【古典洋画】「ラ・ポワント・クールト」
“ヌーヴェルヴァーグ(新しい波)の祖母”(母の方が良いと思うけど)といわれるアニエス・ヴェルダ監督のデビュー作「ラ・ポワント・クールト(La Pointe-Courte)」(1955年、フランス)。Amazonプライムで見っけ。
ゴダールの「勝手にしやがれ」よりも5年も早くに撮られた作品。海辺のロケ中心、素人っぽい演者の台詞や演出など、ルールを度外視した即興的と思われる撮影手法に、低予算とくれば、まさにヌーヴェルヴァーグの始まりである。
結婚して倦怠期を迎えた夫婦。
夫(フィリップ・ノワレ)は、故郷であるフランス南部の漁村を久しぶりに訪れる。
後日、妻(シルヴィア・モンフォール)も夫を追って村に来る。
夫婦の仲は上手くいってないけど、2人は海辺を散歩しながら、愛について、それぞれの思いを語り尽くす。
漁村では、禁漁区をチェックする役所の査察が入り、村の人々は生活が脅かされると抵抗している…。
イケメンでも、美女でもない、フツーの地味な夫婦が、ゆっくりと歩きながら、フランス映画らしい詩のような台詞を呟き合う。離婚を決意していた妻は、漁村の様子を覗いて、徐々に気持ちが揺らぎ、やり直そうと思うようになる。サブとして漁村の人々の日常が描かれる。
クールに叙情的に描かれる村の日常と夫婦の様子。2つの事柄は最後まで交わることはないものの、同じ場所で起こっている。夫婦の台詞は観念的であるが、中身は、いつの時代も変わらない夫婦の会話である。
海辺の美しい風景の中に溶け込んだ夫婦は、まるで洒落た絵画のようだ。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。