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限界的練習を形作るフィードバック 『超一流になるのは才能か、努力か』
昨日は、コンフォートゾーンを超える「限界的練習」についてご紹介した。
今回は、エリクソン教授の提唱する「限界的練習」の理論において、重要な位置づけである「フィードバック」について、日常的に大人が陥りがちなフィードバックとの違いを見ていくことで考えてゆきたい。
まずは、本文から「限界的練習におけるフィードバック」の節があるので引用する。
限界的練習には、フィードバックと、そのフィードバックに対応して取り組み方を修正することが必要だ。トレーニングの初期にはフィードバックの大部分は教師やコーチが提供するもので、上達ぶりを評価し、問題を指摘したりその解決方法を教えたりする。
ただ練習時間と経験が増えるのにともない、学習者は自らを評価し、失敗に気づき、必要な調整を行う方法を身につけなければならない。このような自己評価を実践するには、有効な心的イメージが必要である。
フィードバックはどのように与えればよいのだろうか。こういったことを考えると、まず真っ先に思い浮かぶのが「ビッグワード」というフィードバックの際に使ってしまいがちな言葉である。
ビッグワードに陥る罠
次のような言葉を、子どもや部下、後輩を指導する際に使った経験が、読者にもあるかもしれない。
・ちゃんと
・しっかり
・きちんと
「ちゃんとしなさい。」「しっかりやっておいてね。」「きちんと整理しておくんだよ。」いずれも必ず誰しもが耳にしたことのあることばである。
しかし、
「ちゃんと」というのはどういう意味なのか、
「しっかり」というのは最後までという意味なのか、依頼主が満足するまでという意味なのか、
「きちんと」とは床に何も落ちておらず、棚の中も本が敷き詰められていて平積みされていない、という意味なのか
そのあいまいさから意味を推測することを困難にしている。これでは、自分が次のステップを目指して、どのように次のアクションをすればよいのか、わからない。
限界的練習に必要な情報
限界的練習は、「情報が提供される」目的のある練習である。どのような情報が必要かというと下記の画像の通り、ステップが展開されていく中で次のステップに行くための「現状に関する情報」「挑戦結果へ客観的な情報」「克服に必要な情報」「次のステップの情報」がありえる。
それぞれの情報を的確にフィードバックすることこそ、限界的練習には必要不可欠だ。
そして、情報が与えられるということは、「具体的な内容」であり、「客観的なパフォーマンス評価」によって常に自らを計測し、改善し続けるためになくてはならない。「指標化」は必要不可欠なのだ。
ここで、ふたつの問題が頭の奥底から湧き上がってきた。
1.コーチや教師からのフィードバックなしに、自らの技能を高めるために、自らにフィードバックする力はどのように高められるのか(メタ認知の発達の問題)
2.指標化によって、外発的動機づけと戦わなければならない、限界的練習は常に苦しい。だが、この苦しい限界的練習に耐えることができ、パフォーマンスを発揮できるのは、なぜなのだろうか(動機づけの問題)
以上の二点である。これらについてはまた機会のあるときにじっくりと書きたい。
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