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この本のこと

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個人的に思い入れのある本、大切にしたい本、知人が書いた本や、私がちょっとだけ載ってる本などについて書いています。
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2023年3月の記事一覧

15日間アメリカ長距離列車の旅

1996年から97年に変わる年越しの瞬間、僕はシカゴへと向かう列車の座席でうとうととしていた。サンフランシスコからシカゴへの約4千kmの道のりを2泊3日かけて走る長距離列車、アムトラックのカリフォルニア・ゼファー。僕は、15日間乗り放題のUSAレイルパスを購入し、当時住んでいたリノの駅からこの列車に乗車した。移動している間に太平洋時間、山岳部時間、中部時間とタイムゾーンが変わっていくので、だんだん現在時刻があやふやになり、気づいたら新しい年を迎えていた。年越しの瞬間、ラウンジ

『fotolog.book』に載ったピンホール写真

Instagramが世界的に認知されて広まっていくよりも前、Fotolog.netというオンライン上の写真コミュニティがあった。世界中の写真好きが集まっていて、いろんな国のそれぞれいろんな個性を持ったプロ・アマ混交のフォトグラファーさんたちの写真が見られるのが楽しかった。2002年にサービスインして以来、すごい勢いでユーザー数が伸びていった。僕が使い始めた2003年頃には、日本でもかなり話題になっていたと思う。無料会員だと、1日に1枚しか投稿ができない。なのでみんな、渾身の1

スペイン語のすすめ

アメリカに留学して、アートを学ぶと決意した時、おそらく卒業してから就職に苦労するであろうことを見越して、英語の他にもうひとつ外国語を身につけることにした。スペイン語を選んだのは、そんなに深い理由はない。単に、開講しているクラスの数が多かったのだ。アートのクラスを取りながらでも、選択できる曜日と時間帯のクラスがあったから。フランス語や中国語にも興味はあったが、スペイン語ほどクラスの数が多くなかったのでやめておいた。 最初にスペイン語のクラスを受講した時、びっくりした。初級の一

アンバサダー・マーケティング

今日は、「アンバサダー」をテーマに個人的な考えとか、体験とか、とりあえず思うところなどを書いていこうかと。 最初にざっくりとこれを書いている私「前田とまき(TOMAKI)」のことを説明すると、一応本業は「デジタルマーケティング」の代理店というところで働いていて、外資系のわりと大きな系列会社の日本にある末端の会社みたいなところで仕事をしています。もともとは、ウェブ制作会社でデザイナーからディレクター、プロデューサみたいなところを担当していて、その後プロジェクトマネージャーに転

留学してた頃に撮った写真

1994年、サンフランシスコにフィールドトリップで訪れた時の写真。ヨセミテ公園だったかな。とにかく、大きな木。 白黒で撮影したものをカラーにしてみた。留学したばかりの頃のクラスメイトと、ジオグラフィーの先生。 白黒で撮影した写真をAIを使って高解像度化し、さらにカラーに着色してみた。 ピラミッドレイクで撮った写真。一緒のクラスだったのは、留学して初めての夏学期だけだったけど、その後も卒業間際までずっと仲良くしてもらってた。時々、彼女の家にも遊びに行ったり。 友達と呼べ

梶井基次郎の『檸檬』

気づけば自宅に、梶井基次郎の『檸檬』の文庫本が3冊もあった。好きな本で、今までに何度も繰り返し読み返している。 初出が1925年(大正14年)なので、もうすぐ執筆されてから100年も経つのか。今も色あせない、名作だと思う。 最初にこの本を手に入れたのは、ロサンゼルスの古本屋だったと思う。夏目漱石の『彼岸過迄』を購入したのと同じお店だったはず。旧仮名遣いの細かい文字で、本全体がびっくりするほど日焼けして変色している。そして、この古びた本が発するニオイ。こういう本は、大好きだ

気候変動を考える市民上映会

ひとつ前の『GOOD NEWS FOR THE PLANET』の本と、記事の内容があまり合ってなかったので。あらためてこの本について書こうと思うのだが。今回はこの本のテーマの先にある「気候変動」をフックに、2019年6月に勉強会の企画のひとつとして開催した 『気候変動を考える市民上映会』について書くという、またちょっと変化球的な内容で。 そもそも、「この本のこと」という企画自体が、本について書くというよりも、その本にまつわるエピソードをメインに書くというような内容なので、完