【NVC】 続・ぼくは学校を休みたい
今日の日記は、『こどもニーズカード』というものを使って行った、
息子との対話についての記録です。
NVCを学ぶ前、ものすごくショートテンパー(怒りっぽい)だった わたし。
もしNVCを学ばずに今日の出来事が起きていたら、
子どもを本気で殴り殺していたかもしれません。
本当に、たやすくその想像がつきます。
だから、テレビの向こうで起こっている、
心が締め付けられるような親子間のニュースは、
本当に、人ごとではないのです。
そして、加害者のお父さん、お母さんの気持ちが、痛いほど想像できます。
きっと、お子さんに、自分が願っていることが伝わって
欲しかったんじゃないかな。
親の意図を理解して欲しかった。
そして、自分にも余裕がなくて、暴力的に吠える以外の選択肢を知らなくて、
途方にくれていること。
そのぐちゃぐちゃな気持ちをぶつけてしまって、情けなくて。
後で、そんな自分を責めて、後悔してしまうこと。
そのループから、抜け出したくても、自分ではどうしたら良いのかわからなくて、
悲しくて、苦しくて仕方ないこと。
自分は「よい母親」じゃない「もう親やめたい」って思ったりする。
もう、すべてを投げ出したくなる。
いま書いたことは、すべてわたしの過去でもあります。
そして、その性質は、今も自分のなかに残っています。
(今でもときどき、”母親役” をやめたくなります。)
そんなわたしが日々葛藤しながらも、NVCを生きることに挑戦していること、
そして、それが、確実に
息子とわたしの関係性にすばらしい変化をもたらしていること。
それが、この記事を通して伝わり、少しでも誰かの希望になれたら幸いです。
「学校にいきたくない」
今朝も、小4のひとり息子が「学校にいきたくない」と言い出した。
今回には、前振りがある。
昨日の夕方、学校から帰ってきた息子は、
「やったー!今日は宿題なっしっ!!」と嬉しそうだった。
どうやら、クラスのみんなで、先生とゲームのようなものをして
「宿題なし」を勝ち取ったようだった。
そして、息子はその立役者になっていたらしい。
息子は思った。
「明朝は、いつもよりもゲームがたくさんできる!!」と。
(息子は、宿題を朝にやる派だ。)
自分で目覚まし時計を6時30分にかけて、楽しみに寝たのに、
母親に起こされると、もう7時10分になっていた。
自分で起きられなかった悲しさ。
思っていたよりも、ゲームできる時間が40分も少ない!!!
「もういやだ。学校へいきたくない。」がはじまった。
内心、わたしは「はーー?!」とうんざりした。
もう、勘弁してくれよ。
ちょっと自分の思い通りにならなかったからって、
その度に休まれてはたまらない。
<彼に共感する>
大きく深呼吸して、心を落ち着けて、彼のニーズに耳を傾けようとする。
「自分で決めた時間に起きられなくて、残念だったね。
(感情:残念、悲しい / ニーズ:自己信頼、自主性)」
「もっとたくさん遊びたかったね(ニーズ:遊び、お楽しみ)」
たぶん、彼のニーズは正確に掴んでいる。
それでも、息子は布団のなかで「いやだ」を続けている。
(十分に共感されている感じは、彼の仕草からは感じられない。)
引き続き、共感を続ける。
「◯◯は本当にゲームが好きなの、伝わってるよ(ニーズ:理解)
朝ゲームたくさんしてから、学校に行きたかったんだね
(ニーズ:遊び、フロー)」
「ママに手伝えること、あったらいいけど(ニーズ:サポート)、
時間は巻き戻せないから残念だな。
そしたら、今日は夜にゲームたくさんしたらいいんじゃない?(リクエスト)」
それでも、「いやだ」を続ける息子。
ふと時計を見ると、こんなやりとりを始めて、
すてに30分ほど過ぎていることに気づく。
<緊急で自己共感しなければ・・>
<ブチッ> っと、
自分のなかで何かが切れるのを感じた。
息子に対するジャッカル言葉(批難・批判)が瞬時に心の中で溢れてくる。
まずは、その勢いを止めずに、流れれのままに心のなかで暴れさせる。
「はぁ?ふざけんなよ。わたしの時間を30分も奪いやがって。
昔のわたしだったら、とっくに無理矢理にでも学校いかせてるわ。
わたしを日中、ひとりにしてくれ!
自分の心のコントロール、自分でしろ!!
