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ゲーテの「3」とアバター

燃えるガスがあればこそ
この岩も出来ている 

ゲーテ「ファウスト」7855

身体を丸ごとレンタルし
全面的に依頼者の要求に従うリアル・アバターとは
小さな者でも大きくなる」魔法
            (ゲーテ「ファウスト」7884)
映画化もされた平野啓一郎「本心」に登場するが
最も歴史的に先駆的なアバターの原型は
現在は法で禁じられている娼婦

平野も小説内で指摘するように
娼婦=〇〇の代理としての「闇」の女=アバター
日本文学は古典的アバターの宝庫だ
1️⃣
川端康成
三角関係・恋愛アバターの先進
例えば

信州のもみじも、もうきれいだろうな…
自分の見るものをなんでも相手に見ておいてほしい

川端康成「山の音」

と思っても本命は手に入らない
運命の女性」を連れて行けるまで
闇=他の女=女性アバターを利用し
S Mちっくに最愛の女性に到達するため
アバターを媒介させる鏡像世界に
自然は怒り「山の音」が轟く

海外のクラシックな例では
上記引用にも用いたゲーテ
取持」=「3」を通して
ファウストを
超人へと堕落させようとする
メフィストフェレスの誘惑
フィヒテの観念論や
ショーペンハウアー「意志と表象の世界」

ここに俺の足場がある。ここには諸々の現実がある。ここからならば、精神が幽霊どもとたたかい、
霊肉一如の大世界を打ち立てることができる。女は二重に俺のものになる。やるんだ。
母たちよ。これを許してくれ。

ファウスト6553-

日本文学に戻る💦
2️⃣ 同じく
谷崎潤一郎
若い女を媒介させ
嫁の嫉妬と虚栄心を利用して
愛する嫁と再燃する「鍵」
サディスティックな女の足に
踏まれ苦しむことで
最愛の慈母に到達しようとするアバター利用

3️⃣
三島由紀夫の
理想=絶対への
媒介=現実=アバター利用

私と
私の見たものの間には、
皺だらけの敷布の
白い距離

三島由紀夫「金閣寺」

同じ蚊帳の中で
親戚の叔父さんと交わっている母
=それほど美しくない金閣寺という現実
を焼き

絶対=理想の母に到達願う
金閣寺を
母の代理に用いたフェティッシュアバター利用が
理想世界に通じる「鍵」となる

などなど
媒介なければロマンスもない
ロミオも 媒介=他の女が最初いたから
ロミオとジュリエット なんだし

「パリスの審判」
だって
パリス
アフロディーテ最も美しき女神にしたのは
ヘレナという 美しい女=アバター
パリスにあげたから

ゼウスの妻=結婚の神 ヘラは 王冠 
戦いの女神アテナは 勝利 
パリスに約束したが 敗けた

ヘレナ
アフロディーテのアバター
トロイ
の王子パリスに媒介されたことで
最後 メネラオス王に殺される 

に利用された闇の女=人間
このようにアバターとはクラシックな存在だ

平野啓一郎原作の映画「本心」には
アバターのクリシェ的存在である売春婦から
夫婦関係に刺激を与えるセックス・アバター利用
はもちろん
人を虚仮(コケ)にしたくても現実にはできない=
アバターを虚で仮の存在=コケにして鬱憤晴らし
人殺しの代理アバターなどなど
Uber eatsの未来版は
依頼主の要求通りしなければ
評価を下げられ失業する
ので
四つん這いになって動物のモノマネだって
しなければならない
アバターとは要するに
自分のイメージを
代理」で叶えてくれる
カフカの「橋」
正常利用の範囲内では
海を見たくても見れない老人のアバター (代理)
として海を見に行くなどというのもあるが
正常な人は自分で叶えようとするだろう

映画を見に行って
マルクスの「経済・哲学草稿 」の一説を思い出した
ので引用する

わたしがある料理を食べたいと思ったり、道を歩いていくだけの元気がなくて駅馬車を使いたいと思うとき、お金があればその料理や駅馬車を調達できる。つまり、お金はイメージとしてあるわたしの望みを変化させるわけだ。思考され、イメージされ、意志された存在を、感覚的で現実的な存在に移しかえ、イメージを生活に、イメージされた存在を現実の存在に移しかえる。こうした媒介体としてお金は真なる創造力を発揮する。

マルクス 経済・哲学草稿

平野作品「本心」内 
朔也
足の不自由なイフィの「足」 となり
イフィの三好という女性への「取持役」=「媒介
=アバターとなったように
代理を通して
足の不自由な人も
不自由でなくなり
手に入らなかった女も
手に入る
イメージと現実が逆転するのだと
マルクスも
ゲーテの「ファウスト」を引用する

なんてこった。そりゃ、手も足も、頭も尻も、あんたのものだ。だが、わたしがいまのいま楽しむすべてが、わたしのものじゃないとは言えますまい。わたしが馬六頭分の代金を払えば、その馬力はわたしのものになる。駆け出したとなると、二十四本もの脚をもつ立派な男というわけだ

