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エミネム、スティービーと映画「8マイル」、デトロイトの旅番外編
デトロイトと言うと、オールドファンは、モータウンだけど、もうちょっと若い世代には、ラッパーのエミネム。
今回は、エミネムとスティービーの話を。
映画も観たのに、デトロイト育ちなのに、私の頭から抜けてたエミネム。笑
映画全体を、短くした、映像付き。
何となく映画の内容がわかる。
映画は賞は取れなかったけど、良い。
この映画のテーマ曲で、アカデミー賞。『Lose Yourself』
映画は20年前のデトロイト
がわかる
今の40代以下の人からしたら、今さらだよね。笑
が、ラップは好きなほうじゃない私でも、エミネムの曲は、なかなかカッコ良い曲があって。音楽があるって感じはする。何様だけど。笑
映画は、たまたま1年ぐらい前に、配信で子供たちと観た。
あの映画『8mile』はまあ悲惨だし、暴力あり、心にくるところはあった。暗いし、辛い若い時代の話で、半自伝的な内容。
デトロイトの苦しい生活の感じを、知ってみようかと感じる人には、観て欲しい映画かなぁって。
一応、ミュージカル映画?とかになってるけど、普通のミュージカルじゃない。
ラップの歌詞は、映画の台本=半自伝に沿うように、エミネム自身が書いたりしてる。
ラップの歌詞がセリフ的に、心情や状況を説明してるから、ラップ音楽がたくさん鳴るから、分類したらミュージカル的なのかも?だけど。笑
私ごときには、エミネムの高速ラップの英語は、全く聴き取れないけど。笑
実際は苦しい思いや怒りを、ラップにすることで成功したから、リアルに近い感情が、伝わってくる。
悲惨な市内の地区の生活だったから、裕福な白人が友達じゃなく、黒人とかの仲良しの友人が出来て、お互い応援もしあえたし。
仲の良い友人で、白人のエミネムを、ブラックの仲間に認めさせようとしてくれたのが、実名プルーフで。
映画の役名は、フューチャーになってる。
その彼は、実際に映画のすぐ後の2006年に、地元のクラブ内で、クラブ関係者だった、自分の従兄弟と口論になり、結果銃殺されていて。
エミネムはブレイクした後も、地元のラッパー友達を大切にしていて、プルーフもメンバーの1人。D12ってグループを作り、一緒に活動もしていた。
本人が、本人役を演じてるから、なお伝わることもあり。その後の親友の死も。
実際には、映画よりもっと前の時期、若くて身体も小さくて、ブラック系しか住んてない地区にいた。
白人による黒人差別は、たくさん観たり聴いたりするけど。
彼は黒人地区にいた白人だから、疎外され、イジメられて、殴られて半死の目にもあってたようで。
あの感じだと、ラップで成功してなければ、エミネムは今も、元気で生きてたかなぁ…ってなるぐらい、厳しい環境。
タイトル8mileの意味
映画のタイトルが、デトロイトのヤバい側と、中産階級の白人の住む、安全な郊外を隔ててる道、エイトマイルロードって通りから、付けられていて。
それは知ってた。
通り沿いに並ぶ店なんかも、怖い感じだったり、よろしくない感じらしく。
8mileを超えて、北側の裕福な暮らしのために、ラップで何とか成功しようとする、青年の話。
彼は高校もやめざるを得ず、実際も映画でも働いてたのは、自動車のプレス工場。
白人のラップなんて、ラップじゃない!ラップは黒人じゃなきゃ!って、音楽界の差別に、実力で抗った話でもある。
リアルなデトロイトは
わからないけど
あの映画の、街のあれこれを観てたら、ヤバさは凄く感じたなぁ。今も、環境はそう改善は、されてない様子で。
まさか、その近くに行く日が来るとは、全く思ってなかったけど。笑
今回、広域の地図を見たら、ちゃんと8マイルロードって書いてて、道路の南側から、ミッドタウンの端のアリーナあたりの、南のダウンタウンの手前までが、危ない地域みたいで。
彼は北側に、行きたかった。
映画はもう20年前のだし、撮影は実際のデトロイト市内以外の、近郊で撮られた部分も、多かったようだけど。
街の様子も、そのままじゃない感じだけど。実在するクラブや、閉まった店も使ってたらしく。
未だに特に市内の北東地域は、犯罪や殺人事件も多発してて。
廃墟のような場所では、家が1💲で売られてたりもするようで。
そして、今でも郊外に住む人たちは、ダウンタウンに行く時、スポーツや音楽のイベントがある時は、なるべくこの道を通らないようにしてるらしい。
ハイウェイを使って迂回したり、どうしても通る時は本気の覚悟で、突っ切るような、交差する道を渡る時でも、そんな意識なようで。
この8mileロードは、未だにそんな境界線では、あるみたいで。
映画撮影の時、若かったあのころのエミネムは、色々カッコ良かったのは確か。
今や50歳を過ぎ、ちょっと太ったおじさん風な、見た目になってるけど。笑
まあ、この人も、グラミー賞もアカデミー賞も、エミー賞まで取ってたとは。色々な揉め事や、騒ぎはあったけど、成功者だし。笑
今、映画から20年経ってるし、描かれている彼の若い時代は、その10年以上前だけど、悲惨な暮らしや育ちをしてる人は、まだまだ世の中には、いっぱいいる。苦しい人には刺さる映画かも?
