鳥取のらっきょう屋さんのおせち談
12月も後半となり、年末の雰囲気になってきました。
らっきょう畑は、先日の寒波から雪に埋もれ、静かに冬を越す準備をしています。
今年の年末は雪が多いとのことなので、この先も降り続けると、すっぽり雪の中に埋もれて春を迎えるかもしれません。日本海からの風雪に耐えて、マイナスの気温の中、らっきょうは力強く冬を越していきます。寒暖差がある方が美味しくなるので、来年の収穫が楽しみです。
さて、年の瀬。
世のつけもの屋さんの年末と同様に、とまりのつけものも、もれなくおせちや年末年始の食材、おせち料理の準備に追われています。
おせちって、ほんと地方色が豊かですよね。私は進学の際に関西へ出たんですけど、お雑煮があまりに見慣れないものでびっくり。逆に鳥取で県外の方にお雑煮だしたら驚かれたして……笑。
特にお雑煮はふるさとの数だけ味があると言われるくらい、地域によって違うようです。ちなみに我が鳥取では、「数の子の大根おろし和え」や小豆(あずき)を使った甘い雑煮がおせちの定番です。
柔らかく似たお餅を小豆の煮汁に入れていただく、ぜんざいのような「小豆汁の雑煮」。「それお汁粉じゃん!」と思った方もいると思いますが、鳥取県ではこれが”お雑煮”です。
昔は塩を少し入れて煮た小豆汁が主流だったそうですが、現在では最初から砂糖を入れて煮たものが多いそう。味付けはご家庭それぞれ。煮汁がたっぷり入ったものから、小豆がごろごろしていて煮汁は少しというご家庭もあり。砂糖でより甘くしたり、むしろ塩派のお宅なんてのも。
我が家ではこれだけは作るというおせちが決まっていて、おばあちゃんから味を受け継いでいます。
らっきょうでつくるおせち
ご家庭それぞれのおせちの準備があるかと思います。お取り寄せするものもあれば、ご自宅でつくるものも。その中でも、今回ご紹介したいのは、「らっきょうを使ったおせち」です。
らっきょうとおせち? 合うの? ……これが意外と合うんです!
らっきょう好きの方はもちろん、普段とはちょっと違ったおせちの一品をお考えの方、ぜひ参考にしてみてください。
らっきょう酢を使った紅白なます
「紅白なます」は、紅白の水引をイメージして細く切った人参と大根で表現した縁起物。なますとは、もとをたどれば古代中国で生肉や生魚を細かくして調味料を加えた料理のこと。日本では生魚と野菜を味付けしたものをなますと呼んでいて、やがて野菜のみでお酢で味付けする現在の形になりました。
野菜を酢漬けするだけなのですが、意外と酢の配合が繊細な料理でもあります。ちょっと間違えると酸っぱくなりすぎたり。でも実は、らっきょうの漬け汁を使うと簡単にできるのです。
なにせ、らっきょうのつけ汁には、お酢、砂糖、塩がバランスよく配合! なので和えるだけで完成!!
我が家では、らっきょうも千切りにして和えてしまいます。大根とはまた違う食感が出て美味しいですよ。
疲労回復にも効果があり、低カロリーで健康にも良い紅白なます。年末年始の疲れた体には嬉しいですね。
たたき牛蒡にらっきょうを和えて
ごぼうをたたいて開くことから「開運」の意味が込められた「たたき牛蒡」。ごぼうは、地中に根を張って力強く成長することから「延命長寿」や、土地に根付くことから家族や家業が土地に根付き安泰に代々続いていくようにという願いも込められた縁起物の食材です。
関西地域はもちろん、ここ鳥取でも黒豆、数の子、そして、「たたき牛蒡が」が祝い肴三種で、おせち料理に欠かせない一品です。
さて、らっきょうの地、鳥取ならではの食べ方が、、、、
そう、らっきょう和え!!!
牛蒡と一緒にごまの和え衣でいっしょにらっきょうを和えてあげるだけなのですが、コリコリした牛蒡に、シャキシャキしたらっきょうの食感が加わって箸が止まらない一品に。もちろん、らっきょうは叩きません。
2色のらっきょうで紅白の縁起物を
おせちの定番といえば、紅白かまぼこも外せません。赤は魔除け、白は清浄を意味する縁起物です。
ただ、いつものかまぼこだけじゃ代わり映えしない……ときは、そう、らっきょうです!!!
輝くような白さの甘酢らっきょうと、ワインらっきょうの深い赤色で紅白を表現。さらにさらに、らっきょうを2つくっつけるとハート型に♡
嘘みたいな本当の話ですが、鳥取では結婚式の引き出物でも人気なんですよ。紅白でセットにして。鳥取らしい食材で喜ばれること請け合いです。
番外編:ソウフルードの牛寿し
おせちではないんですが、鳥取のソウルフード的なお肉の食べ方も紹介させてください。こちらは鳥取市内で愛されている『たくみ割烹』さんの牛寿し。
鳥取民芸の器で料理が食べられる割烹店で、牛肉を始めとしてすべて鳥取県産の食材が使われています。
で、ポイントがやはりらっきょう。敷き詰められた酢飯の上に、スライスしたらっきょうがたんまりのっています。私なんて、お持ち帰りにしてさらにどっさり追いらっきょう。
ふっくらと炊かれた鳥取牛の旨味と、らっきょうの酸味とシャキシャキした歯ざわりが絶妙なのです! 私にとっては、これぞ鳥取のソウルフードと呼べる一品です。
らっきょうは幸運の縁起物(なのかな)
いろんなところに顏を出す、我らがらっきょう。
でも、どこが縁起物なんだろう、、、、と思ったアナタ、ぜひ早口のようにらっきょうを唱えてみてください。
らっきょう、らっきょう、らっきょーう、らっきょーう、らっきーよ、ラッキーよ。ラッキー!!
と、これがらっきょうが縁起物であるという由来だそうです。(ほんとかな?)
でも、水分の養分もない灼熱と極寒の砂丘で、元気に育つらっきょうを見ていると、十分にありがたい食材ではないかと、私なんかは思うわけです。はい。
ま、由来はさておき。お酢のさっぱり感とシャリシャリの食感は、定番のおせちに一石を投じるに違いありません。いつものおせちに風変わりな一品を入れたいとき、あまったおせちをアレンジしたいとき、ぜひお試しあれ。
とまりのつけものでは、使いやすい色んなお味のらっきょうをご用意しています。ぜひあなた好みの味を探してみてください。
それでは、良いお年を!