はじめに
この文章は、図らずも12歳で神戸の親元を離れ、東京都東久留米市にある自由学園で寮生活を始めることになった次女カノンと送り出す側の僕自身に向けた長めの備忘録です。
記憶がとても不得意ですし、そもそも思い出すたびに記憶ってどんどん変化していくそうなので、新鮮なうちに可能な限り、何があって何を感じたのか記録しておこうというわけです。
カノンには高校を卒業する前後にでも読んでもらえると嬉しいなって気持ちで書いています。
高田家の子どもたちは3姉妹+長男という構成になっていて、4人ともカメラの名前にちなんでいます。
長女はリコ(RICOH)
次女はカノン(Canon)
三女はライカ(Leica)
長男は穣多(じょうた)なのですが、「穣」を訓読みするとミノルタ(MINOLTA)になるようになっています…笑
基本的には内輪向けの備忘録ですが、いつかの誰かの参考になるとしたら嬉しいのでその辺りもすこしだけ意識して書き進めます。もし良かったらどうぞ〜
入学式のこと
2024年4月12日(金)に行われる入学式に向かうため12日の未明1時に車に荷物を乗せ、カノンと奥さん、僕の3人で出発。
リコ、ライカ、ジョータの3人はお留守番。
(ちゃんと起きて学校行けるかなぁ、とすこし心配していましたが杞憂でした。いない時の方がしっかりしますね)
海老名SAで着替えと休憩で1時間使ったので朝の渋滞に巻き込まれてしまいました。もう少し早く到着する予定だったのですが、自由学園には受付終了の10分前に到着。間に合って良かった・・・。西日本側から向かう場合は7時までに用賀インターを降りられるように行くのが安全だと思います。高速を降りてから着替えても良いわけですし。
運んできた追加の荷物などを一時的に預かってもらい、記念講堂へ。
自由学園は今年から共生共学へシフト。
自由学園 第104回入学式
以下の式次第で進行していきました。
新入生入場
聖書朗読
礼拝
氏名点呼
入学宣言
星の貼付
祝辞
歓迎の言葉
校歌「自由をめざして」
新入生退場
入学宣言では更科学園長より
と誓いの言葉が宣言されました。自然体で言葉がスッと入ってくるとても良いvoiceでした。そして104つ目の星が学園旗?につけられたのち、再び学園長が登壇し、在校生の方々と合唱してくださいました。
今まで経験したことのない雰囲気でなぜかよくわかりませんが、込み上げてくるものがありました。あたたかく迎え入れられる安心感なのでしょうか。
学園長のみならず、在校生のみなさんがそれぞれにご自身のvoice を持っているように感じられました。
みなさんの声を聴いていて僕は内田先生のブログを思い出しました。
身体全身で言語化できない何かを受け取るという稀有な経験をして、講堂の外に出ると小雨が降った後だったようで、木々が瑞々しく潤っている感じがとても美しく、つい何枚も写真を撮影してしまいました。
二○人の婦人たち (愛と希望の記録)
カノンにいつか渡そうと思っている本があります。
それは小林秀雄の妹、高見沢潤子さんによる以下の本です。
この中には、カノンが通った青谷愛児園の城ノブさんと自由学園の羽仁もと子さんが名を連ねています。
お二人はほぼ同時代を生きているのがわかると思います。
江戸時代が終わり、明治に入ってからの各地の有力者たち(城ノブさんや羽仁もと子さんの親)の子どもたちに未来を託すその想いは如何ばかりだったかと想像をします。
時代を画するタイミングで活躍した20名の婦人たちがキリスト者でありながら、人間だけでなく、生命とのつながりを意識した教育を志していたことに今の僕らは深く学ぶ必要があると思います。
あ、そうそう近々発売されるこちらの本も予約したので帰省したときにでも。
祝生歌
吉野弘さんという方の「祝婚歌」という有名な詩があります。とても好きなのでぜひ図書館で借りて読んでみてください。
カノンにこの詩のオマージュを贈れると良いなぁと思ったので、ちょっとChatGPTに詠んでと頼んでみました笑
なんだか、結構良いなぁって思っちゃいました。
いつか読むといいよ