ゲーテ ファウスト 1820 in マルクス「経済・哲学草稿」

つまり
私と理想の距離=虚無
を埋める代理
アバターという

私 ↔️  虚無=理想 ↔️  アバター

君は私を空虚の中へ追いやって、そこで私の術と力を増進させようと言うのだ。…ひとつ底の底を究めてみようじゃないか
私は君の言う虚無の中に、一切を見いだすつもりだ

ファウスト6255

平野啓一郎がすごいのは
に込められた意図
三好=三で好い
朔也=朔=24時間=1日
先ほどのゲーテの引用を再度見ていただきたい
24本の足=1日=24時間を制する者
でありゲーテの世界で
「3」は重要な数字
アフロディーテも「3」の戦いで
ヘラ 🆚 アテナ 🆚 アフロディーテで
アバター=ヘレナを用いて勝った

男と女を造った神は、すぐにまた、自分で取持役を務めるのが、最も貴い天職だと気がついた(3339)

愛は気高い二人を寄り添わせます。
でも神にような歓びを与えるためには
愛は貴重な3人組をつくるのです (9769 )

三重の火」(1318)=
怒り💢嫉妬☠️悦び🤗などの
三重の情「熱」がそこには必要なのだ

燃えるガスがあればこそ
この岩も出来ている

ファウスト7855

「ファウスト」にはそのような「取持役」が多く起用され
理想世界へと通づる
闇の女、フォルキアスたち等の
誰にも知られず、
ほとんど自分自身にさえ知られていない

第三者的な存在を利用し

人の実質をお人に縮めていただいて、人目のお姿を私に貸してくださる

ゲーテ「ファウスト」8015

ことで「自分の身を他人に変えることもできる」(8013)

三つが一つ」で
「一つが三つ」 (
2560)
アバターという迷妄を通して
三位一体で「つの眼とつの歯」 (8014)
=理想世界が出来上がる
ゲーテの「ファウスト」は
ユング無意識に発見した元型の「3
つまり
数字を通して読む必要があるのあるのだ

灼熱している3本足の香炉が見えてくれば…
香炉の火で母たちが見えましょう
坐っているのもあれば
立ったり歩いたりしているのもある
みなその時の具合です
形を造ったり形を変えたり
つまり永遠なる意味の永遠なる遊び
まわりにはあらゆる被造物の形態が漂っています

ゲーテ「ファウスト」6283


の国ではない
たちの国へは
1=神=真実 を超えて
2=地上/下 堕落=虚偽=真実
対立 分裂した
二重に聞こえ( 4971)  水鏡に映って二重にもこの眼を楽しませてくれる(7284)ダブル・イメージの世界を
潜り抜け
混沌の息子」であり「混沌の娘」 (8028)
という
2人の証人の口がそろえば
どこでも真実の証明」がたち(3013)
母は
「飲み食いするのも今では二人分」 (3349)
そして
2度3度跳ねるうちに、男の子は高い円天井触れる」(9605)
暗い廊下」=トンネルを越えれば(6172)
存在せぬ」「形態の国」=「母たちの所」 (6264,6278)

「3」 という意志の表象世界
=3本足の香炉=母たちの世界では

人間の大いなる敵二つ
恐怖と希望とをつなぎて…

低いものが高くなり
高いものは低くなり
歪んだものは真直ぐに
真っ直ぐなものは歪む

こうなってこそおれは気持ちよくなる
全世界がこうなってほしいのだ

 5441

と発言するのは
ツァイロー・テルジーテス
ツァイローテルジーテス
二人かさなってできた
2つの魂が住んでる (1112)
両性具有=二重存在
「双生児のけもの」
「蝮と蝙蝠」 (5474)
恐怖と希望(5441 、1112)
半男半女 (8028)
を超えて存在する
善と悪
愛と憎しみ
メフィストフェレス

メネラオス王の愛と憎しみをかった
トロイのヘレナと
ギリシャのヘレナ
過去のヘレナと
現在のヘレナ
過去のヘレナを取り戻すため 
メネラオス王は
現在=ヘレナを生贄にし
未来=ヘレナを掴む
ギリシャ王メネラオスはヘレナを
闇=冥土の女=生贄にしなければならない (8570ー)

嫉妬の情も、嘗て所有したものを今は失って、もはや所有せず、しかも未練の立ち切れぬ男胸の中にしっかと爪をたてるものです。9060

アフロディーテが
美の女神の称号=黄金の林檎🍎を
手に入れるために
介され アバターとなったヘレナをめぐり

トロイ
の王子パリスの兄 ヘクトルとアキレス
🆚
ギリシャ 
メネラオスとアガメムノンの
トロイ戦争が勃発
生贄となったアバター=ヘレナの哀しみの声を聞いてみよう

私は消えてしまって 自分で幻になりそうだ(8573)
初め私はなんであったか
いま私はなんでしょう
なにを望み なにをしたらよいのででょう (9277)
わたしは ひどく遠くにいるような
そのくせ 近くにいるような気がします
ともかく欣んで申しましょう 
私はここにいる ここにと (9411)

アバターとは現代の生贄なのだ
私は
アフロディーテこそ
美ではなく
知恵=戦いの女神=アテナの代理に思えてならない
「3」という三位一体は恐ろしい

事実、思想の工場も、
機織の仕事とおなじことで、
一踏みすれば千本の糸がうごき、
粃が飛び交い、
糸が目にもとまらずに流れ、
一打ちで千の折り目ができるのだ (1922 )
経緯に織り交う糸 燃える命、
こうしておれは「」のざわめく機をうごかす 
神の生きた衣を織る (506 )

上記絵画
有名な
ルーペンスによる「パリスの審判」
National Gallery ロンドンにある

以下 
アバターとロマン主義の関連性についても
お読みいただけると嬉しいです☺️

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