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YS 2.50 プラーナーヤーマ2: 長く繊細なものに変わっていく

ヨーガ・スートラを有名たらしめるのが、ヨガのゴールを目指す8段階を記す八支則。ヤマ、ニヤマ、アーサナときて、今回は4つめのステップ、プラーナーヤーマーの続きです。
ヨガインストラクターのもえと申します。どうぞよろしくお願いします。

※前回は、こちらの「YS 2.49 プラーナーヤーマ1: そこに流れがある」からどうぞ。


ヨーガ・スートラ第2章50節

बाह्याभ्यन्तरस्तम्भवृत्तिर्देशकालसंख्याभिः परिदृष्टो दीर्घसूक्ष्मः॥५०॥
bāhya-ābhyantara-sthambha vr̥ttiḥ deśa-kāla-sankhyābhiḥ paridr̥ṣṭo dīrgha-sūkṣmaḥ ॥

[Breath-control becomes] prolonged and subtle when its activities—external, internal, and stilled—are observed according to place, time, and number. (3)
呼吸のコントロールは、外的、内的、静的な活動を、場所、時間、数に応じて行うことで、より長く、より繊細なものとなる。

「プラーナーヤーマで吸気と呼気の動きを停止する」と書かれていた前回のスートラ。今回は各種プラーナーヤーマを、例のごとく分類しながら紹介するようです。


プラーナーヤーマの分類

①吸う・吐く・止める

これはすでに前回の解説で紹介されていますが、呼吸には、この3つの活動があります。吸う、吐く、だけではなく、止めることも、そのひとつ。

改めて書いておこうと思いますが、インテグラル・ヨーガ[パタンジャリのヨーガ・スートラ](参照2。以下、インテグラル・ヨーガ)は、「この息の保留については、われわれは慎重にならねばならない」と注意を促しています。これは、プラーナーヤーマーで扱うのは、呼吸だけでなくエネルギーでもあるため。

フォーチャプターズ オブ フリーダム(参考1。以下、フォーチャプターズ)はグルに教わりなさいと書いていますが、多くの方がインドの伝統のように学んでいない日本で、どうしましょうね。

この先生だという先生を見つけるのがひとつ。その次の練習に良さそうな方法を丁寧にトライしてみるのが、もうひとつ。あとは、最初に対面で教わった方法を続けて、〈その次〉を教えてくれる人が現れるのをひたすら待つ。この3択かなと思います。どれが魅力的に感じますか。そして、どの選択肢を選びましょうか。


②場所・時間・数


この3つについては、解説によってそれぞれの項目が違う解釈をされていたり、混じっているようです。先に書きますが、ハリーシャ(参考3)は、たくさんある呼吸法を本節1節ですべてをカバーしようと思ったら、その最大公約数を書くばかりになるはずで、それは曖昧になるよねと書いています。なるほど。

では、それをふまえつつ!


「場所」というのは、インテグラル・ヨーガは呼吸するときに意識を置く場所のこと、ハリーシャは、少し違った表現で、身体の中のどの場所に届けるように呼吸するかということだと説明しています。

フォーチャプターズは、それに加え、どんな気候の場所で、季節で練習するかによっても変わると書いています。たとえば、冬に20セットやるなら、夏は10セットにすべきだというわけです。ただ、この数の差についての説明がありません。さて、すでにプラーナーヤーマを練習している方、どう思いますか。


以下、わたしの見解です。

冬の日照時間が短くなることを考えると、3つのグナでいうところのタマス寄りなわけで、プラーナーヤーマでエネルギーを動かすことが必要だろうなと想像します。それならば、明るく、光に満ちた夏よりもより練習の回数を多くするという練習方法について、異論はありません。ただ、私はピッタ優位なので、過剰になりがちな夏こそ自分を落ち着かせるために、種類は限定しますが、プラーナーヤーマは必要。だから、いまは、わたしは、同じくらいで練習しておくのがいいだろうと思って練習しています。

これ、完全に公開自分メモですが、すでに練習していて、ああそうかもと思う方は、ぜひメモしてませんか。この記事のコメント欄を活用していただくなんていうのも、とてもウェルカムですのでぜひ。


話を戻しますが、地域や国という意味で練習をする場所が違うなら、食べるものも変わるというところまで解説しているのも、フォーチャプターズ。そして、そんな示唆を出しつつも詳細については、ハタヨガの本に書いてありますよとだけ書いています。

これはいつも読んでくださっている方向けですが、解説が割れた場合に、インテグラル・ヨーガとハリーシャが同じ解説というのは、いままでない組み合わせ。それくらい、パタンジャリの意図が読みづらい節なんだろうということです。


「時間」や「数」については、呼吸の拍数ではないかと書かれています。たとえば、吸う息と吐く息。このふたつは同じ拍数で始めるのが一般的だろうと思いますが、そこから様々なバリエーションがある。枝分かれしていく広がりについて書かれているわけです。

そのバリエーションとして耳にする機会が多いのは、吸う:止める:吐く=1:4:2ではないでしょうか。ただ、これについても、インテグラル・ヨーガは、ヨーガの本でその方法を見つけてすぐに練習を始める人がいるが、「それは健康に良くないし、危険である」と書いています。理由は、前述のとおり。


大事なことは

吸う・吐く・止めるの、それぞれの拍数について、フォーチャプターズとインテグラル・ヨーガの両方が、プラーナーヤーマをするうえで大切なのは、吸う息、吐く息、止める息の割合ではなく、プラーナーヤーマを行う回数だといいます。インテグラル・ヨーガは、そうであるなら、たとえ息を保留する時間がなくても効果は非常に高いと書いています。

そして、今回のスートラは、そういった練習を続けることによって、呼吸が長く、さらに繊細なものになっていくと書いている。


たとえ息を長く止められていても、息苦しいなど、続けられるような状態でないならば、それは八支則の次の段階として控えている集中や瞑想につなげていくことができないのは、明らかです。そこまで見通して練習してみる大事さを、思い出させてくれているようです。

落ち着いた状態でプラーナーヤーマの練習ができているならば、回数を重ねるごとに、その穏やかさが、呼吸を長く繊細なものになっていくのを想像するのは、そう難しくないですよね。だから、じゃあやってみようかねと思うわけです。


次回も、プラーナーヤーマについての説明が続きます。どうやってこの説明が発展していくのか、どうぞお楽しみに。また来週、ここでお会いしましょう。

※ 本記事の参考文献はこちらから



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もえ|渡辺朋江
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