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カリフォルニア洗濯物語
サンフランシスコに到着。
向かった先はゴールデンゲートブリッジ。
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想像していたものより圧倒的に大きい。
そして徒歩で歩けることを現地で知る。
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晴れ渡る空の下、ゴールデンゲートブリッジを歩く。
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すぐ隣を車が猛スピードで走る。
まぁまぁ、うるさい。
その場所に行って初めてわかることはたくさんあるが、「ゴールデンゲートブリッジは歩けるけど、うるさい」
という誰もワクワクしない情報を収集することもある。
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1937年に完成したとは思えないほど立派なつくり。ちなみに名前の由来は、ゴールデンゲート海峡に架けられた橋だからゴールデンゲートブリッジ。赤い鉄門がゴールデンゲートではないようだ。
色も「赤」ではなく「インターナショナルオレンジ色」といって東京タワーと同じ色らしい。そんなクイズ研究会の人しかワクワクしなそうな情報を収集してしまう。
半分くらい歩いたところでゴールデン海峡を見下ろすと、異様な光景を見つけてしまった。
ん??何だ、あれは??
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かめもが謎の生き物と戦っている。
皆さんは何だと思いますか?
もっと詳しく観たい人のために、動画も撮ったのでYouTubeに貼っておきますね。(←暇人か)
わかりました?では、正解を教えましょう。
僕の観察眼が確かならおそらく正体はこの子だ。
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ネッシーや未確認生物を期待した少年少女の皆さん、アシカでごめんね。世の中そんなにワクワクするものばかりじゃないけど、いつか君の目でそれを見つけてね。アシカも寝てる時はかわいいね。
ゴールデンゲートブリッジを往復した後、橋近くのウォルト・ディズニー家ミュージアムに行く。
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たくさんの作品やスケッチ、インタビューなどを通して彼の生涯を知ることができる。
ミッキーもミニーもここにはいないが紙ナプキンがある。
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ウォルト・ディズニー本人が紙ナプキンに書いたという未来のビジョン。「夢見ることからすべては始まる」と言ったウォルトの夢のスケッチだ。
これを汚れた紙ナプキンと思うか、すべての物語のはじまりと思うかは人によるだろうが僕はワクワクした。
そしてサンフランシスコで2日滞在するためのホテルへ。なかなかこぎれいな「CitizenM」というシティホテルだ。
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溜まった洗濯物を洗濯しようフロントに尋ねると「ホテルにコインランドリーがないからこのサービスを使って」と1枚のメモ用紙を渡される。
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「Rinse」をネットで調べてみたら洗濯物の集荷、洗濯、配達をネット注文で即日行ってくれるサービスだった。しかし、アメリカの携帯電話がないと使えないらしい。
後から振り返れば、この紙ナプキンならぬ1枚のメモ用紙がすべての物語のはじまりであった。
仕方なく近くのコインランドリーを探すことにする。
洗濯物を握りしめて、近くを歩き回る。
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この洗濯物のせいで不審者感がすごい。サンフランシスコで職質を受けたくない。一刻も早く辿り着きたい。
ようやく見つけたコインランドリーで、自分が現金を持っていなかったことに気づく。これまでの旅でほとんどクレジットカードか電子マネーしか使わなかったので油断してしまった。
コインランドリーに必要なのはコインである。
そんな格言にもならない反省を抱きながら、ホテルに戻る。何の収穫もないまま帰るのも悔しいので、ホテルの目の前にあったレストランに寄って腹を満たす。
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美味い。めちゃ美味い。人生史上最高の骨付きラム肉を、洗濯物を見ながら完食する。
ホテルで現金を確保し、再び先ほどのコインランドリーに戻ろうかと思ったが、正直、雰囲気があまり良くなかったので別のところにしたい。
Googleマップで探すと、意外にも早く営業を終えるところが多く、結局、営業時間や評判の悪くないコインランドリーを探すと徒歩20分の場所だった。
坂の多いサンフランシスコを洗濯物を抱えながら上る。
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それにしても、こんなにも洗濯物に振り回されるとは。もはやカリフォルニア旅行記ではなく『カリフォルニア洗濯物語』である。
これを『ナルニア国物語』のように少しでもファンタジーに近づけるとしたら、ゴールデンゲート海峡に洗濯物を投げ込んで、アシカに洗濯物を洗ってもらうシーンから始めたい。カモメが靴下をくわえて飛び去るのをアシカが追いかけ、不法投棄で僕が警察に追いかけられる物語だ。
……これほどワクワクしない物語も珍しい。ディズニーの力をもってしても、これを映画化するのは難しいだろう。おとなしくコインランドリーに向かう。
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うん、雰囲気は悪くない。
だが洗濯機のメニューが多くてわかりづらい。
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リンスもスピンもしなくていいから普通に洗濯してほしい。まずは自販機らしきもので、洗剤らしきものを買う。
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4つの隙間に25セントを挟み込んでプッシュすると洗剤が出てくるらしい。昔のゲームセンターみたいだ。
そして、ようやく、洗剤を手に入れる。
洗濯物語もいよいよ佳境である。
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しかし買ってみたところで、何をどこから投入するのか分からない。Googleレンズで翻訳してみる。
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寄り添う。
すごい商品名だ。その下に「危険シート」と書いてある。
寄り添いたいのか寄り添いたくないのか、どっちなのだ。
敵か味方かも分からぬアイテムを前に、戸惑いながら中身を取り出す。
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思っていた柔軟剤とは違う。洗濯物と一緒に入れたら、ビリビリに破れて惨事を引き起こすイメージしかない。やはり危険シートだ。
するとエルビス・プレスリーに傾倒しまくったような髪型のお兄さん店員が店奥からやってきて声をかけてくれた。
状況を説明すると、半ば呆れたように僕の購入した洗剤をしばし眺め、店の奥から液体洗剤らしきものと、黄色い謎の固形物を持ってきて投入してくれた。
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結局、僕の購入したアイテムは1つも使われることはなかったが、彼はにっこり笑って「もう大丈夫」と言わんばかりのスマイルを残して店奥に戻っていった。
ついに洗濯が始まった!
太字にしても盛り上がりにかけるのは否めない。だがついに洗濯物に振り回される立場から、洗濯物を振り回す立場に逆転。思わず会心の笑みがこぼれる。
30分カフェで待機して乾燥機に移す。乾燥機はもう何のアイテムも必要としないから安心だ。いや「寄り添う」を使うのはこのタイミングだったのかもしれない。
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とはいえ、無事に乾燥。最後まで「寄り添う」に寄り添われることはなかったが、エルビス・プレスリーに寄り添ってもらえたから良しとしよう。
こうして、1枚の紙ナプキンならぬメモ用紙から始まったカリフォルニア洗濯物語は静かに終わりを迎える。
「サンフランシスコで洗濯をする時はいろいろ大変だから注意が必要」という誰もワクワクしない情報を収集して。
いや、僕は洗濯をしにカリフォルニアに来たわけではない。アップルパーク(アップルの本社)に行き、スタンフォード大学に行ってみたいと思ってやってきたのだ。
早いところ洗濯物をたたんで明日に備えよう。
(つづきは下記より)
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