【洋画】「ドリアン・グレイ/美しき肖像」
原作は、オスカー・ワイルドの傑作長編だが、気怠い午後のTV放映がよく似合う、1970年の作品「ドリアン・グレイ/美しき肖像(The Secret of Dorian Gray)」(英・伊・西独、マッシモ・ダラマーノ監督)。Amazonプライムにて。
主演は、アラン・ドロンと並ぶイケメンで、バイのヴィスコンティの恋人でもあったヘルムート・バーガー。
舞台を現代のロンドンとして、稀に見る美青年のドリアン・グレイが、友人の画家に肖像画を描かせて、その肖像画が、彼の代わりに醜く老いていき、彼は若いままに数奇な運命を辿るという話だ。
まさに、70年代らしい、古い、チープなサイコ・スリラーともいえる内容だが、ドリアンはもとより、登場する美女らがよく脱いで、絡みもあるので、文芸作というよりもソフト・ポルノと見えなくもない。
それでも、やっぱり若い美男美女の引き締まったヌードと絡みは、当然ながら美しい。
ヘルムート・バーガーが、色香を放つ甘いマスクで、人妻や未亡人、リッチなオバ様、果てはバイ・ゲイの男らまで、次々と手を出していくところが一番の見所だろう。彼の、デヴィッド・ボウイのようなモダンなファッションも良かった。
ラスト、美しい肖像画の前で、醜く老いたドリアン・グレイが倒れることになるが、悪魔的、退廃的でも、とにかく若さの美の賛美、朽ち果てる老いは醜いものと、結果的にでも主張してるようなソフト・ポルノ的作品であった。
「男は倦怠から結婚する。女は好奇心から。共に幻滅する。愛は、所有を巡る闘争を招く。万事を楽しみ、所有しないことだ」
「世界は君のような美青年のものだ。しかし、若さは儚い。青春は短期間で終わる。欲望や欲求に抗う必要はない」
肖像画の自分に夢中になるドリアン。
「僕は若いままで肖像が老いる。逆でいい。肖像が化け物になり、僕は永遠に不変。そのためには魂をも売り渡す」
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。