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今読むべき。沢木耕太郎「天路の旅人」

少し前に就職活動を控えた学生から、「学生のうちにやっておくべきことは何だと思いますか」と聞かれたことがあって、僕は「ひとり旅かな。自分で考えて前に進むというひとり旅の経験は社会人になって活きるよ」、そんな感じのことを話した。
たいしたアドバイスではないと思いながらも、先の見えない将来を案じているだろう学生に、応援するような気持ちから出た言葉だった。

同時に、実は僕自身が旅を欲しているということも自覚していて、そんなときに沢木耕太郎の新作ノンフィクションが出ること、そしてそれが”旅もの”だと知った。
沢木最長編となるこの「天路の旅人」は、月刊新潮の8月号と9月号に掲載される。
8月号は発売の週末に3件の書店に出かけたが売り切れていて、仕方なく予約を入れて数日後に手にして、さっき読み終えたところだ。

 西川一三は、第二次大戦末期、敵国である中国の、その大陸の奥深くまで潜入したスパイである。…
 二十五歳のとき、日本ではラマ教といわれていたチベット仏教の蒙古人巡礼僧になりすまし、日本の勢力圏だった内蒙古を出発するや、当時の中華民国政府が支配する寧夏省を突破し、広大な青海省に足を踏み入れ、中国大陸の奥深く潜入した。

はやく後編が読みたい。


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