徳島インディゴソックス「白川恵翔」のてびき!
白川恵翔 プロフィール
地元の名門池田高校から入団した5年目右腕。読売ジャイアンツで活躍した池田高校OB・水野雄仁氏のように強いボールを投じることから「阿波の金太郎二世」の異名を取った。
プレイヤータイプとしては埼玉西武ライオンズ・髙橋光成投手や北海道日本ハムファイターズ・伊藤大海投手のように、150km/h超のストレートに加えカーブやスライダー、フォークといった完成度の高い変化球も操る本格派。
今年5月には負傷代替外国人選手枠としてKBOリーグのSSGランダースに期限付きで移籍。6月1日に行われたキウム・ヒーローズ戦では先発として初登板し、5回無失点で初勝利を挙げた。KBOで勝利投手になるのはNPB未経験の日本人選手として初のことだった。
9月20日にインディゴソックスに復帰し、21日のトリドール杯チャンピオンシップ第1戦では1回無失点の成績を納めた。
余談だが、中学野球引退後に始めたジャベリックスロー(やり投げの小中学生版)でジュニアオリンピック陸上に出場し、日本一になった経験がある。
徳島入団後、過去4年間は共に戦った仲間がNPBから指名を受けた一方、本人は毎年苦い思いをしてきたドラフト会議。それでも夢を諦めず、コツコツと地道なトレーニングも行い、しっかり自身と向き合い、成長をしてきた5年目の今季はKBOでも結果を残した。今年こそ徳島からNPBへ羽ばたく時だ。
基本成績
今季の白川の成績をまとめたものがこちら。6月にKBOに移籍したため、開幕してから2か月ほどの数字であるが、奪三振率の高さが光る。昨年も奪三振率は10点台を記録しており、5月18日の福岡ソフトバンクホークス3軍戦でも5回6奪三振0失点と結果を残していた。
KBOでの成績については後で詳しく触れるが、12試合に先発登板し4勝をあげたことの意味は非常に大きい。NPBからの指名がなくとも、確かな実力のある選手は独立リーグに少なからずいる。四国アイランドリーグでトップクラスの実力を持つ白川がKBOでも投球で輝きを見せたことは他の独立リーガーにとっても国内以外の新たな活躍の場の可能性を広げることに繋がるだろう。
条件別成績
左右別にみると、右打者に対して強さを発揮しているのがわかる。ただし、今季の四国アイランドリーグは左打者が多く、好打者も多かったことには気をつけたい。また、KBOでも対左打者(.297)と比べて対右打者(.204)と右打者には優位なピッチングができていた。
塁状況別のデータからは被長打の少なさに注目したい。打たれた31本の安打のうち長打はわずか3本、得点圏では1本のみだった。
球種別スタッツ
白川の投球を球種別に分析していこう。最速154㎞/hを誇るストレートはいわゆる空振り率と呼ばれるSwstr%も10%台と高水準。四国アイランドリーグのストレートのSwstr%の平均は7.5%前後である。およそ全体の6割を占めたストレートにしっかりと球威がある、というところをまずは評価したい。
ただ、白川の良さはストレート以上に変化球にある。スライダー、フォークでSwstr%が20%台、Whiff%でも40%台とどちらもウイニングショットにできるレベルで使えている。またカーブを含む3球種がすべて60%前後のストライク率となっており、制球面でも破綻していないことも投球の安定感に繋がっていると考えられる。独立リーグにはストレートの球速は出るものの、、、というピッチャーが多くいる中でしっかりと変化球も操れることの価値は大きい。
さらに左右別に白川のボールを見てみよう。
対右打者
右打者に対してはストレート、スライダーの組み合わせでアウトロー中心に攻めていたことがわかる。特にストレートのストライク率は70%以上、被打率は1割台とストレートで押し込んで投手有利なピッチングができていた。
対左打者
左打者に対しては全体的にストライク率が下がっている。ストレートやスライダーは特に高めに抜けているものもあり、ヒートマップのエリアが全体的に右打者と比べて広がったものになっている。ただ、カーブはストライク率が60%台に乗っており「カーブでカウントが取れる」という白川の武器は左右問わず発揮されていたようだ。
球速帯
白川の投球を球種毎に分類したものがこちら。ストレート(青)は145km/h~140km/h後半にかけて最も多く、スライダー(赤)は120km/h~130km/hのところに固まっている。カーブ(緑)は大きくそこから外れたおよそ110km/hのところにあり、打者の頭にない予想外の緩急でストライクを奪うイメージと一致する。
☆飛躍のきっかけ
徳島でどのように選手が進化・成長を遂げたのか、注目ポイントを取り上げたい。
今回、白川についてはKBOでの登板内容について詳しく見てみよう。
KBOではSSGランダース、斗山ベアーズの2球団で計12試合に先発した。6月1日のデビュー戦でいきなり5回6奪三振0失点と勝ち星をあげ、鮮烈デビューを果たした。6月21日には7回途中10奪三振と2ケタ奪三振も記録し、奪三振能力の高さも見せた。斗山ベアーズに移籍してからは苦しい登板が続いたが、8月16日の登板では8回0失点と過去一のピッチングを披露した。
さらに、四国ILとKBOでの投球内容を比較してみよう。顕著に違いが出ているのは「変化球の割合の増加」である。登板ごとに見てみると、ストレートが70%近く占めていた登板もあれば、40%を切るような登板もあり、必ずしもこの傾向通りに配球していたわけではない点には気をつけたい。
これまでストレートで積極的に押していくピッチングを四国アイランドリーグでは見せていたが、KBOでは変化球もしっかり交えていくことで投球の引き出しを増やした、というのが韓国での白川の大きな成長ポイントになる。
特に変化球の中で効果的だったのは「カーブ」「フォーク」の2球種である。球種の「失点抑止量」を定量化した「Picth Value」という指標がある。カーブのPicth Valueが7.4と高い数値を出しており、白川にとって大事な武器だった様子がわかる。フォークも被打率.200でPicth Valueが5.3と機能していた。
年度別成績
白川の5年間の活躍をまとめてみた。高卒1年目から積極的に起用され、特に3年目の2022年には急成長を遂げ、徳島のエースの名に恥じない力をつけた。最速146㎞/hで入団し、いまや最速は8km/hアップして154km/hにまで成長。体重も入団当初は85㎏だったが、現在は92㎏とパワーアップ。四国アイランドリーグとKBOでの登板をあわせてこれまで公式戦では5年間で5717球を投げており、馬力の大きさを改めて感じる。
☆1軍へのカギ
本格派右腕として2軍の先発でイニングを投げろ
成績&データ、分析ほか
中俊輔(@SNaka99400680)
10月24日(木)
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