「成長につながるブランドパーパス」ジム・ステンゲル氏基調講演メモ #マーケティングアジェンダ
現在開催中のマーケティングアジェンダでのジム・ステンゲルさんの基調講演をなんとかメモにしてみました。
ブログでの公開をステンゲルさんに快諾頂いたので、こちらでシェアさせて頂きます。
(写真を撮りつつ、メモ取りつつの、脳内で超意訳しつつのメモなので、精度が悪いのはご容赦下さい)
個人的には6年前にステンゲルさんの本を読んで、思わず自分の肩書きをCMOにしてしまった人間なので(汗)、直接講演をお聞きできて感無量でした。
ブランドパーパスというと、自分には関係ないな、と思ってしまう方が多いかもしれませんが、実は全ての企業において非常に重要な軸なんだよな、と改めて考えさせられるプレゼンテーションです。
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「成長につながるブランドパーパス」
■なぜ「ブランドパーパス」が必要で、どう活用すべきなのか?
~マーケターが成功に導くための、リーダーシップの条件とは何か~
■ジム・ステンゲル氏
2008年までの7年間、P&G、グローバルCMOとして売上2倍に
現在は、世界的企業のサポート、ケロッグやカンヌでCMOを育成
■音部大輔氏
P&G 米国本社 ジム直下のセントラルチームで働いた経験を持つ
■ブランドパーパスを学ぶためにP&Gを退職
ポッドキャストも実施中
■ステンゲル氏がPodcastを通じてトップ企業のCMOから学んでいること
・ビッグアイデアのためにちゃんと時間を使っている
・顧客と乖離しないように戦略的に動いている
・明確なプリンシプル(行動原則?)を持っている
・人々を一番に考える
(インタビューをすると、誰も財務面やマーケットシェアを語らない、人々にどんなインパクトを与えるかを語っている。)
・全員がゲームオブスローンズが好き。
■ステンゲル氏のコアなプリンシプル
顧客を感動させ、カテゴリーをリードするようなブランドパーパスを活性化できる人々は、事業成果を出し、有能なタレントも集めることができる
■成功しているケース
・Unilever
P&Gにとってユニリーバはライバルだが、この10年ユニリーバは素晴らしい仕事をしている。
環境面への挑戦も続け、業績面でも素晴らしい結果を残している。
・LEGO
一時期は苦しんでいたが、自分達の存在意義を再定義したことで見事に復活した。
・子ども達を理解することを一番重要だと定義
・イノベーションを継続する
・原点に立ち返る
・ハードルをあげていく
・パートナーシップを上手く活用する。1社だけではできない。
■失敗をしてしまったケース
・nissan
・theranos
・GE
■ステンゲルリーダーシップチャレンジ
あなたは、一貫してブランドパーパスに基づいて行動し、組織をリードするマーケティングリーダーになれていますか?
・Yesなら、どうすればもっとよくできるか考えましょう。
・Noなら、どこから始めるか考えましょう。
■ステンゲルリーダーシップチャレンジを成功させるための4つのステップ
・サミュエルジョンソン(イギリスの文学者)の言葉から
People need to be reminded more often than they need to be instructed.
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■Step #1 マーケティングを企業のブランドパーパスや戦略のために必須のものにする
■企業の パーパス、目的、ゴール、戦略 を
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■マーケティングにおいても
仕事の仕方、能力、競合優位性、文化、キャリアパスなどに反映させる
・ブランドパーパスや目的、戦略を、全てマーケティングに直接反映する必要がある
壮大な目標があるなら、リスクを取る文化が必要で、リスクを取った人が報われる文化を創る必要がある。
・P&G在職時に売上を2倍にすることができたが、それは自分が正しく目標に合わせて全ての活動に取り組んだから。
簡単に聞こえるかもしれないがこれこそが最も重要
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■Step #2 ブランドパーパスが日々の仕事に命を宿すようにする
■ブランドパーパスとは
・そのブランドが世界に何をもたらすかという上位概念での定義
・ブランドが存在する理由
・創業者のそもそもの創業理由であることも多い
・顧客や従業員を惹きつける永続的なアイデア
・ブランドパーパスはコーズマーケティングではない。
(コーズマーケティングはブランドパーパスから生まれるが、逆ではない。)
・代表的な例としてはレッドブル、任天堂、ディズニーなど。
それぞれ製品やサービスに触れるときに、ブランドパーパスも感じることができる。
■ブランドパーパスチェックリスト
・従業員や顧客のモチベーション
ブランドパーパスは、従業員や顧客をインスパイアしているか?
