【古典邦画】「源氏物語」
紫式部の本を読破したので、昭和の二枚目大スター、長谷川一夫さまが演じる、1951(昭和26)年の映画「源氏物語」をYouTubeで観た。「源氏物語」初の映像化作品だという。監督は吉村公三郎、脚本が新藤兼人だ。
一夫さまの光の君は、ちょっと老けて見えるが(40代?)、憂いを帯びた二枚目のお顔に、気品のある優雅な立ち振る舞い、それになんとも言えぬ大人の妖艶な色気があって、この役にピッタリだと思う。
前に、花ノ本寿主演の武智鉄二監督作品を観たが、エロチックな味付けがされてて、あれはあれで良かったけど、こちらが王道って感じだ。
光の君の母、桐壺更衣の死から始まり、悲哀溢るる藤壺との逢瀬、須磨への隠栖、播磨入道の家での入道の娘・淡路との恋、美しく成育した紫の上との対面、淡路の懐妊騒動…と急ぎ足でかいつまんだ内容だけど、これだけの大長編だから、2時間余りに収めようってのが、土台無理なのだ。
いろんな女優が出演してるが、やはり、淡路を演じた京マチ子が一番だね。まずお顔が俺好みで、乱れた性を感じさせる猥褻さがある。
ラスト、その淡路が懐妊して、光の君は喜んだが、淡路は、実は光の君の子ではないと告白、光の君は、ブチ切れて、子の父親である恋人の良成を斬ろうとしたが、紫の上の説得で納得して、淡路と共に故郷へ帰してやるという展開。
魅力的な女性を見かけると、親が悲しもうとも、さらって家に連れて帰る、刺客に襲われてケガをした光の君を手当してた淡路を見てて、たまらなくなって押し倒しちゃう…そんな非道な光の君であるのに、いったいなんなのよ?と言いたくなる所作だけど、そんな、普段は完璧な光の君の、醜い人間的な負の感情を、一夫さまは、上手く表現しているんぢゃないかな。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。