わたしの手を煩わせるな!!」
自分の内側から、怒りのエネルギーが内圧として膨らむのを感じる。
あぁ、まずい、このままでは怒りを怒りのままにぶちまけてしまう。
ともこ、我慢だ。留まって、自己共感するのだ。
何度も、何度も、深い深呼吸を繰り返した。
「わたしは本当にスペース(ニーズ)を必要としている。
こんな風に、彼が学校に行かないことが習慣化されてしまうのが怖いんだ
(感情)。
それは、フロー、信頼、安定、いろいろなニーズが揺らいでしまうから。
あぁ、そして今日は特に、わたしはひとりになりたいんだ。
スペースを必要としているんだ。」
自分のニーズを掴んで、気持ちが落ち着くまで、口を開かない。
それには、数分間を要した。(彼は目を閉じて二度寝しかけていた)
そしてやっと口を開く。
「ねぇ、ママひとりになりたいの。
やっぱり今日は学校にいって、ママをひとりにしてくれない?
(リクエスト)」
<戦いに負けた・・>
それでも、彼から「YES」の返事はない。
時計を見ると、もう8時をまわっている。
「負けた」そんな気がした。
(NVCには、勝ちも負けも、正しいも間違っているもない。
そして、リクエストは強要ではない。相手にはNOを言うスペースがある。)
学校にいってもらうことを諦めると、
急に ふっ とからだから力が抜けた気がした。
<ゼロステップに戻る>
※ゼロステップとは、NVCの観察・感情・ニーズ・リクエストの
4つのステップをはじめる前のベースとしての「在り方」。
「彼が生きていればいい」
その原点を思い出す。
「学校はいかなければならない」
そんなことはないことを思い出す。
ふう。
明らかに、からだの内圧が下がっていく。視野の広さを取り戻す。
「わかった。今日は学校、休むのね。
ただし、明日の朝はちゃんと起きられるように、今夜は早く寝るんだよ。」
「うん。」
「そして、ママは本当に今日ひとりになりたい気分だったから、
◯◯のお弁当を作ったら、少し外に行ってくるよ。カフェにいく。」
「うん。」
<子どもニーズカードの登場>
「あとさ、少しだけ時間をちょうだい。
ママがいつもやっているNVCを紹介させてね。」
と、子どもニーズカードを彼に見せる。
わたしは今まで、時折 NVCの話をすることはあったけど、
彼に対してきちんと説明したことはなかった。
今朝の出来事は、きっと、NVCを彼に伝えるチャンスをくれたのだと思った。
「自分で、自分の心をコントロールするのって、難しいよね。
ママもさ、7年前に◯◯と離れて暮らすことになったとき、
心がバラバラになっちゃったんだ。
自分の気持ちも、大切にしていることもわからなくなっちゃったの。
そのときに、このNVCがとっても助けてくれたんだよ。」
(息子は離婚から約5年半は父親と暮らしていた。)
最初に感情のカードを見せて、息子に選んでもらう。
【だるい つかれた やるきがでない】
【こわい しんぱい おそれている】
【こんがらがっている ごちゃごちゃ よくわからない】
【うんざり もうむり しかたがない】
【イライラしている おちつかない】
一緒に読むと、息子も涙を流している。わたしも泣けてくる。
「そうかそうか、こんがらがっちゃったね。こわい気持ちもあったんだね。」
彼を抱きしめながら、一枚一枚を眺める。
「あぁママ、◯◯の気持ちがわかってよかったよ。教えてくれてありがとう。
そしてね、この感情の奥には、大切なものが眠っているんだ。」
そういって、ニーズのカードを選んでもらう。
【じゆう】
【あそび おもしろさ】
【きゅうけい くつろぎ】
【えらべる じぶんできめる】
【いばしょ じぶんのスペース】
最後の「いばしょ じぶんのスペース」を見たときに、
わたしの心はぎゅっとなった。
あぁ、そうか、さっきのママとの対話で、
自分の居場所というニーズが脅かされてしまったんだ。
もう大丈夫だよ。あなたの居場所は、いつもここにあるよ。
そして、同時に、選ばれなかったニーズ、例えば
【たいせつにされる きにかけてもらう そんちょうされる】
【だいすき あいする あいされる』
【きいてもらう わかってもらう】
これらについては、いま彼の中で不足感がないんだな、と思うと、
少しほっとして嬉しい気持ちになった。
「このカード見て、どう?」
そう聞くと、「よくわかんない」とハニカミながら首を傾ける彼。
だけど、明らかに防御オーラは消えて、普段の穏やかな彼に戻っていた。
<穏やかな着地>
この一連の流れを経て、わたしの心も広々としたスペースを取り戻し、
もうカフェにいく必要もないかと思われた。
それでも、わたしは
「ママも、自分のこと大切にしたいから、ちょっと出かけてくるね。」
「どこいくの?」
「うーん、モスかなぁ?」
「ちかっ!(車で5分)」
こんなやりとりをして、今わたしは近所のモスバーガーでこの文章を書いている。