2月に読んだ本の紹介と感想
こんにちは、灯城(ともしろ)と申します。
早いものでもう3月ですね。
私の家の近所では梅の花が見頃を迎えている気がするのですが、もう桃の節句も目前です。
桃の花はどこかに観に行けたら良いなぁなんて、あたたかくなってくる陽気に誘われそうです。
さて、3月初めには2月中に読んだ本の紹介と感想を記事にしようと思います。
ちなみにこちらが先月分です。通し番号は先月より受け継ごうと思います。
6.『青列車の秘密』 アガサ・クリスティー/青木久恵 訳
7.『ムーミン谷の夏まつり』 トーベ・ヤンソン/下村隆一 訳
8.『邪悪の家』 アガサ・クリスティー/真崎義博 訳
9.『文章力の基本』 阿部紘久
10.『エッジウェア卿の死』 アガサ・クリスティー/福島正実 訳
以上5冊が、2021年2月中に読んだ本となりました。
一人アガサ・クリスティー祭りを開催しておりました…笑
だって面白いんですもの!それにクリスティー文庫は全部で102冊もあるのです。毎月ちょっとずつ読まないと読破できる日は訪れることなく…と気付いた私は、張り切って今月は3冊手に取ってしまいました。
というわけでアガサ・クリスティー中心にお届けする今回となりますが、事件そのもののネタバレはしないので、お暇でしたらぜひお付き合いいただけたら嬉しいです。(※セリフの引用などはしております)
『青列車の秘密』
「名探偵ポアロシリーズ」からの作品です。
まず、皆さまはポアロをご存じでしょうか?
2017年に『オリエント急行殺人事件』が改めて映画化されていますし、観たことのある方、興味を持たれている方は多いかもしれません。
ご覧になった方はわかると思うのですが、アガサ・クリスティの作るお話は本当に面白い!結末がわかっていてもハラハラドキドキの展開があります。最新の映画の出来も素晴らしくて良かったですね…!
ただ、個人的にはやっぱりデヴィッド・スーシェのポアロ像に勝てるものはないと思います。見た目、雰囲気が本当に理想。ポアロを読むときは、どうしてもデヴィッド・スーシェの姿を想像して読んでいます。(↓のシリーズで出演されている俳優さんです)
さて、今回読んだ『青列車の秘密』も、『オリエント急行殺人事件』と同じく列車が舞台となっていますが、もちろん内容や事件概要、犯人はまったく様子が違います。
走行中の豪華列車<ブルー・トレイン>で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!
【背表紙あらすじより】
ポアロという人物は、シャーロック・ホームズに負けず劣らず癖の強い人物でして、「灰色の脳細胞」を駆使する自分のことを世界最高の探偵である、と信じて疑わない自信家の面があります。反面、女性対してはとても優しく物腰柔らかでちょっぴりキザな紳士です。(自らを「パパ・ポアロ」と名乗ったり。笑)それから整理整頓に厳しく、乱雑さには我慢できない面も持っています。
そんなポアロのことをちょっと鬱陶しく思ったり、頼もしく思ったりで近くにいる「ヘイスティングズ」というキャラクターがいるのですが、この巻では不在でした。代わりに「ジョルジュ」という執事がなかなか面白いやり取りを繰り広げていたので必見です。
それからこの巻にてポアロの自信家な面がよく現れているシーンがあったので引用しておきます。(といっても自信家シーンは毎巻必ずあると言っても過言ではないですが。笑)
「わたしの名前はエルキュール・ポアロだ」
「はい、ムシュー?」
「きみはこの名前を知らないのか」
「一度も聞いたことがございません」
「悪いけど、きみの教養の程度が知れるね。世界の偉人に数えられる人間の名前だよ」
男はため息をついて、胸の上で手を組んだ。
こういうシーンが本当に面白いんですよね~!
敢えてポアロのことを知らない人間をあてがうことで、ポアロの自信家の面を強調しつつ、振り回される周りの人間の微妙な反応を書いたり、呆れる様子を書いたり、アガサ・クリスティーは会話のやり取りや反応を書くのが素晴らしく上手で、毎回引き込まれて読んでしまいます。
『ムーミン谷の夏まつり』
この記事を書こうと決めて、書いていくうちにもう一度読み直してしまいました。笑 でも、ちゃんと読み直すのは結構久しぶりのことだったのでとても面白く読むことができました。
やっぱり、歳をとって読み直すと感じるものが変わってきますね。
昔は、ムーミンやスノークのおじょうさん、スナフキンに感情移入して読んでいたと思うのですが、今回はムーミンママや、ミーサ、ホムサ、フィリフヨンカに共感しながら読んでいたように感じます。
そのうえ、エンマの気持ちがわかるようになってきていたのは本当に年の功だなと…(?)
これからも、折を見て読み直していきたい作品です。
『邪悪の家』
名探偵ポアロは保養地のホテルで、若き美女ニックと出会った。
近くに建つエンド・ハウスの所有者である彼女は、最近三回も命の危機にさらされたとポアロに語る。まさにその会話の最中、一発の銃弾が…。ニックを守るべく屋敷に赴いたポアロだが、五里霧中のまま、ついにある夜惨劇は起きてしまった! 【背表紙あらすじより】
まず、表紙が急に可愛くて面白かったのですが、(他のものはずっと何か暗めの写真だったのに、これだけ急にこのカワイイイラストなんです)この話、私はとっても、すごく、めちゃくちゃ大好きでした…!
