【Shinkaレポート】2.リアル店舗だからこそ!
「接客が必須」ではないスタイルの店舗があります。
一般的に「セルフ購入型」と言われる店舗です。さまざまな業態がありますが、今回は、各地の商業施設に増えている、セレクトショップ、ライフスタイルショップと言われる業態に注目してみました。
これらのお店の特徴は、何と言っても「発見する楽しさ」です。多くの商品からお気に入りを見つける特別感、思いがけない出会いへの期待。POPや説明文も豊富な店舗が多く、ひとりでも楽しく、不自由なく、商品を選べます。
では、このスタイルの店舗における「魅力的な接客」とは何でしょうか。
今回は、複数の「食品セレクトショップ」を調査しています。中でも、この2店舗が特に印象的でした。
「おいしいですよ」だけでは終わらせない、試食販売
試食販売は、お客様の足を止めるために、とても効果的です。コロナ禍が落ち着き、一部の店舗では試食販売が復活しています。
ある店舗では、「どうぞ~、召し上がっていきませんか。おいしいですよ」と笑顔で声を掛けられました。「おいしいでしょう、〇〇です」と複数のお客さまに同時に声を掛け、試食を勧めているスタッフ。
「このお米がおすすめ?」と尋ねると
「おすすめというか…ごはんだけで十分なんですよね。甘味があって味が柔らかくて、粒がしっかりしてるんですよね。それに珍しい。これは福井県の~」と産地のエピソードまで、情感豊かに説明してくれました。
試食を呼びかける際には「おいしい」とシンプルに伝えていましたが、商品説明の際には、その「おいしさ」を様々な言葉で表現していたのが、とても印象的です。
さらに、別の商品についても「この魚は産地では縁起物なので、贈り物に入れるのもすごくいいです」といった説明がありました。
「説明文やPOPだけではわからない、1ランク掘り下げた商品情報」と「目の前のお客様の要望」とを掛け合わせて、お客様の満足感を高める接客。
この「コンサルティングセールス」のスタイルは「セルフ購入型」店舗においても、やはり効果的なのだと、あらためて実感しました。
「パッケージにはこう書いてありますが…」
別の店舗でも、試食販売をしていました。10種類以上の類似商品を並べ、「いかがでしょうか~」と声を掛けながら、お客様の要望に応じて、比較検討を勧めています。
こちらでもギフト用に「おすすめ」を尋ねたところ
「しゃぶしゃぶかお鍋かで言ったら、お好みどちらですか?」と、すぐに要望を確認して、人気商品をいくつか提示してくれます。
数点に絞り込んで検討していると、スタッフは「出汁鍋でしたら鶏肉が。ゴマ鍋でしたら、逆に豚肉とキャベツ」と具体的なレシピを提案し、こちらが「キャベツ?」と言うと「キャベツが合うんですよ~!ゴマなので味がしみこんでクタっとした感じで。しめじとか一緒に入れていただいたら~」と、とても明るい雰囲気で説明を続けます。
さらに、パッケージの写真を見せて「これはレタスですが、私的にはキャベツでも!」と実感をこめて語るので、自然とこちらまで笑顔に。
自身のために購入した場合、おそらくスーパーで「スタッフさんがキャベツって言ってたな」と思い出すことでしょう。
ギフトにした場合も、つい、相手の方に「お店の方がキャベツで作るのをオススメしてました」と伝えたくなってしまいます。
ひとつの商品から始まる、プラスαのストーリーを受け取ること。これぞ、リアル店舗でお買い物をする醍醐味だと感じる接客でした。
私たちは「すべての店舗で、絶対に接客をするべきである!」とは考えていません。
そこにはブランドのコンセプトがあり、スタッフの人員状況があり、また個々のお客様の意向、地域性などもあるため、決して「ひとつの正解」はないと思います。
それでも、せっかくリアル店舗を運営し、そこに専門スタッフが常駐しているのであれば、、
スタッフには、お客様と商品の出会いのきっかけを提供する「プロフェッショナル」であってほしいというのが私たちの願いです。
Shinka lab株式会社
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