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あとを引く「平場の月」

バツイチどうし50歳男女の恋愛物語。
たやすく打ち明けられない過去、経済的なこと、病気のこと。でもそういった背景が描かれている小説の印象とはまったく異なる没入感に覆われる。

絵画なら写実主義。
スーパー・ヤオコーでの買いもの、氷結ロングの家呑み、若い頃の恋愛は覚えているのに同じように振舞えない50歳。
全編を通じてたリアルさが、同世代やその上の世代の読者の心を揺らす。
共感、なんだけど、ちょっと違うかな。
友人と頷き合うような共感じゃない。誰もがそれぞれ奥底に持っている、秘めている何かを揺らされる感じ。

いやあ、あとを引く小説だなあ。
予備知識もなく手に取ってからの一気読み。
勝手に男性作家だと思い込んでいて、読み終えてから朝倉かすみという作家のプロフィルを調べた。別のも読もうと思っている。


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