カノンの受験と前後して、このタイミングで出会うことになっていたんだぁと感じている本をすこし紹介します。
こちらはカノンの手元にあるよね?しかも森田真生さんのサイン付きですから、折に触れて自由学園の中で紐解くと良いと思います。
覚えていると思うけれど、こちらのイベントでいただいたものですね。
午後にワークショップをしてくださった瀬戸昌宣さんは自由学園でも講演をされたこともあり、更科学園長さんとも仲良しだとか。ご縁ですね。
今はカノンのおじいちゃん、おばあちゃんが住む福津市にいらっしゃるそうです。繋がりますね。今度、帰省する時には瀬戸さんにも会いに行こうね。
この時の森田さんのトークの中で藻類の話が出てきましたが、その出典がこちら。ビックリするほど面白いので図書館にあればぜひ借りてみてください。
特に下記のあたりに特に痺れました。
あとはこちらかな。文字を使うのが当たり前の社会に生きているけれど、人類の歴史から言えば文字の使用はごく最近のこと。(もちろんごく最近とは言っても5000年ほど前なのだけど・・・)
現代社会を生きていくためには文字の使用が当然視されるけれどもそれほど当たり前ではないってことがわかると思います。グーテンベルクの銀河系に比べてとても読みやすいです。
先ほど、吉野弘さんの「祝婚歌」のオマージュをChatGPTに書いてもらったけれど、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデルの射程は人間の言語に限りません。人間以外の生命体の細やかなコミュニケーションを理解していく端緒となる可能性を秘めています。時間があれば読んでみてください。
終わりに
このnoteのタイトルに「自由学園物語」と書きましたが、これはカノンのおじいちゃんの書棚にあった以下の本から借りてきました。
カノンの自由学園での物語はこれからですが、多くの友人に助けられるだろうことを寮を拝見して確信しました。夏休みに帰省したときにでもその物語の一端を聴かせてもらえると嬉しいです。
自由学園を15:30くらいに出たあと、東久留米市役所で転入届などを済ませる余裕もありました。
で、買い忘れていた切手やお風呂の小さめのイスをカノンに渡し、自由学園を後にしました。
そして懐かしの三鷹駅へ!カノンのSuicaを子ども仕様から大人への切り替えを多機能券売機で済ませるのは口実で、大好きな定食あさひへ。
ここで長い1日を振り返るとともに美味しい定食をいただきました。お味噌汁が沁みました。
そして落ち着く店内のテレビに流れていたのが自由学園100周年特集本にも寄稿されていた坂本龍一さんの番組。
最後までさまざまなご縁を感じる1日となりました。
【補記】入学に至るまでの経緯(長いw)
【最後に】 「アレクセイと泉」
アレクセイと泉
2003年8月10日(日)のことなのですが、僕が28歳になろうとしていた頃、まだ(!)学生だったのですが、後輩に誘われてクラムボンの原田郁子さんと本橋成一監督のトークが聴ける上映会に芦屋に行きました。その映画が最高で、映画のDVDも買ったりしていました。
先日、カノンが自由学園に入学したこともあり、神戸の灘図書館で「婦人之友」のバックナンバーを図書館で読んでいました。
パラパラ・・・。
そうたら本橋監督が登場しているじゃないですか・・・?!!
カノンが自由学園に入らなければ一生気付かずにいたかもしれません。本橋監督が羽仁もと子先生と同じ時空間を共有していたことを・・・。
おとなたちがつくってしまったこの環境問題を自分ごと化して悩んでしまう若者もたくさんいるそうです。
でも僕らが酸素を使い、二酸化炭素を吐き出すことで地球の酸素濃度が一定以下に留めてくれる役割も担っている。そんな絶妙のバランスの中で僕らは生きていることを森田さんは話をしてくれます。このあたりもまたいつかちゃんとカノンに話をする時間が来ることを祈っています。
お父さんの若気の至り
ぶどう摘みのときの写真
28年前の日記
最近カノンからおじいちゃんに向けてのメッセージです