サードパーティCookie終了後のナーチャリングのコツ:BtoBマーケで1セッションを最大限活用するSAPの事例
このnoteでは、サードパーティーCookie廃止後のナーチャリングのコツとして、1セッションを最大限活用している海外事例をご紹介します。
これまで、一度離脱した顧客に対して、リタゲ・リマケ広告で追いかけるというのはBtoBのマーケでも広く行われていたのではないでしょうか。
サードパーティCookie廃止後はこういった施策は難しくなり、セッションから離脱させないことや、1セッションを最大限活用することが重要になってきますが、まだ日本ではあまり意識されていないと思いますので、海外の取り組み事例を中心にまとめていきます。
サードパーティCookie終了まであと1年
2018年5月にGDPR(General Data Protection Regulation)が発効し、EC圏ではCookieも個人情報として扱われることになりました。日本においても、2020年6月の個人情報保護法改正で、Cookie自体を個人情報とはしていないものの、他の情報と紐付けることで個人を特定できる情報を「個人関連情報」と定義しており、第三者提供には個人の同意が必要となりました。
こうした背景もあり、AppleのブラウザSafariでは2019年9月のITP2.3でサードパーティCookieのブロックが既にデフォルト化されていましたが、国内シェアNo.1のブラウザであるGoogle Chromeでも2022年1月頃にはサードパーティCookieのサポート終了と発表されています。
(日経新聞でも大きく取り上げられました)
このように個人のプライバシーが重視され、個人を特定しての追跡が難しくなるという潮流は加速しているのが現状です。
一度サイトから離脱した個人を追跡することは難しくなると、1セッションが重要に
一方、Googleの調査によると、消費者の88%は購買に至るまでにネットでの情報収集をしており、平均10.4個のコンテンツを見ているというデータもあり、多数のコンテンツを購買担当者に見せていくことはBtoBでも非常に重要です。
BtoBのマーケティングでもサードパーティCookieを活用したリタゲ、リマケ広告の配信などを行っている場合も多いと思いますが、今後はターゲティングの精度を上げることが難しくなるため、これまでのような、1メールで1コンテンツを訴求、1広告で1コンテンツを訴求、という情報提供の仕方では、なかなか購買までたどり着かない上、コストもかさむことが考えられます。
こう考えていくと、顧客が例えば広告に興味を持ってクリックしたその1セッションの重要性は相対的に増していくのではないでしょうか。
SAP CloudERPチームの海外事例
SAP CloudERPのマーケティングチームでは、顧客体験をより良くしながら商談を創出するための戦略の一つとして、「オンデマンドの体験提供」を掲げています。これは、顧客が必要とする情報を必要なときに与えることや、コンテンツを適切な文脈で、適切なタイミングで与えるようなイメージです。
具体的な取り組みとしては、Webサイト上で関連するコンテンツをまとめ、"フォーム入力なしで"見られるように提供しています。
例えばファイナンス機能に興味を持って流入した顧客に対して、関連する動画コンテンツをまとめたページに誘導し、好きなだけ見られるような整備をしていました。
3つ以上の動画コンテンツをみた場合は興味を持っているとみなし、リクエストのポップアップを表示するようにしたところ、デモリクエストへのトラフィックの11%はこれらのコンテンツから生まれているそうです。
このように、興味を持っている顧客に対しては、せっかく獲得した1クリックを最大限活用して、そのまま関連情報を収集し続けることができる導線を用意することが購買を加速させるための近道となっていると考えられます。
獲得した1セッションで最大限活かすための取り組みが重要
今後「個人の行動データに基づいたターゲティング」が縮小されることを踏まえて、より1セッションを活かすことが今後のマーケティングの鍵になってくると思いました。
現状の日本では、ホワイトペーパーなどを見ようとフォーム入力をすると、PDFファイルがローカルにダウンロードされてしまい、それ以外の導線が整備されていないことが多い印象です。
一度離脱してしまうとリタゲしにくいことを考えると、興味を持って入ってきたタイミングで、豊富なコンテンツにアクセスしやすくすることは、一つの方法として考えられると思いました。
(2021年4月からはGoogleがCookieの代替技術の実証も始めるということですが、いずれにしても特定の個人を追跡することはできなくなるものと思っています。詳細まできちんと理解できていないので、今度調べて書いてみます。また、詳しい方がいらっしゃったらお伺いしたいです・・・。)
※一方で、多忙なビジネスパーソンから1セッションでどのくらいの時間を取れるのか、というところは考えどころです。
おわりに
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