バレエと日本舞踊と即興で舞台をつくること、現代芸術の空白
19歳の頃にベルリンに留学した時以来の友人である、ギタリスト作曲家の山下光鶴とともに、一から舞台作品を創作しそれを逗子で上演します。
彼は最も尊敬する同世代の音楽家で、ギターの超人的なテクニックはもちろんのこと
熟達した芸術的価値観、想像性を持っています。
今回は金閣寺放火事件を元に、完全にオリジナルの新たな作品をつくります。
ドイツに留学していた頃
「自分が東洋人として西洋音楽を学び、生業にする」ということに関してどこか疑問持つようになったことがあり
光鶴と議論を交わしたこともありました。
しかし西洋の楽器や音楽は自己表現の方法であり、目的ではありませんでした。
何を表現するかが重要であり、その方法が問題ではないのです。
今回はバレエ、という西洋の美意識を象徴するような舞踊と
日本の美意識の象徴である日本舞踊
西洋とも東洋とも言えるギター、打楽器
西洋を象徴するようなトランペット、ヴィオラという異色な編成の
半即興の室内楽で場面が描写されていき、主人公の破滅までを描きます。
今回の主人公である溝口は現代社会の生きづらさを具現化したような人物。
誰しもが共感できる部分を持ち合わせています。
事件当時の戦後も大きな価値観の転換機でしたが
24時間オンラインになったここ10年でも人々の生活や価値観、悩みは大きく変化しました。
事件から70年以上経った今、再び今日の私たちに疑問を投げかけます。
「その人を生きる」とはどういうことなのか。
そして今回もこの哲学的な舞台を逗子・葉山の子どもたちに届けたいんです。
現代芸術の空白
現代芸術は「答えをそのまま教えないで考えさせる」ということができます。
ドラマも早送りでみて早く結末を知りたい人が多いという現代ですが
1時間スマホを見ないでじっと舞台を観て
「どういうことなんだろう」と考えること
「自分はどう思うのか」ということには答えがありません。
それは純文学を読む楽しさや絵画を見る楽しさと似ていて
子どもの頃に体験しておくと、その楽しさを知るきっかけをつくることができます。
子どもにはわからない、と大人が決めつけることが1番子どもの成長を阻みます。
「わからないもの」に触れた時、それがなんとなく心に残っていて
いつか合点が行く時がくるかもしれません。
私自身、小学生の頃に「若者と死」「ボレロ」などのバレエ作品をみて
当時は意味がわかりませんでしたが、とても印象に残っており今になって感じることは非常に多いです。その当時触れていなかったらそう思うことはなかったでしょう。
そんな私達の想いに、葉山町と逗子市教育委員会が理解を示してくださり
後援をしていただけることになりました。
今後も逗子のため、子ども達のためになるような企画をしてまいります。
バレエ、日本舞踊、室内楽による新作舞台
「金閣寺」ーその人を生きるー
活けられる花
令和5年5月6日(土)
15:00開演/ 14:15開場
16:00終演(休憩無し)
一般 ¥2,500
高校生以下 ¥500
暗闇の中。見えないことへの不安と見られないことへの安心。
そのどちらがまさるのか……。
戦後の転換期に起こった事件――劣等感と無力感にさいなまれた1人の青年が自らの美の象徴へ火を放った――が今日を生きる私たちに再び投げかける、「美とはなにか?」という問い。
美への憧れと、それに由来する孤独感。内に閉ざされた世界で空回りする自虐的な豊かさ。焦がれる心と不具の烙印、消えたいという想い……。
破滅へと至る魂の苦悩を、バレエ×日本舞踊×室内楽という異色の組み合わせで描く。
【作曲・構成】
山下 光鶴
ホームページ
【出演者】
バレエ:齋藤 充央 @saitomitsuhisa
日本舞踊:永野 碧衣
ギター:山下 光鶴 @terukaku_yamashita_guitar
トランペット:齋藤 友亨
@tomoyukisaito_
ヴィオラ:村松 ハンナ
@vla_hannah
打楽器:齋藤 梨々子、難波 芙美加 @fuuuusummer
【プロデュース】Ensemble Classica Zushi
【後援】逗子市教育委員会、葉山町、HAUSEN(株)