【古典洋画】「田舎司祭の日記」
「バルタザールどこへ行く」の、巨匠ロベール・ブレッソン監督の、1951年の古典作品「田舎司祭の日記(LE JOURNAL D'UN CURE DE CAMPAGNE)」(フランス)。Amazonプライムにて。
原作は耶蘇教作家ジョルジュ・ベルナノスの小説だが、最初から最後まで主人公の司祭に笑顔はなく、ウジウジと内省的な思いを吐露しつつ、遂に死んでいくという、メッチャ暗〜い作品であった。耶蘇教の世界観に一石を投じるものであるかもしれない。
地方の村に派遣された耶蘇教の若いイケメン司祭は、胃痛などの体調不良に苦しみながらも、教会において説教を行う日々を送るが、彼の一途な信仰は徐々に日常を優先する村人たちとの間に距離を生んでしまう。司祭が説教をした村人の、自殺のような死をキッカケに彼に対する風当たりが強くなる。体調不良がピークに達した彼は医者に診てもらうために村を出ることに…。司祭が綴った日記の回想という告白調で展開する。
ブレッソン監督は、俳優の大げさな演技を好まなかったため、キャストには全て素人を起用、なるべく演出を抑える手法を取り、それが監督独自の“シネマトグラフ”と呼ばれるスタイルであるが、コレが功を奏し、セリフは少ないものの、司祭の葛藤する心の内が上手く表現されている。
司祭は、胃癌で死ぬ間際に「一つだけ信仰を破るとすれば、愛を女性に捧げたかった」と言うが、結局、信仰と自我のバランスが保てなかった故の破滅であったと思う。
人間らしくない信仰と自分の極人間的感情と、元々、まだ若くて自然と様々な欲が湧いて来る人間であるのに、それを過剰に抑え付けるから、自我が保てなくなるのだ。さらに外の人間との軋轢も生じて来る。
司祭は、神に全てを委ねろと説くのではなく、神からの呪縛を解くべきだろう。慈悲深さより傲慢さが必要だったのだ。神を求めたいのであれば、外に求めるのではなく、自分の内に求めるべきであった。真面目も過ぎるとカルト化するのだ。
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