が、彼にはラップが、音楽があったから救われた部分があるから、そんな何かを見つけられなくて、苦しい人にはむしろ辛いかも?もある。
今もデトロイトには住んでいる
エミネムは、無事8mileを超えて、郊外の特定の人しか入れない、警備員付き高級住宅街の豪邸に、住んでいるみたいだけど。
曲は、仲間とやってるグループ、D12の『My Brand』
「デトロイトは、自分の場所だから離れない」って、発言はしてるようで。
ロスに家を買ったとかの情報もあるし、ずっといるのかはわからないけど。
何年か前には、そのセキュリティが高い家に忍び込んで、エミネムを殺す目的の、侵入者がいたらしい。気づいたら、寝てた部屋に、男がいたらしく。
昔、そんな生活を送ってたし、相手が特に武器を持たない犯人だったのもあって、エミネムが穏便に、自宅から警備員のところまで、連れて行ったとか。
さすがな度胸だなぁ!って感じはする。笑
そして今も継続的に、デトロイト市の子供たちだったりに、寄付をし支援もしていて。
最近では、私が行ってた時期には、ハリス候補のデトロイトの集会にも、参加してたし。
そして、お金が入るたびに、これが最後の収入かも知れないって、毎回考えてるらしく。
成功して、金銭感覚がまるで変わってしまう人が多い中、必要な物以外にはお金を使わないって考え方には、ちょっと好感が持てる。
豪邸を買ったのも、自分のような暮らしを、娘とかにはさせたくなくて、安全で安心な環境を、優先させたかったのが理由らしい。
その娘は優秀で、大学も出て、大学で出会った良い男性と結婚。
来年子供も産まれるらしく、エミネムは私より先に、おじいちゃんになる。笑
両親や妻には、恵まれなかったけど、娘たちを育てたのは、立派かなぁ。
ネグレクトは、連鎖するって話もあるけど、自分がして貰えなかったことを、子供たちにやってあげられるのは、何よりの贈り物かなぁって。
アメリカで生きること
今回、デトロイトのヤバさは、実感しないままだけど、感じたことはあって。
何よりアメリカで生きていくには、お金がかかるなぁって。
今回の旅で、Uberの料金やら、ハンバーガーの値段とかを、いちいち書いたりしてたのは、高さを感じて欲しい、それもあって。笑
日本だと貧しくても、貧しいなりに暮らす選択肢はある。安売りになってる、50円のうどんで、食事を済ますことも出来る。
治安が良くないって地域に住んでも、歩いて帰れないとか、家がしょっちゅう泥棒に入られたりはしないし。
銃殺されたりは、しない。
まず、普段全く意識しなかったけど、安全にはお金がかかるってことを、考えさせられた。
危ないから、Uberの良い運転手さんを見つけて、歩ける距離でも乗っていくだけで、かなりお金が必要。
空港の送迎と、アリーナ一回で、合計100💲近い金額。
今回3日目は、アリーナへは行き帰り歩いた。実際、昼間は大丈夫だし、GUCCIもあるし。笑
思い切って歩いてみた。やっぱり最後、ダウンタウンの川に近づくにつれて、最後の1キロ弱は人が誰もおらず。
人がいなくても、隠れた場所から出てくるとか、車から銃で発泡されてたら、恐ろしいことになった可能性も、なくはない。
長期で住むなら、安全のためにも、車が必要になってくる。地下鉄やバスのある場所でも、料金なんかも、まあまあする。
バスも、うかうか寝てられないから、ちょっと遠くに行くには、飛行機代もかかったり。東京ー大阪ぐらいの距離でも、飛行機代が、片道4万円以上だし。
家賃は、ニューヨークなんかの大都市以外だと、日本より安いかも?だけど、安全に暮らそうとしたら、自衛するしかない社会。
日本の税金や、その他の上がり具合や、使い道には私も文句はたくさんあるけど。
が、個人で自衛じゃなくて、税金で治安を守ってくれてる、日本の警察その他の力のありがたみを、アメリカで凄く感じたかなぁ。
今のアメリカだと、最低限の衣食住に車で、かなり生活するコストが高い。暮らすには大変な国だなぁ…って。
もちろん、お給料も稼げる人は、かなり稼げるようで。
知り合いの子供さんは、大学の博士課程の授業料のために、3000万円近いローンを組んだ。
院生だから高いのかも?だけど、1年で1000万円って、学費の高さにもビックリだけど。学生にそんな金額を貸す、銀行にも驚き。笑
