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第九話 What’s Frequency? Kenneth-R.E.M.

失われた30年。2025年を生きる若者と1995年を生きた若者に贈ります。これは僕の遺作です。

ラップパレードが成功した後、僕が作った曲を納めたCDは即完売した。

思想家の浅田彰から雑誌で、薬害エイズ事件への抗議活動とパレード自体は評価された。
僕はニューアカブームの頃、彼の『逃走論』を読んでファンだったが、

下手くそなラップ

と揶揄された。
「お前よりラップは上手いし、お前より良い音楽を作れるし、

子供大人のぼっちゃんメガネのお前より俺の方が全然イケてる。鏡で自分の顔をよく見ろ。安全圏から何も行動しないで偉そうなことを言うな‼️この何一つ世の中を動かせないインテリ野郎‼️

と逆に燃えた。

それで僕は音楽を通じて社会に訴え続ける決意を新たにした。
1995年が終わりに近づくと、僕の中では、何かがずっと鳴り響いていた。
まるで耳鳴りのような音、周波数が狂ったラジオのような不安定な音が、日々の中で増していく。
それは、僕たちがどこへ向かっているのかを問うものだった。

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