ)

弁護士(スマートニュース/法律事務所ZeLo/二弁), NPO法人Mielka代表, 慶應義塾大学KGRI客員所員, JAPAN CHOICE開発責任者, NewsPicksプロピッカー, Twitter:@tonghwi17

マガジン

  • 法曹の末席の戯言

    法曹の末席として、独り言と戯言をつぶやいています。

  • サービス・事業のLegal Design

  • ホラ吹き爺さん、嫌われ婆さん

    アメリカ大統領選挙を楽しんでいただけるよう、そして民主主義の未来を一緒に考えたく、アメリカ政治の様々なニュース・情報を、現地から、わかりやすく、発信いたします! タイトルは「ホラ吹き爺さん、嫌われ婆さん」。なんだか有名な本のタイトルみたいですが、すごく両候補者を的確に言い表しているように思い、これにしました。 そして、テーマは「民主主義はどこから来て、どこへ行くのか」。 皆さんと一緒に、民主主義の過去、現在、そして未来を考えたいと思います!

最近の記事

AIの透明性に関する考察・提案とChatGPT

ChatGPTなど生成AIの勃興もあり、AIのガバナンスや倫理的・法的な問題が盛んに議論されています。そのような中で、昨年度、東京大学公共政策大学院の社会人プログラムにおいて、AIの透明性に関する議論を整理し、一つの提案をまとめることができました。今回は、その概要を整理し、ChatGPTに関しても考察を加えてみます。 (論考の日本語本文はこちら・英語はこちら) 3行まとめ「AIアルゴリズムの透明性」について、体系的整理を行いながら、各国の規制とも平仄の合う開示項目のリストを

    • 21.5世紀の民主主義について

      成田悠輔さんの『22世紀の民主主義』(以下「本書」)を拝読したので、その内容を咀嚼しながら、現実の民主主義の脆弱性に立ち向かおうとしている身として過渡期における「21.5世紀の民主主義」について、整理しておこうと思います。 ※私は成田悠輔さんとは面識がありますが、当記事は何らかの対価を得て執筆しているものではなく、PR目的のものでもありません。 1.民主主義はオワコンではない1−1. 民主主義の発展と弱体化 動画メディア等ではラディカルな意見の述べられる著者だが、本書は冷

      • 食べログの裁判例から考えるアルゴリズムの透明性と公正性(特にBtoCプラットフォーム)

        先週、大手グルメサイト「食べログ」を運営する「カカクコム」に対し、チェーン店であることを理由に不当に食べログ上の評価点を下げられたとして、焼き肉・韓国料理チェーン店を展開する「韓流村」が約6億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が出た。裁判所は、食べログの独占禁止法違反(優越的地位の濫用)を認め、損害賠償として3840万円の支払いを命じた。一方で、当該アルゴリズム使用の差止請求は認められなかった。 本件は、AI・アルゴリズムによるランキング、レコメンデーションエンジンを

        • 選挙権のない人間が作った『JAPAN CHOICE』という選挙サイトについて

          総選挙の最後の週末を迎えるにあたって、ひょっとするとこれが最後になるかもしれないと思い、思い残すことのないように書いてみようと思いました。 『JAPAN CHOICE』という選挙向けのWebサービスの開発責任者をしているとんふぃと言います。「投票に必要な全ての情報が集まるプラットフォーム」を標榜して、これまで国政選挙のたびにコンテンツをアップデートして提供してきました。 僕一人で作ったわけではないので記事のタイトルは少しおこがましいのですが、発案者兼最終責任者としてこのサ

        AIの透明性に関する考察・提案とChatGPT

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          19本

        記事

          反ワクチン本がAmazonから削除されたことが意味する本当の危険性

          つい数日前、以下のツイートを見て、いわゆる「反ワクチン本」の一つがAmazon.co.jp(以下「Amazon」)のランキングから消え、取扱い自体がなくなったことを知りました。 sekkai氏は学生時代から付き合いのある、心から尊敬している友人の一人であり、彼の問題意識から出た行動が大きく社会を動かしたこと自体は称賛に値するものだと考えています。 しかし、法曹の端くれとしては、アマゾン社による対応が意味する危険性と厄介な問題を記しておく必要があると思いますので、簡単にまとめ

