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孤独な研究者の夢想

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認知科学研究・最近読んだ本・統計など研究に関係することを書きます。
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記事一覧

2025.1.12 最近のコンテンツ

自分のメモ程度に,最近見た映画や動画,読んだ本などについて. 最近の本,もとい書評AI・機械の手足となる労働者. ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)を含め,どのような機械学習においても,「教師データ」がなければ,完成度の高い機械学習モデルを構成することは難しい. LLMは,特に人の言語データを使って構成するだけでなく,多くのアノテーター(機械学習の出力を評価する人)を必要とし,それらによって,チューンアップされている. データアノテーション,ヒューマンイン

2025.1.11 最近のコンテンツ

自分のメモ程度に,最近見た映画や動画,読んだ本などについて. 最近の本一人っ子だったので,「ひとりあそび」はお手のもの,というかむしろひとりあそびしかしてこなかった部類だと思うけれど,「あそび」に気になって買ってみた. アーティスト気質なのかやや偏りの強めの論調で,「多くの大人はあそんでない!」と子ども達に語りかけるあたりがなんともいえない風情だけれど,確かにあそびかたの多様性が,大人になるにつれて狭まっていく大人がまわりにいることも同時に感じてはいるところ. 冬休みの自

スキーマの違いを意識して合理的に学ぶ 【今井むつみ著 英語独習法】

楽してではなく合理的に楽しみながら英語の達人になろう ー今井むつみ(2020)『英語独習法』岩波新書 帯より引用 多くの人が悩む外国語、英語。 その英語を題材に合理的な学習法について紹介されている、 今井むつみ先生の新著『英語独習法』をご紹介します。 あなたの英語学習法は合理的?日本に住む多くの人は、学校教育の中で英語を学び、 もしかすると、その方法としてすぐ思い浮かぶのは、 ・単語・イディオム・文法を暗記する ・文章をたくさん読む ・たくさんたくさんできることをやっ

「生きた知識」をつくる「足場かけ」 【今井むつみ著 親子で育てることば力と思考力】

「中学・高校の6年間かけて学んできた英語、だけどあまりできるようになった気がしない」 「生徒に漢字や計算の方法を教え込んでも、なかなか定着せず、応用がきくようにならない」 そんなこと、よくありませんか? もしかしたらその英語の知識、外から教え込んだ漢字や計算の方法は、 「死んだ知識」になっているかもしれません。 今回は、人が学ぶときに必要な2つの力「ことば力」と「思考力」について、「人が学ぶ仕組み」と「実践へのアドバイス」が大変わかりやすく書かれた今井むつみ先生の「

インフルエンザ休校時に実施したみんなでオンライン授業 w/ QuickClick

2020年2月27日、政府から正式に全国の小中学校向けに「3月2日からの休校」の要請が出ました。こうした状況を受けて、場所にとらわれない学びを創り出すテクノロジーの力が求められています。 「テクノロジーを使った学び」といえば個別化された学び、「アダプティブラーニング」がすぐに浮かびますが、一人で学び続けるためのモチベーションの維持は大変です。 今回は、新型コロナウィルスの休校措置に、近い状況(インフルエンザ休校)が東京コミュニティスクールで起こったときに、高学年のキッズを

あなたはどうありたいですか? ーAgencyとReadinessについて考える。

いきなりですが、 「あなたはどうなりたいですか?」 小さいころは、消防士?最近だったらYouTuber? それとも、大金持ちやオリンピックで金メダルでしょうか。 多分、遠い未来に「成功した」姿を思い浮かべていたことでしょう。 でも、この質問だったらみなさんはどう考えるでしょうか。 「あなたはどうありたいですか?」 どうありたい、幸福でありたい、元気でありたい、人を大切にする人でありたい。 どんな存在(being)でありたいか。考えたことはありますか? 今日は様々な

引っ越したときに捨てた本

久々になってしまいました。数日体調を崩して投稿できてませんでしたが、ようやく復活します。 さて、遡るは今年の二月。今まで数年お世話になった高円寺から新天地へと引っ越しをしたわけです。 引っ越しをするとなると、掘り出すもの、捨てるものがたくさん。 狭い1Kの部屋に、背の高さほどある本棚と、幅広な本棚と、本棚にも収まってもいない本の山を「どうしよう・・・」と思いながら眺めていました。。。 「これは減らさなければ運搬も、新居でも困る。」 とおもい、思い切って本を仕分けする