それを、卒業して3年間で完済したらしくて。ちょうどこれから伸びる関連の分野で、かなり良い給料の仕事があったらしいけど。
最低限の生活コストが高いから、お金が無い人、チャンスを掴めなかった人は、ずっと貧しいまま。
記事にも書いたけど、ちゃんと読み書きが出来ないと、就ける仕事も決まってくるし、低賃金。
負のサイクルの怖さを、垣間見た感じで。
日本もシングルマザー家庭とか、苦しくて、そんなサイクルにハマりつつある人もいるのも事実。
私が子供のころには、まだ貧しい家庭もあったけど、希望は見えてたかなぁ。
戦争で夫を亡くしたような、シングルで苦闘するおばちゃんたちも、逞しかったし、周りも応援する意味で、魚や野菜なんかをそんな人から、買ってたり。
負の連鎖は、本当に恐ろしいなぁって。 次世代に、繋がっていくから。
白人に広めたスティービーと
黒人に認めさせたエミネム
で、奇しくも、2人は違う側から、壁を壊した人でもあるかなぁって。
白人にブラックミュージックを、メインストリームで認めさせて、聴かせて、根付かせた象徴が、スティービー。
ライブも4割近くは、白人だったし、若い世代の子も来てた。
エミネムは、黒人の世の中に対する不満や、生きることの辛さを表現したラップの世界で、白人だけど、今や世界的にも1番認められて成功してる。
白人にも、ラップが出来るって、証明した感じ。
この2人のホームが、どちらもデトロイトってところに、縁なのか不思議を感じる気がして。
人種隔離で、居住地域を決められたことや、仕事の内容の差別から起こった、今のデトロイトの都市問題。
市内の人口が、減り始めたか?の時期に、引っ越してきたスティービーと、完全に市内が空洞化した時代に産まれて、デトロイトと他の地域を、行ったり来たりして、引っ越しばかりだったエミネム。
2人の共通点と違い
2人の共通点と思われるのが、どちらもシングルマザー状態だったこと。
まあ前に書いた、デトロイト市内のシングルマザー率の高さから、想像はつくけど。
スティービーの母が、何故夫を残してデトロイトに引っ越したかは、私は詳しくは知らない。
お母さんは、産まれてから成功までを、本にしてるけど、読めてないし。
そして、黒人の上に、ほぼ目が見えないと言う、ハンデもある。
一方のエミネムの父は、彼が産まれてすぐ、家族を捨てて出て行った。
違うのは、スティービーは、母親の愛情を受けて育った。
が、エミネムの母は、薬物やアルコールの問題を抱えて、まあネグレクト状態。
むしろ、彼が弟の面倒をみながら生きた、ヤングケアラー的だったこと。
後に母との確執や元妻を歌詞にして、母親から、元妻から名誉毀損で、訴えられたりしてるけど。
彼女らは、お金目当て?な感じで、益々エミネムは気の毒な感じだけど。
もう一つは、スティービーは、母親から多分たくさんの愛情も貰い、幼いころから、音楽の世界で成功した。
エミネムは、娘が産まれたことで、この子にオムツも買ってやれない生活から、抜け出すために、絶対に音楽で成功するしかないと考えて、本気で音楽と向き合った点。
2人は違う部分も、たくさんあるけど、結果成功した。
で、改めて感じるのは、子育てで大切なのは、何を置いても、やっぱり愛情だなぁ…も。
曲はエミネムの『Without Me』
もう一つの共通点
私が個人的に、もう一つ共通点があるって、考えているのは、2人はアプローチの方向性は全く違うけど、音楽で世の中を変えようと、考えて行動していること。
スティービーは、セルフプロデュースを始めた時期以降、度々政治や世の中に対する、メッセージ性のある曲を、発表し続けている。
今回のツアーも、多分にそんな意味合いがあるのは、よくわかった。
日本人ギタリストとして紹介した、中村陽平さんも、「スティービーは、本気で音楽で世界を変えようと考え、行動している」と、インタビューで答えてもいるし。
エミネムは、家族に対する攻撃的な歌詞もあるけど、世の中に対する感情や理不尽に立ち向かう、歌詞や発言を続けているし。
私には、彼の英語はちゃんと、聴き取れてないけど。笑
ビッグネームになり、お金を稼ぐと姿勢が変わったり、柔らかくなる人もいるけど、エミネムはエミネムらしく、あまり変わらず、言いたいことを言っている姿勢も、支持されている理由かも?