          反ワクチン本がAmazonから削除されたことが意味する本当の危険性

          五輪直前の水際対策が結構すごかった話

          つい先日、サンフランシスコへの出張から帰国した際に、五輪直前の水際対策を身を持って知ることになったため、今後入国される方、あるいは海外からの入国の水際対策を気にかけている方のために記録しておこうと思います。 1.着陸してもすぐには降りられない無事に10時間半のフライトを終えたと思っても、着陸後すぐには降機できません。まずは国際線の乗り継ぎを行う乗客から順番に降りていき、日本が最終目的地になる乗客は最後となります。 2.降機後、人数確認が行われる飛行機から降りると、ソーシャ

          五輪直前の水際対策が結構すごかった話

          「言論検閲なしSNS」を謳うParler(パーラー)は必然的に配信停止に陥った

          [追記: 2021年1月12日19時40分] AWSのメール文章とParler内でどのような投稿があったのかが米国で報道されているため、その点文末に追記しました。 [追記終了] トランプ支持者を始めとして多くの保守系のユーザーが利用していたParlerというSNSがGoogle, Appleのアプリストアから配信を停止させられ、さらにはAmazonからもウェブホスティングサービスの利用を停止させられたため、2020年1月10日現在、一切サービスを利用することはできなくなって

          「言論検閲なしSNS」を謳うParler(パーラー)は必然的に配信停止に陥った

          なぜ民主主義は「数百万人」が最適な規模なのか

          2020年12月31日になぜこんな記事を書きたくなったのか。 改めて考えると今年は、各国で新型コロナウイルスが蔓延し、上手く対応できている国とできていない国の「緊急事態時の政治レベル」の差が如実に現れた一年でした。権威主義的な国家が上手く強権的な管理を行いウイルスの封じ込めに成功した一方で、台湾やニュージーランド等の民主主義国家も同様に透明性の高い管理・規制によって被害を最小限に抑えています。(各国で異なる政策が取られた背景事情などは、別稿で論考を掲載しておりますので、ご興味

          なぜ民主主義は「数百万人」が最適な規模なのか

          検察庁法改正案/黒川氏/ゴーン氏に関する政府の会議の最終報告書について

          本日、法務・検察行政刷新会議第9回会議が終了し、会議体としての報告書を上川法務大臣にお渡しする運びとなりました。(事の発端となった元検事長が同日に検察審査会で起訴相当とされていることは皮肉な出来事でした。)ついては、2020年上半期を揺るがした大事件を受けて設立された会議で何が話され、大臣に報告されたのかを、参加した立場のけじめとして記載しておこうと思います。 発足の経緯と選任法務・検察行政刷新会議とは、ある2つの事件によって法務省・検察庁が国民の信頼を失ったため、そのあり

          検察庁法改正案/黒川氏/ゴーン氏に関する政府の会議の最終報告書について

          フードデリバリーのLegal Design~出前館/楽天デリバリー/dデリバリー/Wolt/menu/Chompy編~

          前回の記事ではUber EatsのLegal Designをご紹介したため、同じフードデリバリー業界で活躍する出前館、楽天デリバリー、dデリバリー、Wolt、menu、ChompyのLegal Designを考えてみようと思います。実は各社異なる戦略を取っており、様々なパターンがあるため、フードデリバリーに利用するユーザー、店舗、配達員の方々にはぜひ知っておいていただきたいなと思います。 (前回の記事は以下よりご高覧ください。) おさらい:Uber EatsのLegal D

