あなたなら「どう解く?」もしも子どもに問われたら、なんて答えようか。
「大好きな家族が、一番いっしょにいられないのはどうしてだろう?」
大好きな人と過ごす時間が、一番長かったらいいのに。誰でもそう思うかもしれないね。
調査(総務省統計局)によると、家で家族と過ごす時間は3時間。学校で友達と過ごす時間は8時間なんだって。(※参照:「どう解く?」)
たしかに、家族と過ごす時間よりも、友達と過ごす時間の方がずっと長い。
一緒にいる時間が長いほうが、短いよりも「大好き・大切」ってことなのかな?
実は「家族が大好きなんだから、ずっと一緒にいればいいのにね」
と、僕は思わない。
僕にとって家族は、何よりも大切な存在で、大げさじゃなく命をかけて守れるなら守りたいって思える存在。
特に子どもが産まれて、ちっちゃくてフニャフニャな身体を抱いた時に「自分より大切な存在」をはじめて感じたんだ。
そんな娘も少しずつ大きくなって、保育園や幼稚園に通って先生やお友達もできて。もう何年かしたら小学校や中学校に行くようになる。
彼女が大きくなるにつれて、少しずつ家族で過ごす時間よりも、お友達や恋人と過ごす時間が長くなってくれたらいいなって思ってる。
それは、一緒にいない時間が「一緒にいる時間をキラキラと輝かせてくれる」から。
恋人でもそうだけど、一緒にいない時に「いまごろ、何してるのかな?」って思う時間ってとても大切。
これはね「気持ちを熟成させる」ってことだと思ってるんだ。
世の中には、できたてが美味しいものもあれば、熟成させることでより美味しくなるものもある。
好きな人ができたっていう「恋」は、ぼくはできたて熱々が魅力だと思う。
でも「愛」は、熟成させていくことでもっともっと深みがでることもあると思うんだ。
家族でいるってことは、この「愛」を育んでいくことでもある。
この熟成させている時間に、人は成長して魅力的になっていくんだ。
友達と過ごす時間や恋人と過ごす時間が増えて、家族と一緒にいる時間が少しずつ短くなっていくってのは、子どもが成長して魅力的になっていってるってことなんだと思ってる。
親子だけじゃなくて、夫婦や恋人同士も同じかもしれないね。
会えない時間に、お互いの世界がどんどん広がっていく。それが魅力になるんじゃないかな。
でも、熟成って難しくてあんまり放ったらかしにし過ぎちゃうと腐っちゃう。家族だからって安心してずーっと放ったらかしにしていると、やっぱり育んできた愛もダメになっちゃう。
だから、みんなくっついたり、離れたりしながらちょうどいい距離を探すのかもしれない。
大好きな家族だけど、一緒にいられない時間は悲しい時間なんかじゃなくて、一緒にいられない時間があるから育まれることもあるんだって、僕は思う。
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この「大好きな家族が、一番いっしょにいられないのはどうしてだろう?」という問は、「どう解く?」と言う本からの抜粋。
様々な答えのない問について、子ども達が自分で考える新しい授業。
それがこの「どう解く?」だ。
妻と4歳の娘と3人ぐらしをしているわが家も、平日はみっちり8時〜18時までは幼稚園に通っている。娘さんと過ごせる時間は朝起きてからの2時間程と帰ってから眠るまでの3時間の合計5時間。帰宅中に寝ちゃうこともあるから過ごしている時間はもっと短い時もある。
妻と過ごす時間も平日は概ね同じになる。
僕は家族の暮らし方と深く関わっていくNPOを運営している。その中で多くの家族とふれあってきた。
特に男性に向けて「もっと家族と過ごす時間を楽しもうよ」と言い続け、「ただいまって帰りたくなるような家庭にしていこう!」と言い続けてきた。
だから、この問はとても深く考えさせられるきっかけになった。
上記は、僕がもしも小学生の子に答えるとしたらどう答えるかな?を考えた答え。もちろん、この問に答えはない。あるのは個人個人がどう考えているか、だけだ。そして、それは時々で変わっていくだろうと思う。
本書ではこの問に対して、教育学者の汐見稔幸氏が答えている。
なんて答えているかは野暮なのでいちいち書かないが、それを読むだけでも本書を読んでみる価値は充分にありそうな気がする。
他にも様々な問がある。
答えのない問をあれこれ考えてみるのも楽しいものである。
【30日チャレンジDay10】