「散歩してると腰が張ってきた」を考える
最近朝に散歩することが日課になってきました。
大体1時間くらいは好きな音楽(特にウマ娘)聴きながら毎日歩いてる気がします。
日光に当たることで自律神経を整える効果もあるため始めた朝の散歩ですが、調子に乗って長く歩いてると段々と腰(L3~L5)の辺りに張りを感じて帰ってくる頃には大分腰周りの筋肉が硬くなっており疲れが溜まってる感覚がありました。
前屈をしてみると腰部の筋肉の緊張度合いが特に感じます。ひどい時はバキッと音もしてました(笑)
と言うわけで、こんな状態を繰り返したくはないので、どうしてこうなるのかを考えて直してみようと思いました。(この先専門用語使います)
1番に考えたのは、「歩行動作における股関節伸展を腰椎伸展で代償をしている」です。
まあ、股関節の動きが悪く、腰部がその分頑張ってしまうと言う腰痛持ちアスリートなどのいわゆる代表的な代償動作ですね。
とりあえず、その程で考えてみました。
「股関節伸展を腰椎伸展で代償」ここまではわかりました。
次に考えることは、どうしてこうなったのかです。
そりゃ股関節伸展可動域が低下したからだろと。
じゃあなんでそうなったのか。
とりあえず、股関節伸展可動域が制限されると言うことは、股関節屈曲筋群が硬くなってしまったことが原因かと考えられます。
トレーナーの勉強をしてる方で股関節屈曲筋群で真っ先に思い浮かぶのは「腸腰筋」かと思われます(勝手に決めつけてる)。他にもありますけど。
現代人はデスクワークなどで座っている時間が昔よりも増えました。
座ってると股関節は屈曲位になり腸腰筋は短縮位のまま動かずにいて段々と硬くなっていきますね。
※臀筋群も伸長位で硬くなりますがここでは一旦無視で。←これのせいでお尻の筋肉使うのが苦手な人が多いんだと思う笑
これが腸腰筋は硬くなりやすい理由の1つでもあります。
その結果、股関節の動き、特に伸展可動域に制限がかかり、腰部が股関節の動かない分を代償して動いてしまうため腰痛・腰の張りに繋がるわけです。本来腰椎はそんなに動いては良くない場所ですからね(Joint by Joint理論に基づきますと)。
多分ここまでは、この記事を読んでいる方(トレーナーの勉強をしている方)なら簡単にわかると思います。
「じゃあ腸腰筋のストレッチをすればいいんだ!」と普通なら思うはず。
しかし、それだけでは不十分です。
理由と共にここからが本題です。
なぜ腸腰筋のストレッチだけでは不十分か
答えはこちらです。
姿勢です。
めっちゃ頭前に出てますね。
おまけに猫背ですね。
若干お腹も出てますね。
これだけでも写真からじゃわかりにくいですが腰が沿った姿勢なんだと推測できます。
実際に自分は反り腰だと前々から自覚はありましたが・・・
要するに姿勢が悪いまま腸腰筋のストレッチをしても効果は少ないと言うことです。これから詳しく解説します。
なぜこの姿勢が悪いのか
この姿勢(反り腰、ぽっこりお腹、猫背、頭部前方位)は現代人に多く見られるスウェイバック姿勢です。
最初にこの姿勢がどのようにして出来上がるのか説明します。
まず現代人はデスクワークが多くなりますね。その際、パソコンを見ていたり、下を向いて作業したりで自然と頭が前に出たり、背中が丸まります。
その姿勢で何時間も過ごしているとそのまま筋肉が固まってしまいますね。
そして頭が前に出て、背中も丸まっている状態で立ちました。
そうすると、当然普通に立っていると重心は前の方に行きます。
このままじゃバランスが悪いと思い、ヒトは腰を反らせることでバランスを保とうとします。
はい完成。
反り腰が原因になるなど順序が逆なこともあるでしょう。(鶏か卵かみたいな)
次にこの姿勢が、散歩で腰が張ってくることと何が関係してくるのか説明します。
先ほど、腸腰筋が硬くなり歩行時の股関節の伸展が制限され、腰椎伸展でその代償をしていると説明しました。
この姿勢でも似たようなことが起こります。