          フードデリバリーのLegal Design~出前館/楽天デリバリー/dデリバリー/Wolt/menu/Chompy編~

          『性差(ジェンダー)の日本史』展は私たちの”常識”に挑戦し、不快にさせる

          国立歴史民俗博物館で企画展示として開催されている『性差(ジェンダー)の日本史』展に行ってきました。結論、久々に感動を覚えるほど常識を揺るがされ、良質な不快感を生み出し、自らの不知を恥じ、また一歩、過去の囚われから解放される契機となったため、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたいと思い、扉までの案内人を務めたいと思います。 遠さの絶望は、心地よい違和感と向き合う時間に大変失礼ながら、私は電車の中吊り広告でこの企画展を知った10月初旬、こんな罰当たりなツイートをしていました。

          『性差(ジェンダー)の日本史』展は私たちの”常識”に挑戦し、不快にさせる

          『パチンコ』という小説の読書体験について

          『パチンコ』(ミン・ジン・リー著、文藝春秋社)という小説を読みまして、大変良い読書体験をしたため、短い感想を記しておこうと思います。 この本は、米国在住の韓国系アメリカ人作家ミン・ジン・リーが30年以上構想を練り、書き上げた小説で、1910年の日韓併合から1980年代を生きた四世代に渡る在日コリアンの物語です。しかし、在日コリアンに関する記録や論考、議論に多数触れてきた私としては、正直内容そのものに惹かれて手に取ったわけではありませんでした。むしろ、オバマ前大統領がこの本を

          『パチンコ』という小説の読書体験について

          (初公開)アメリカ大統領選挙は私たちに何を語りかけ、民主主義はどこへ行くのか

          2016年、クラウドファンディングで応援資金を集め、4ヶ月弱アメリカに滞在し、現地で最先端の選挙戦、情報戦をリサーチし、トランプ大統領の誕生を目撃しました。その直後、応援してくださった方々に対して、「アメリカ大統領選挙は私たちに何を語りかけ、民主主義はどこへ行くのか」と題したリサーチペーパーを作成し、お渡ししました。 あれから4年が経ち、まもなく2020年大統領選挙の投票日を迎えます。当時を振り返り、4年前の大統領選挙で何が起きたのか、当時自分は民主主義がどこへ行こうとして

          ¥500

          (初公開)アメリカ大統領選挙は私たちに何を語りかけ、民主主義はどこへ行くのか

          ¥500

          フードデリバリーのLegal Design~Uber Eats編~

          Uber Eatsの配達員が起こした追突事故について、Uber Eats運営企業の日本法人が提訴されるというニュースがありました。この件に限らず、そもそもフードデリバリーというのはどのような契約関係のもとで成立しているのか。実はそのあり方は事業者によって異なるため、そのLegal Desginを図解してみます。 今回図解してみるのはフードデリバリー市場でシェアが圧倒的に高いUber Eatsです(2020年7月20日付MMD研究所調査)。業界2位の出前館も次回扱ってみようと

          フードデリバリーのLegal Design~Uber Eats編~

          ドコモ口座問題と本人確認手続/KYCのあり方について

          NTTドコモ提供の電子決済サービス「ドコモ口座」からの不正出金問題について、既に様々な専門家が問題点や防衛策を提示されていますが、アルゴリズム社会におけるプライバシーとセキュリティに強い関心を持つ法曹の身として、後学のためにも各プレイヤーの契約関係と本人確認手続に関する論点を整理してみたいと思います。 1.ドコモ口座の概要について「ドコモ口座」とは、公式サイト上では、「ネットやアプリ上で送金やお買い物ができるバーチャルなお財布です」と紹介されていますが、要するにオンラインで

          ドコモ口座問題と本人確認手続/KYCのあり方について

          CCPA規則の全文日本語訳

          2020年1月1日から施行されているCCPA(米国カリフォルニア州の消費者プライバシー法)ですが、先日8月14日に州行政法局(OAL)が最終執行規則案(以下「CCPA規則」)を承認し、いよいよ現実に執行が可能になりました。 CCPAへの準拠だけでも色々と苦慮されている事業者も多いかと存じますが、このCCPA規則は、単に細かな執行関連の事項を定めているのではなく、①CCPAには言われていなかったような追加的な義務があること、②明確かつ細かな実務オペレーションを規定していること

          CCPA規則の全文日本語訳