宇宙と「原初火球」蔡國強
ArtoMe(アートミー)主宰のTOMMY☆です!
アートを媒介として、アートを楽しんで知っていただくことは勿論ですが、ご自身の3感(感情・感覚・感性)を知っていただくキッカケになって欲しいと活動しています。私自身、絵を描いたりしています。
写真は『美術手帖』さんから拝借しています。
さて、今回は
現在東京六本木にある新国立美術館で昨日から始まった個展「蔡國強 宇宙遊うちゅうゆう ―〈原初火球げんしょかきゅう〉から始まる」が開催されている中国人でN.Y.在住の世界的な現代アーティスト蔡國強さん(以下、敬称略)についてです。
本日2023年6月30日のニュース番組で福島県いわき市で美しいピンクの花火が打ち上げられたのを目にされた方もいらっしゃるかもしれません。このパフォーマンスは彼の作品であり〈満点の桜が咲く日〉という震災があった福島のために蔡の代表的な表現体である火薬を用いたドローイング表現です。桜並木を火薬で表現されていて、福島の人々とアーティストによって創造されたものとも言える。
日本へ留学経験もある蔡は、福島の震災にチャリティオークションを行うなど長らく日本そして被災地とその人々と交流を続けている。
久しぶりの大きな個展開催のために、アパレルのサン・ローランが協賛としてこの〈満点の桜が咲く日〉を実現させた。サン・ローランは、蔡の個展終了後の9月下旬から日本初の大規模ファッション展が同じ国立新美術館で開催する。その宣伝だけではなく、今は亡きイヴ・サンローラン自身がアートからのファッションデザイナーであって、その意図と意志を引き継いで現・デザイナーのアンソニー・ヴァカレロがファッションメゾンとしてアートを支援するという活動も行なっている。イヴが亡くなった後、多くのデザイナーがサン・ローランを引き継いでいるがアンソニーは非常にイヴの人生を含めた遺構を引き継いで形にしていると感じる。サンローランのロゴはアンソニーの前のデザイナーから変化したのだが、蔡の展覧会ポスターではイヴ時代の優美な「サン・ローラン」ロゴが復活しているのだ。ファッションとアートの相互関係とアートとしてのファッションという強い意志を感じるメゾンである。
サンローランのHPに動画がアップされているのでリンク貼ります。
白、黒(白も黒もここでは書かないが、アーティストの意図を持つ色で表現)
そして桜を表現するピンク
強さと儚さ、鎮魂と生きるという希望
あなたの感情・感覚・感性、どう受け止めますか?
ぜひ、ご覧ください!
少し話が逸れてしまったが、「火薬」を使用して表現するのは蔡独自の表現体であり表現方法である。着火して創造性を爆発させるという激しさと攻撃性と同時に着火し消えてしまう儚さや瞬間という相反する要素も含む。展覧会名「宇宙遊うちゅうゆう ―〈原初火球げんしょかきゅう〉から始まる」の〈原初火球〉は、1990年台に初めて日本での個展の展覧会名だ。火薬を用いて描いたドローイングであり、「宇宙物理学と老子の宇宙起源論に基づいて提示された宇宙の始まりを表現したと」のこと。蔡自身のアート起源とするビッグバン(宇宙開始時の爆発的膨張)であって、ここ地球では違う視点「外星人」として捉え作品へ表現していたそうだ。
とても心打たれた。激しさと儚さと美しさに。
実際に目にすると、とてもつもなくダイナミックで美しいであろう。この桜のように美しいピンク色と打ち上がった後、ふわっと風に空に舞う絵の具が散ったようにゆっくりと空中分解し広がっていく一抹の寂しさ。そして福島での痛ましい震災と多数の犠牲者への鎮魂と日々変化更新していく復興事業。日本の馴染みがある海外のアーティストが長く日本そして福島県に関わってきたことへの尽力と人情。
「東洋古来の哲学や思想に立脚しつつ、風水や占星術にもつながる宇宙、そして目に見えない世界に魅了されてきました。同時に、そうした果てしない世界への現代的アプローチとしての科学技術への興味や、現代の社会問題への感受性と省察を原動力に制作しています。」
新国立美術館HPにある展覧会についての記載。
事件や何か起きるたびに、目に見えない世界をいつの間にか極端に歪曲され恐怖で煽り危険視するようになってしまったとも言える日本。人間の「欲」と結びつけてしまったことへのある種の結果のほんの一端ではないか。
狭義での特定宗教やら目に見えない世界ではなく、元は古来から根付く哲学思想であり世界を形成する森羅万象の事由である。本来のアミニズム精神は日本で大きく喪失に向かっているのだろうか。
宇宙の一つの構成としての地球であり、一人一人の人間や動生物が存在している。
宇宙は真理から成り、今こうして生きて生かされている私たち各人もまた然りではないだろうか。
現代アートは現代社会を表現している。社会に生きる者がその表現としてアートを媒介としているからだ。AIや経済変革など大きな時代転換の今、開催中の展覧会で蔡國強から我々への熱い「原初火球」を投げられた。さて、私たち一人一人どう感じ、受け止めて行動するであろうか?
私もしっかりとこの展覧会を見て、自分がどう3感(感情・感覚・感性)が動くのかを体感したい。
お読みくださり、ありがとうございます。
では、また!