結果的に腰椎伸展の代償が起こりますが、その原因が少し変わってきます。
それは、スウェイバック姿勢は股関節が相対的に伸展位になっている状態だからです。
言葉では分かりにくいと思うので図で説明します。
図を見ながら考えてください。
まず頭が前に出て猫背にもなり重心が前に行きますね。
このままじゃバランスが悪いから腰を反らせることでバランスを保とうとすると先ほど説明しました。
この時に骨盤は前方に移動してしまうため図で示した分股関節は伸展位となってしまいます。
実際に立って確認してみてください。すでに多くの人はこの姿勢だと
思いますが。
確認するために大げさに頭と背中を丸めて、その次に腰を反らします。
おへそが前に出てますよね。
この時、骨盤が前方位で股関節は伸展位となってます。
つまり、この姿勢で歩く時、股関節はすでに伸展してしまっているので歩行における股関節伸展が十分にできなくなっています。
なので伸展可動域が低下してると見立て、腸腰筋をはじめ股関節屈曲筋群を緩めたとしても効果は小さいのです。
そもそも姿勢が悪いので。
これが、腸腰筋をストレッチするだけでは不十分であることと、このスウェイバック姿勢が悪い理由になります。
スウェイバック姿勢を改善する!
散歩しても腰が疲れないようにするためにこの姿勢を直さねば!
ここからはこのスウェイバック姿勢を改善する方法をいくつか紹介します。
自分が行った方法は大きく分けて3つです。
ベーシックセブン
ストレッチ
呼吸エクササイズ
これから1つずつ説明します。
ベーシックセブン
知ってる人も多いと思いますが、ストレッチポールを使った代表的なエクササイズですね。
ベーシックセブンについて詳しく勉強したい方、実際に指導ができるようになりたい方はこちらの団体がセミナーの開催と資格の発行をしております。(自分も大学4年生の時に行きました。)
では、なぜベーシックセブンを最初にやったかですが、この種目の良いところは簡単に全身の姿勢を直したり、強張った筋肉の緊張を落としてくれるからです。
実際に姿勢が悪いと、どこどこの筋肉が硬いなどと細かくチェックをする作業をトレーナーの方なら誰でもしたことがあると思います。
ただ、自分1人だと難しく時間もかかるので、どうせならこれで手っ取り早く全身ささっと整えよう!って思いました。
実際にこれだけでもかなり姿勢は改善します。
ただ、時間が立つと元に戻りますが・・・
ストレッチ
ベーシックセブンでは緩めきれなかった大きな筋群をストレッチでしっかりと緩めていきます。
自分が主にストレッチした筋肉は大胸筋、腸腰筋、広背筋です。
これらの筋肉は硬くなるとスウェイバック姿勢を助長する原因になります。
呼吸エクササイズ
現代人の呼吸について
最近呼吸について勉強していたこともあったので、どうせだし試して見よう!と考えました。
呼吸とスウェイバック姿勢はとても密接な関係にあります。
多くの現代人は正しい呼吸ができていません。
口呼吸になってます。
正常なら鼻から吸って鼻から出しますが、その役割が口になっています。
これの何がいけないのかを説明していきます。
呼吸というのは、大きく分けて2つあります。
自然呼吸
努力性呼吸
自然呼吸とは何も意識していなくとも呼吸中枢の働きにより無意識下で行う呼吸を指します。
そして、努力性呼吸とは、運動をした時などたくさんの酸素を必要とするような場合に、呼吸筋の助けを借りて行う意識的な呼吸のことを指します。
努力性呼吸は運動してる時以外でもする時がありますが、みなさん例えば興奮したり緊張している時に息が荒くなったりすることがありますよね。
この時、ヒトは交感神経がとても活発に働いている状態です。
交感神経が働き興奮、緊張状態になるとヒトは努力性呼吸を行います。
「闘争か逃走か」
生理学の勉強をしていると、この言葉を聞いたことがあると思います。
生き物は、例えば天敵に遭遇した時に、自分の命を守るために、逃げるか闘うかの選択を迫られます。どちらにせよ、身体を激しく動かさないと天敵にやられてしまいますよね。