なるほどー!ってなるんです。
アガサ・クリスティーは、毎回いろんな手法を使って読者を驚かせたり楽しませたりしてくれてもう本当に大ファンなんですが、この巻もその例にもれずすごく面白かったですね…。そしてこの話には、ヘイスティングズがでてきます!という訳でポアロのヘイスティングズへ向けたある意見を紹介します。
「ヘイスティングズ、きみは私に大きな影響力をもっているな。まちがった方向へ向くきみの嗅覚が強烈で、あやうく信じてしまうところだった!きみはね、本当に賞賛すべき人間だよ。正直で、信じやすくて、おまけに高潔ときている。悪人にかかったら必ずひっかかってしまうタイプだな。騙されて、怪しげな油田とかありもしない金鉱に投資してしまうタイプさ。きみみたいな人間がたくさんいるから、詐欺師も楽に稼げるんだ。まあ、とにかく――□□□のことはじっくり調べるよ。きみのおかげで疑念がわいてきたからね」
こんな言い草あります?笑
あまりに言いたい放題しつつ、賞賛するものだから本当に面白くて…。
でもヘイスティングズも黙ってはいません。
「おい、ポアロ」私は腹を立てて言った。
「ずいぶんバカげたことを言うじゃないか。世界中を旅してきたこのおれをつかまえて――」
「何も学んでいないんだよ」ポアロが悲しそうに言った。
「あきれてしまうが――それも事実なんだ」
もう。笑
このやり取りはもうしばらく続くのですが、この辺にしておきます。
ポアロはヘイスティングズのことをからかってというか、心を開いている人物だからこそ、自分が普段から他人に思っていることを包み隠さず言いたい放題するのだと思うのですが、ヘイスティングズ君もけして愚鈍な人物ではありません。ただ…正直で、信じやすくて、おまけに高潔な、素晴らしい人物であることは注意として記しておきます。
『文章力の基本』
文章力をなんとかしたいと思ってですね…。笑
結論からいうと、要点がまとまっていて難しく考える必要がなく、わかりやすかったです。
間違った文章を例にして、それを正しく書き直すと言った形式をとられているのですが、それが学生時代に戻ったような感覚を引き起こしてくれたように感じます。ちょっと厳しい先生に指摘されている感じ。
すぐすぐの活用は難しいですが、「おっとこの場合はこうした方がいいんだよな」というふうに気を引き締めるのに役立つ一冊といった感じです。
まさに「簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック」と言った本でした。その根拠となる文献などに触れつつも、そこまで難しいことは考えずに、的確な感覚を掴むのを優先しているような本なので、「より詳しく知りたい!」という方にはあんまり向かないかもです。個人的には十分満足な内容でございました。
『エッジウェア卿の死』
自宅で殺されたエッジウェア卿の妻は、美貌の舞台女優ジェーン・ウィルキンスンだった。彼女は夫との離婚を望んでおり、事件当夜屋敷で姿を目撃された有力な容疑者だった。しかし、その時刻に彼女はある晩餐会に出席し、鉄壁のアリバイがあった…。数多の事件の中でもっとも手ごわい敵に立ち向かう名探偵ポアロ。 【背表紙あらすじより】
これも面白かったですね…。
アガサ・クリスティーは本当に人物描写や、そのキャラクター像を活かして書くのがすごくて「この属性の人間ならこう動く」という動かし方が本当にうまくて毎回舌を巻いてしまうのですが、この話も圧巻でした…!
今月読んだ三冊いずれも甲乙つけがたく、全部違った魅力があって全部面白いので本当にすごいです、アガサ・クリスティー…。しかもこの面白さで102冊もありますからね、クリスティー文庫。もはや恐ろしさすら感じる。
毎巻、翻訳の方が違っているので読み始めは口調に違和感を覚えることなどもあるのですが、読み進めていくうちにあまり気にならなくなります。
この話にもヘイスティングズが出てくるのですが、彼に向けられたポアロのセリフに少しきゅんとしたので紹介いたします。
「人は他人から習い覚えるべきではない。おのおのの個人は、その個性をこそ限界点まで伸張させるべきであって、決して他人の真似をすべきではないのですよ。わたしはあなたが第二の、もしくは二流の”ポアロ”たることを望みません。あなたが最良の”ヘイスティングズ”たることを望みます。そうしてあなたはまさに最良最上のヘイスティングズです。あなたの内部には、ほとんど完璧に近い正常なる人間精神があります」
これは、ポアロ自身では「犯罪者が望んでいたであろう本来の結末」を読むことが困難な場合があることを指摘して、ヘイスティングズがヘイスティングズとして存在しているからこそ(善良な人間の見本としての反応をみせてくれるからこそ)あなたのことが好きですよ、というようなことを実に回りくどくヘイスティングズに教えるシーンに繋がる言葉です。
このお話のなかでは、一貫して「その属性に所属している人間のとる行動」というものがテーマになっていると感じました。
これ本当に面白かったですね…。最後の章にはちょっと鳥肌が立ちました。
おわりに
2月は逃げる月、なんて聞いたことがありますが本当にあっという間の2月でした。そして私の2月はミステリーとともにあったので、ちょっと刺激的でしたね。
ミステリー小説、本当に面白いです。一番好きなジャンルかも。
起承転結がわかりやすいですし。
世の中には、今この瞬間にも新しい小説がどんどん誕生しているだなんてわくわくしますね。それと同時に読む時間が圧倒的に足りなく感じて、焦ることもあります。笑
とはいえ時間は有限なので、また今日から1か月、自分がどんな本を選んで、またどんな本と出会えることになるのか楽しみです。
それでは、ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございます!とっても嬉しいです…!
それでは失礼いたします。
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