【西武育成1位】「シンクレア」を知るにはまずこれを読め!
シンクレア ジョセフ 孝ノ助
プロフィール
長身から繰り出される力強いボールでゴロを量産するサウスポー。直球は最速151km/hでツーシームも織り交ぜるピッチングスタイル。変化球は特に大きく横に変化するスライダーが特徴的かつ効果的。2001年生まれということで今年の大卒世代と同世代、その中で193㎝という大柄な体格かつ左腕というオンリーワンな存在。プレイヤータイプとしてはストレート、ツーシーム、スライダーを巧みに操る左腕である広島の床田寛樹投手をイメージ。
日本人の母とカナダ人の父を持つハーフ。過去に日本のスポーツ少年団でプレーた経験があり、2014年のリトルリーグ世界選手権ではカナダ代表として選出されている。
成績&データ
今季のシンクレアの成績をまとめたものがこちら。1投球回あたり何人のランナーを出したかを表す指標であるWHIPで「0.78」と非常に低い数値を出している。四球も少ないが、それ以上に「被打率.188」に表れているように「打たれたヒットが少なかった」というところがこれを支えている。
打者を抑えた内訳を見ると半分以上をゴロで奪っていることがわかる。詰まらせたり、芯を外すことで打者を抑える投球スタイルを確立できたことが安定した活躍に繋がっている。合わせて映像を見てもらえると、ゴロを「打たせる」ボールの力強さや質・タイプを存分に発揮した登板が多かったことを理解していただけると思う。
ゾーン別被打率(左右別)
被打率の低さは左右別でも差はなく、しっかりとゾーン内で勝負できている様子がわかる。左投げの投手は左打者にアウトコースのボールの出し入れで抑えようとするケースがあるが、シンクレアの場合はそれだけでなく左打者のインコースにも投げ込める、抑え込めているというのは評価できるポイントの1つとなりそうだ。右打者に対してもベースを広く使って打ち取ることができている。
塁状況別成績
塁状況別に成績を見てみると、ランナーがいる状況でさらに強さを発揮していることがわかる。被安打も少なく、四死球もわずか3つしか与えていない。ランナーを溜めさせない内容だったからこそ、失点する確率をより下げることができ、防御率0点台でシーズンを終えることが出来た。
球種構成
球種構成はストレートが50%を占め、次いでスライダー、ツーシームという配分になっている。ツーシームは被打率も低く、空振りも一定奪えており武器としてしっかりと機能したボールになっていた。それ以上に評価したいボールはスライダーだ。まともに打者にコンタクトされておらず、空振り率も高い。「被打率.000」という結果を含め、大きな武器となる球種であることは間違いない。
球速帯
シンクレアの各球種の球速帯は以下のよう。ただし一球速報で球速が入力されたのは全414球のうち167球と非常に精度は低いため、参考程度で。
ストレートとツーシームの球速帯はしっかり重なっている。同じスピードから「真っ直ぐ来るのか」「変化していくのか」見分けづらい2種類のファストボール。スライダーは120km/h前半から130km/h中盤の球速帯でそこまで速いボールではない。くっきりと2つの山ができた。
Rapsodo Data
Rapsodo Japan様のご協力のもと、シーズン中に試合での投球データの収集を2度行った。その時のシンクレアの投球データがこちら。
一般的にストレートの場合、縦変化量の平均はおそよ40㎝、横変化量の平均はおよそ20㎝(シュート方向に変化)と言われている。(図青線)スリークォーターで投げるシンクレアの場合、ストレートの変化はシュート方向への変化が大きいことがわかる。さらにツーシームはそれ以上にシュート方向への変化が大きく、ストレートよりも沈んでいる(縦変化が小さい)。
武器であるスライダーの変化量を見てみると、大きく横変化していることがわかる。ボールによっては「スイーパー」と言えるものもあり、特徴的で非常に面白い変化球を投げている。
全登板内容
今シーズン全登板をまとめたものがこちら。チーム事情もあってほとんどが中継ぎとしての登板だったが、先発としても5回を投げ切り無失点で勝ち投手になっている。特に大崩れした内容もなく、シンクレアがマウンドに上がっているときは落ち着いて試合を観ることができた。
成績&データ、分析ほか
中俊輔(@SNaka99400680)