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【悲しみの記憶を長期化させない方法】脳と長期記憶


精神障害や知能障害を持ちながら、ごく特定の分野に突出した能力を発揮する人や症状のことをサヴァン症候群と言い、自分の心や考え、行動などをうまくまとめることができなくなるような症状を呈するものを"統合失調症"と言います。

サヴァン症候群と統合失調症の人の脳に共通するのは、良いことよりも悪いこと、嬉しいことよりも悲しいことをよく記憶してしまうところです。さらに、怒り、悲しみ、恐怖などの感情が強い体験ほど、よく記憶します。

なぜ悲しいことを強く記憶してしまうのかというと、そちらの方が同じような過ちを繰り返さずに済むからです。

あまりにも強い悲しみの記憶は、トラウマや心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの発症につながり、その人を過去に縛りつけ、未来への推進力を妨げてしまいます。

長期記憶のメカニズム

側頭葉は記憶を司っており、記憶の出し入れは海馬と扁桃体が担当しています。

海馬は

主に短期記憶をおこなう部位ですが、重要な情報を側頭葉に移動させて長期記憶化させたり、側頭葉から長期記憶を引き出す役割も果たしています。

扁桃体は

主に海馬に対して出し入れする記憶を増幅させたり、弱めたりする機能を持っています。また、海馬を長期記憶が通過する際の"扉の役割"も持っており、扉が大きく開くほど、過去の記憶を強烈に思い出します。

ちなみに、香りによって記憶を呼び覚ます心理効果を"プルースト効果"と言いますが、それは、扁桃体が嗅覚(匂い)情報の処理にも関わっているから起こるのです。

長期記憶のつくられかた

脳が受ける情報は、"知識の情報"と"感情の情報"の2つに分けることができます。

"知識の情報"の例として学習が挙げられますが、それは主に前頭前野で情報を繰り返すことによって長期記憶となります。

もうひとつのは、"感情の情報"ですが、これを長期記憶化するためには睡眠をして夢を見る必要があります。

脳が記憶をする際、情報はバラバラに脳に投げ込まれますが、その情報をつなぎ合わせて整頓するのが夢の役割です。

整頓された情報は、海馬や扁桃体によって感情が増幅され、長期記憶として側頭葉に保存されますが、"夢はコントロールができない"ため、マイナスの感情が増幅された記憶になってしまう可能性があります。

悲しみの記憶を長期化させない方法

あまりに強い悲しみの記憶は、未来への推進力を妨げます。そうさせないためには、"文脈情報"を与えて前頭前野を使い、感情の情報を知識の情報へと変換していくことが重要です。

文脈とは

文章の流れの中にある意味や内容のつながり具合、と語の意味のつながりを言います。文と文、語と語の論理的関係とも言えるでしょう。

感情の情報を知識の情報に変換することは大変な作業かもしれません。時間がかかるかもしれませんし、悲しみの記憶を思い出してしまうかもしれません。

しかし、繰り返し脳に文脈情報を与え続ければ、悲しい感情の情報は長期記憶化せず、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの発症を防ぐこともできるのです。

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