似たような曲を探せるmusiconn scoresearch

今回はドイツのバイエルン州立図書館が提供している音楽を検索できる検索エンジン、scoresearchです。 音階を入力すると、それに類似した楽譜を出してくれて、しかもそれを視聴することもできる優れもの。 有名な「第九」を入れてみた 早速ベートーベン交響曲第9番の有名な箇所を入れてみました。 下手ながら楽譜を見て音階を入力すると、 入力した第九番がまっさきに表示されたではありませんか!すごい!! そして、この進行と同じような進行を持つ他の楽譜も視聴することができます。

なぜ近所のバラは二度咲いたのか?

梅雨の季節になって、街を歩くと「初夏」の花が開いているのを目にします。 例えば、紫や青い花を咲かせるアジサイや ピンク色の可愛い花をつけるオシロイバナ。 昔はオシロイバナのタネを分解して中の白い粉を出してよく遊んでいたのを覚えています。 今回気になったのはこの花。 そう、バラの花です。 5月に観たきれいなバラ というのも、近隣の家ではいくつかバラを栽培している家庭があり、 5月頃、「あ〜咲いていてきれいだな〜」と思いながら、毎日眺めていました。 その頃眺めてい

スキルとセンスに磨きをかける

英語を学ぶときも、プログラミングを学ぶときも、数学を学ぶときも。 重視されるのはいつも「スキル」である場合が多く、 常に「実用的」であることや、「効果的」であることが求められています。 今回は、もちろん「スキル」を身につけることは重視しつつも、「センス」の大切さについて改めて考えてみたいと思います。 スキルを身につけること例えばテニスだったら「フォアハンドストローク」「サーブ」「バックハンドボレー」など、動きを細分化させそれぞれを強化することができます。 英語でも話

問題とはなにか? ー企画とモノと発見とー

「問題」と言われると「社会問題」「地球温暖化問題」などなど、 「なにか良くないこと」だと思う場合が多い。 ただ、「良し悪し」の問題というよりも、 「解くのが難しい問題」や「難問」という風に、デザインの分野では捉えられているのではないだろうか。 イタリアのデザイナーであるブルーノ・ムナーリは、彼の著書『モノからモノが生まれる(原題:Da cosa nasce cosa)』で、 「問題とはなにか?」ということについて考察を巡らせている。 今回はこの「問題」について考え

Computational Thinkerを育てるには? 【Medium記事紹介】

過去に「プログラミング的思考」について書きましたが、今回は世界ではどのような表現がされているか、Computational Thinkingについてご紹介します。 日本でのプログラミング的思考 プログラミング的思考を再び引用すると、下記のようなものです。 「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、とい

エルゴード性の罠とスイッチ 【トッド・ローズ著 ハーバードの個性学入門】

私たちは日々「平均思考」に基づいて様々な意思決定を行っている。 では、なぜそう考えてしまうのだろうか? 暗に私たちが基づいてしまっている前提について今回は考えてみよう。 私たちが基づくエルゴード性エルゴード性とは、確率過程において見ることのできる性質で、 「ある量の時間平均が集合平均と一致する」 という過程だ。 シンプルなことばで表現されているが、これだけを聞くと頭に即座に「?」が浮かぶ。ある量の時間平均が集合平均と一致するというのはどういうことなのだろうか?

現実世界とユートピア 【エンツォ・マーリ著 プロジェクトとパッション】

工場による大量生産の時代。 私達がもっていた職業的知識を失わせ、 自立の余地もない画一化された住居をあてがわれ、 商品と広告にあふれかえり家庭生活や社会生活は貶められた。 現実世界の中で、私達には「プロジェクト」が残されている。 そんなことを伝える書が、エンツォ・マーリの『プロジェクトとパッション』です。 プロジェクトとデザイン プロジェクトは、イタリア語で「progetto」 「design」という英語に先立って使用されていた言葉であることを著者が脚注に記して