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読書「人類と気候の10万年史」
福井県の水月湖の「年縞」は世界のものさしと呼ばれている。
年縞とは、湖の底の堆積物が描く縞模様のことで、季節によって堆積するものが異なるために、1年毎にひとつの縞模様ができる。そして、年縞は年代測定のための「ものさし」になるのである。なぜかというと、放射性炭素の含有量により出土品の年代を測定する際に使えるのである。言い換えると、出土品に含まれる放射性炭素の量と、年縞の各年代の縞に含まれる量とを照合することで、出土品の年代を特定できるのだ。
しかし、どのような湖でも「ものさし」になれるわけではない。条件として、湖面が波立ちにくいことが挙げられる。なぜなら、波立つことで湖底の年縞が乱れてしまうからである。そして、水月湖はそうした条件を満たしている。水月湖は山に囲まれていて、風の影響で湖面が波立つことがないのである。水月湖は世界のものさしとも呼ばれている。それくらい、世界でも波立ちにくい湖は珍しいのである。
日本の湖が世界のものさしになっていることは日本人としてなんだか誇らしい。水月湖の年縞は毎年0.7cmずつ堆積しているとのこと。千年で7mである。湖底の堆積により湖が浅くなりすぎると年縞が乱れやすくなってしまうのだが、水月湖はまだまだ余裕があるとのこと。これからも世界標準であり続けてほしい。