・首尾一貫性
ブランドパーパスは全てのタッチポイントや全てのステークホルダーに対しても命を宿しているか?
・パフォーマンス測定
事業成果において何が最も重要で、それに基づいて人々の評価ができているか?
■ブランドパーパスはキャッチコピーやスローガンではない
図の家のように考えてもらった方が良い
■どのようにブランドパーパスに命を宿せば良いのか
・Internalize your purpose
・Inspire it in others
・Implement it
社員全員がこのブランドパーパスを信じるようにならないといけない。
ツイッターのブランドパーパスは、ジャックドーシー個人のものではなく、社員全員のものにならないといけない。
ブランドパーパスは上司から指示されるものではなく、社員全員の心の中にあるものになる必要がある。
■Lexus
レクサスはパートナーも含めて、ブランドパーパスが浸透するための取り組みを続けている。
■AirBnB
To create a world where everyone can belong anywhere.
airbnbは、例えばホストが宿泊者を差別したりした場合、契約を打ち切るという姿勢を明確にすることでブランドパーパスを守り続けることを内部にも外部にも示している。
■LEGOとMGMリゾートの事例
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■STEP #3 共感筋を鍛える(共感神経をつくる)
■パンパース
・ステンゲル氏がパンパースを担当したとき、パンパースは負け組だった。
上司は「こどもの両親がボスなのではなく、工場がボスなのだと言い切っていた」
当時は両親やこどもの幸せよりも、財務的なメリットや効率性を追求していた。
・考え方を変えるために、顧客の声に耳を傾けることからはじめた。
そんなシンプルなことから変えたことで、事業の成果が劇的に変わるようになった。
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■STEP #4 勇気あるリーダーを目指そう
・「失敗を恐れる病」が組織をおかしくする
■GE Aarif Aziz
失敗を恐れる病に正面から向きあった
失敗から学ぶことを文化にすべき
GEでは、成功ばかりを社内で共有するのではなく、失敗することを奨励するために失敗を表彰することを始めた。
失敗から学ぶことこそがビジネスにおいて最も重要
■勇気のあるリーダーの7つの習慣
社内で自分達がどういう文化になっているかを議論し、どう変えるべきかを考えるべき。
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【音部さんとのQ&A】
■マーケティング組織を強くするために、個人のマーケターは何ができるか?
・良いビジネスリーダーになれているか?
事業の構造や戦略を理解しているか、競合状況や財務状況を把握しているか?
・偉大なブランドを作れる人間になれているか
組織やパートナーを巻き込んでブランドを構築することができているか?
・人々を惹きつけることができているか
チームメンバーに魅力的な人間だと思ってもらうことができているか?
■製品の便益とブランドパーパスをどう分けるのか
・パンパースのブランドパーパスは、赤ちゃんが健康に育つための支援者である。
・便益は、製品が備える機能を通して消費者の体験として実現されたこと
・ブランドパーパスはブランドの存在意義、便益は利用者からみたパーパスの体験と考えても良いかも。
■エンパシーマッスルをつけるためにまず何をするべきか?
・新しいブランドを担当する際には、まずオフィスから出て話を聞くべき
上司にこのブランドを成功させるために誰に話を聞くべきかを質問し、研究者やメディア、退職したOBなど10人ほど推薦してもらった。
・最初の1ヶ月は顧客を理解するために時間を使うべき
顧客がどのような不満を抱えているのか、どのようなことをメリットと考えているのか。B2Bであれば取引先に話を聞くべきだし、製薬会社であれば患者に話を聞くべき。
■失敗の知識や景観が次に役立つことを理解する文化を構築するために、何から取り組むべきか
・失敗を恐れるのは世界共通。
場合によっては1つの失敗でキャリアを失う場合もある。
・一部の時間や予算を、少しクレイジーなアイデアに使う挑戦をしてみるべき。
飲料メーカーで新しいトライができていなかったので、社内にある大量のアイデアをトップがコミットして推進するようにトライしてみている。
・Amazonは巨大な企業になっているが、今でも社内では失敗が許容されている。
顧客の問題を解決しようとしていることがちゃんと説明できるということが重要視されている。
■ステンゲル氏のブランドパーパス
・世界のリーダーを前向きにサポートするカタリストであろうと考えている。
※ステンゲルさんの書籍GROWの読書メモはこちら