そして、交感神経を活発に働かせて、努力性呼吸を行いたくさん酸素を身体に取り入れて身体をしっかりと動ける状態にしようとするのです。
しかし、現代人の場合、命の危ない場面は滅多にありません。
にも関わらずに、この交感神経がずっと働いている状態になりがちです。
というのも現代人の天敵は人間関係だったり、仕事、進路の悩み、学校の課題など日常生活のなかに常にある状態になってますね。
皆さんも今挙げた天敵にストレスを感じることが多々あると思います。
ストレスも交感神経を活発にさせる因子になります。
つまり、現代人はこれらの理由から常に交感神経が活発になり、自然呼吸よりも努力性呼吸の方になりがちになっています。
では、努力性呼吸の何がいけないのかを説明していきます。
努力性呼吸のデメリット
デメリットはいくつかありますが、ここではスウェイバック姿勢と関わるデメリットについて解説していきます。
それは横隔膜以外の呼吸補助筋が過剰に使われてスウェイバック姿勢を助長してしまうことです。
ここでいう呼吸補助筋とは、斜角筋、僧帽筋上部、胸筋群、広背筋などです(他にもありますが)
これらの筋肉が過剰に使われて硬くなると猫背であったり、反り腰が直りにくくなってしまいます。
またこれらの筋肉が硬くなることで肋骨が開き、本来最も働かなくてはいけない横隔膜の機能が低下してしまうのです。これについて下でもう少し解説します。
横隔膜の機能低下
横隔膜は肋骨に付着して自らに腱付着部を持つ最大の呼吸筋です。
この横隔膜は上下に動き、胸腔内の圧力を調整して空気を出し入れしてくれますが、先ほど述べた肋骨が開いた状態だとこの機能が低下してしまいます。
なぜなら、肋骨が開いた状態=肋骨が外旋している状態は、横隔膜のZOA(zone of apposition)が小さくなり呼吸を行う時に必要な上下動が小さくなってしまうからです。※ZOAとは横隔膜の作るドーム状の可動範囲のことです。
呼吸は吸気時に肋骨は外旋、呼気時に内旋しますが、呼吸補助筋が過剰に働いていると肋骨は外旋しっぱなしになり呼気時に十分な内旋ができません。
なので、呼吸エクササイズは外旋位の肋骨をうまく内旋できるように誘導し、十分なZOAを獲得して横隔膜がしっかりと機能できる環境を作り出すことを目的としています。
呼吸エクササイズの実践
巷にはたくさんの呼吸エクササイズがあるので調べれば結構出てきます。
今から紹介するのはほんの一例です。
自分は90−90ヒップリフトをやりました。
図で示すとこんな感じです。
図のように股関節、膝関節が90度屈曲するように台か何かに乗せて寝っ転がります。
この状態で5秒かけて鼻で息を吸い、5秒かけて息を吐きます。吐き切ったら5秒息を止めてまた息を吸い込んでこちらを10回繰り返します。
息を吸って吐いている間はお尻の穴を天井に向けて、ハムストレングスと腹筋に少し力が入る状態にします。この時腰部は完全に浮かせる必要はありません。
スウェイバックはこの2つの筋肉の筋緊張が低下しているのでしっかりと収縮を感じるようにしてください。
あとは呼気に合わせて肋骨を押してしっかりと内旋できるように誘導します。
以上、自分がスウェイバック姿勢を改善するために行ったアプローチです。
こんな感じです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
正直、姿勢改善についてはまだ書き足りないものがありましたが、ここらで終わりにしておきます笑(姿勢筋緊張を調整する脳機能の話まですると終わりが見えないので、そもそも勉強中で・・・)
上で紹介したエクササイズを4、5日続けていると段々と散歩後の腰の張りも無くなってきたので効果はありました。
ちなみにこの記事を書き始めた時は散歩中ウマ娘の曲をたくさん聴いてましたが今ではNovelbrightにハマってしまいました。