問いを磨くこと #BtoB事業開発アドカレ
自己紹介
株式会社iCAREのmaiと申します。
お気に入りサービスGlaspのアカウント:https://glasp.co/#/tomatomakimari
株式会社iCAREはCarely健康管理クラウドシステムを中心にプロフェッショナルサービスなどを展開している会社です。カスタマーサクセス・プロダクトマネージャーを経て、現在はセールス/マーケに所属しています。
プロダクトに限らずそもそも理想やパーパスを実現するためのビジネスがきちんとわかるようになりたいと異動を希望し、売り上げの立て方、マーケティングを学んでいる最中です。
なぜ製品は選ばれて、選ばれないのか
まだ健康管理システムというワードがユーザーにとっても一般的ではない頃からこの領域にいますが、数年を経て現在では『健康管理システム』に「標準的に搭載されているべき機能や仕様」の共通見解ができつつあるのかなと考えています。
このような状況においての商談では競合が揃えている機能がなければわかりやすく検討テーブルからは外れますが、他と同じ機能を揃えているだけでは価格勝負となるため一層「iCARE/Carelyとしての強み」を備える必要があり、機能面でも何をどんな順で追加するかの優先度の判断は難しいものになります。
一方で雑な見方をするとシステムは模倣可能なものでもあり、PdMとしての「これからどのような機能を備えていくべきか?」に加えて、もっと広義に「どんな強みを」「どう作っていくのか?(生み出し続けるのか?)」がビジネスとしてのお題です。
方針策定のためには自社やプロダクトが置かれている状況を正しく認識することが優先事項なのですが特に異動してからの時間は「情報を正しく得る」ことの重要性と、その実行について示唆を得る期間でした。
情報を正しく得るのが難しい理由
上記の例では「なぜうちの製品を選んでくれたんですか?」「なぜ製品を選んでくれなかったんですか?」を聞いてみたいのですが、一般的にもB2Bでのヒアリングもまた、上手く運用しなければ難しいです。理由は以下のようなものがあります。
B2Bで購買の意思決定に関わる人は複数おり、目の前の方の役割により話す内容は異なる。(複合的な意思決定がされていてその一端しか聞き取れない)
特にネガティブな情報については伝えづらく、ビジネスのやりとり上、好意的に伝えてくださることが多い。
聞き手が自分の認識しやすい理由や内容を理解しやすく、実感が薄い/理解の及ばない事象での言及は取りこぼす。(バイアス)
上記を踏まえると得た回答に対してどんな解釈を加えるのか(特に、なぜこの人はこのように回答したのかについて想像を及ぼすこと)も大事です。至近要因を分析するのではなく、究極要因を捉えることが大事、みたいなことかなと思っています。
ヒアリングはスタートでもゴールでもない
営業内での案件共有の場でも、ユーザーヒアリングのフィードバックの場でもよく言われることの一つ「事実と解釈を切り分けましょう」が浮かびます。
それは単に報告のフォーマットだけの話ではなくて、「解釈=確定情報ではない」から「解釈があっているかどうかを確定させる(あるいは解釈どおりに進めてリスクがないことを確認する)」ことが次のステップなので、「確定情報をもとに次は何するの?(どう判断するの?)」が本質だと思います。解釈にはいろんな人の視点を入れて、修正を行います。
情報収集やヒアリングでありがちなのは「聞きました」がゴールになってしまうことで、商談であればネクストアクション、プロダクトにおいてはどんな機能/仕様/設計/スコープで搭載するのか、事業においては戦略の一手と粒度の差はありつつ、エッセンスは同じなのかなと思います。
逆を返すと、「判断したいこと」が先にあり、選択肢に対していくつか判断軸がありそのピースを埋めるために質問を繰り出す(情報を集める)という所作ということになります。
なぜ製品を選び、選ばないのかという問いに立ち戻るとそれを顧客や営業にヒアリングする際、目的としては「使いやすそうだから買った(うちの製品は使いやすい製品なのだ)」「高いから選んでもらえなかった(価格が安くないと売れない)」といった示唆を得ることに留まりません。
その顧客の判断や印象は商談プロセスのどの段階で誰によって実施されたのか(なぜその回答に至ったのか)→ 本来訴求するべき強みがある場合に、それがきちんと認識されたのか、そうではない部分で認識されているのかにより開発なのか営業なのかで手の入れ先が異なる
(市場の中の)誰がそう判断したのか → 届けるべき人に届いてその結論なのか、届けるべき人に届かずその結論なのか
「次にどういった動きを取ろうか」という選択肢があり、その行動を決定するべく質問をしているので、その目的に照らすと聞き出すための適切な問いかけ方であったり、会うべき人に会うことも要素の一部です。(会うべき人、聞くべき人に聞けていることが「一次情報がとれている」ことでもあると思います。)
仮説がないから、情報が集まらない
そして最近社内で自身含めよく問われる「なんでその質問?」「聞きたいことを聞いてるだけじゃない?」とのフィードバックは、質問の文面を指摘しているのではなく、判断すべきことを持てていないよねという指摘だったりするので「仮説(選択肢)を作るほどの知識や情報を持てていない」ことが課題なのだなと思います。なので結局は一次情報を増やす他ないのですが…
また、取りうる選択肢が明確な場合は、明確な質問で明確な回答を得るべきですが、正解がない(ように思える)、抽象度が高い領域や選択肢が幾重にもあるシーンでは「そもそも何を問うべきか」という問いに対しての問いが生まれます。カスタマーサクセス、プロダクトマネージャーから今のポジションへと移動する過程でよりその差を実感しているところです。
情報を正しく得るためには、これまで書いたことに翻って「一体、自分は何を判断したいのだろう(何を考えるべきなんのだろう)」にも同量向き合う必要があります。とりわけ、事業やサービスを評価する観点はあまりに多く、ひとつの切り口でだけ良い状態を目指しても部分最適になってしまうからですね。「良い」とは何か…みたいな。
事業においては以下の記事(すごい)が示すように相互に依存する4つの要素を最適化するという考え方が仮説の幅の持たせ方としてイメージしやすいなと思います。(仮説を持つのは自分だ!という強い自意識も必要だと思います。)
まとめ
商談、協業、オンボーディング、あらゆるシーンでお話しする日々の中で「なぜ製品は選ばれて、選ばれないのか」に考えを巡らせることが多かったので、その問いを通じて学んだ、目の前の情報との付き合い方について書いてみました。
インタビューやヒアリングの方法論の目的は「正しい判断をしたい」ことに尽きますが、なんのために正しい判断をするのかという部分は突き詰めると描いている絵の大きさや、世界観からしか出てこないようにも思ったので、日々勉強ですね。
最後に採用情報を掲載しておきます!