小説で行く心の旅⑥「細君」 坪内逍遥
6月といえば、ジューンブライド。「細君(さいくん)」とは昔の言葉で妻の事です。先月はジューンブライドの月だったので、明治時代のある夫人の物語をご紹介したいと思います。幸せな妻の話ではないので、一月遅らせました。
6月に結婚した花嫁は幸せになると考えられていますが、昔のヨーロッパは3〜5月が農繁期で結婚式は禁止され、解禁される6月に挙式が集中したことから、この考え方が始まったと言われています。日本でもジューンブライドの考え方は浸透し、未婚率が高くなったとはいえ先月新妻となった方