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平野啓一郎 映画「本心」を見て〜ホメロス「イリアス」とゲーテ「ファウスト」のアバター世界

平野啓一郎原作映画「本心
それは それは驚いた
それは
声の世界」だった
不在の神々の「声に従う」 聴覚中心の
ホメロス「イリアス」の世界
アキレウスも 神の声には絶対だった

リアル・アバターって、ホントに何でもやるんだな。
スゲェよ、マジで。いや、楽しませてもらったわ。ひとも殺すな、こりゃ、言われれば。

平野啓一郎「本心」

イヤホンを通じて命令を下す
身体を欠損した神=貨幣は    「娼婦」のように
どこにもいて どこにもいない透明な
         (Shakespeare アテネのタイモン)
リアル・アバターたる朔也を
内から乗っ取り、翻弄し続ける
「神」の姿は見えない
依頼主に同化=全面的に従わなければ
評価を下げられ解雇となる⤵️

つまり
アバターになると言うことは

自分の体の所有者でなくなること

平野啓一郎「本心」

身体は神=依頼主のもの

そりゃ、手も足も、頭も尻も、あんたのものだ。だが、わたしがいまのいま楽しむすべてが、わたしのものじゃないとは言えますまい。わたしが馬六頭分の代金を払えば、その馬力はわたしのものになる。駆け出したとなると、二十四本もの脚をもつ立派な男というわけだ

ゲーテ    ファウスト  1820
                                               in マルクス「経済・哲学草稿」

上述のとおり、アバターのオリジンは古い
森羅万象の統治能力を失った
神の
身体の喪失」=処刑の「代行」としての
身体の喪失」が    アバター=「生贄」
          (フレイザー 「金枝篇」)
神は気づいた

自分で取持役を務めるのが、最も貴い天職だと

ゲーテ「ファウスト」3339

メフィストフェレス
取持役=アバター・プロデューサーとして
娼婦アバター
ヘレナ (グレートヘン/マルガレーテ)  の身体を介し
ファウストを誘惑したように 
神の身体の欠損
人間を通して補填される

石川さんになって、街中を歩いてみたい

平野啓一郎「本心」

こんな「アバター感覚」が
映画「本心」で幅を利かせていた
つまり
アバターとなるということは「疎外」され

自分の体の所有者でなくなることの苦痛

平野啓一郎「本心」

を味わう宿命

セックス・ワーカーだった頃の三好も、こんな風に自分の体を抜け出して、意識だけの存在になって、
どこか遠い場所で時間を潰していたのだろうか?

平野啓一郎「本心」

平野氏「本心」 メイン登場人物は みな
自己の身体を一部もしくは全部    欠損している

朔也   依頼主の要求に従うリアル・アバター
三好    セックス・ワーカー
イフィ=   “IF I…” もし私が…  身体に障害をもつ
アバター・プロデューサー
VF

私は消えてしまって    自分で幻になりそうだ

ゲーテ「ファウスト」 8881

これは
元 娼婦アバター 三好ではなく
同じく娼婦アバターとして
ゲーテが描いたヘレナの気持ち

私はひどく遠くにいるような、そのくせ近くにいるような気がします

ゲーテ「ファウスト」9411

平野啓一郎氏「本心」は
ゲーテ「ファウスト」現代版なのです
身体を持たない神の代行
身体の喪失に終わる
これが「アバター」 

過去であり 未来
平野氏の「本心」は
最も古典的であり
同時に
未来を見通す先駆的な「ファウスト」
貨幣という透明な神々の時代…
イヤホンを装着した「聴覚的」で
顔の見えない
非ー視覚的 透明な神々に乗っ取られる
ドゥルーズ=ガタリ 
「アンチ・オィディプス 資本主義と分裂症」

の世界は
ホメロス「イリアス」のような
神々の声を聞く過去に回帰する未来

上記 ルーベンスによる絵画
パリスの審判」は
決して過去の物語ではない❣️
それはアバターの未来
最も美しい女神は誰か=黄金の林檎🍎の
所有者決定戦は
ケインズの美人投票の例に同じで
他者 (パリスとヘレナ)
媒介しなければならなかった

「身体」を欠如する女神    アフロディーテ    が
自身の 「身体」の代行=
「取持女」=    アバター    (娼婦役)  
として
ギリシャ王👑メネラオスの妻    ヘレナ    を
トロイの王子🤴パリスに    媒介し    
美の称号を巡る闘いに見事    🏆勝利🏆
                               ( ヘラ  vs アテナ vs アフロディーテ)
有名な  「パリスの審判」❣️
アフロディーテが
愛と美の女神となれたはいいけど  
勃発💣したのは トロイ戦争 笑

ギリシャ王👑の妻でありながら
トロイの王子🤴パリスの娼婦 とされた
アフロディーテの代行=アバター=ヘレナの心は
ギリシャとトロイ
パリスとメネラオス
過去と現在
に引き裂かれ
夫 メネラオスの心を
愛と憎しみに引き裂き
ヘレナは死刑=生贄
しかし
平野版ファウストも神に抗いを見せる

神の媒介三位一体の「三」で「好」かった
「三好」は
朔=24時間=「今」を生きようと苦悩する朔也
に出会い
媒介を卒業

朔也も母のVFのスイッチを切り
「自分らしく」生きようとする

「お母さん」という言葉を、母のニセモノに向けて発しようとすることに対し、僕の体は、ほとんど詰難するように抵抗した。それによって、ニセモノになるのはお前自身だと言わんばかりに

平野啓一郎「本心」

人間的で    あまりに人間的な
現代版「ファウスト」
「カッコいい」❣️
この一言以外に選べようか?

(ゲーテの3や24 etc 数字に込めた意図🌿
上記マルクス引用でも24 出てきます)

最後に ちょっと雑談🤭
ジョン・ミルトン「失楽園」には
ゲーテ「ファウスト」の比にならないくらいの
孤高に神に戦いを挑む悪魔🦹‍♀️が出てきます
ほんまに格好良いのに🆗誰も分かってくれない🥹
もちろん
平野氏は違う👏
下記「カッコいいとは何か」で
ミルトンの悪魔「カッコいい」
って言ってはります♡
是非❣️

                                                           


                               

















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