音楽で世界を変えようとして、若くして病気で亡くなった、ボブ・マーリー。
音楽で、本当に世の中を変えられるかは、私にはわからないけど。
音楽には、人を動かす力はあると、感じてはいる。
デトロイトに行っただけで、端っこを覗いただけで、私にこれだけ色々と、書いてみたくなるような、何かはあるかなぁって。笑
デトロイトが産んだ
ミュージシャンたち
デトロイト生まれだと、ダイアナ・ロスとかこれまでに何人かは、紹介してきたけど。
野外劇場に名前がある、アレサ・フランクリンも、各地を回りながら、小さいころから、デトロイトをホームにして来た人。彼女の人生も、色々と壮絶だけど。
ちなみに、スティービーワンダーは、既に通りの名前になっていて、表示もされているのは、ちょっと驚いた。
まだ生きているウチに、壁画だけでなく、通りに名前がつくとは…だった。笑
この調子だと、多分そのうち、エミネムの通りも出現しそう。笑
他にもスモーキー・ロビンソンや、フォートップスも、デトロイトの人。
白人でも、スージー・クワトロとか、グレン・フライ。
最近の人だと、前に紹介したマイク・ポスナーとかもいる。ポップス系だけど、ラップとかもやる人。多分白人。
ポスナーは、なかなか面白い感じの人で。
数年前には、何故か徒歩でアメリカ縦断をしてる最中に、ガラガラ蛇に噛まれて、緊急搬送されたとか。
ほんまに、アメリカの道端に、ガラガラ蛇がいたんか!ってなったけど。笑
で、彼はあの坂本龍一の名曲を、サンプリングした曲を、リリースしてて。
あの映画「戦場のメリークリスマス」の『メリークリスマス、Mr.ローレンス』に歌詞が付いてる。
ラップ関係だと、今注目されているのが、
ティー・ディリジリー(Tee Grizzley)。
今後、実際には、彼がどう生きるのかは、わからないけど。
自分の母親が薬物所持で逮捕されたり、
上の年代の人が、薬物や暴力、銃などで亡くなっていったのを見てきたから、自分はそう言うことはしない、って発言しているようで。
エミネムも母親を見ていて、違法薬物とかには手を出さなかったけど、処方されてた睡眠薬の依存性になり、リハビリ施設に入ったりはしてるし。
周りに、色々ある環境だと、意思が合っても、なかなか貫くのは、大変なんだろうけど。
ちなみに、エミネムの依存性治療の、助けになったのが、エルトン・ジョンらしく。
彼も自分が依存性になったから、他の人を助けたようだけど。エルトン・ジョンの好感度は、私の中ではかなり上がった。笑
今も分断の境界でもある、8mileロード。
国の分断が言われているアメリカで、黒人と白人の違いはあっても、同じような方向を向いてると感じる、スティービーとエミネム。
日本には、そんな境界線は、出来て欲しくない。
バスケの帰りに見た、ブラック男子と小さな白人女子のカップルのように、皆んなで手を繋いで、暮らせるような街になると良いなぁ。
アリーナでは、皆んな和やかな雰囲気だったし。ブラック系もホワイト系も。
いつか、何十年、100年とかかかるかも?だけど、8mileロードが、融和の象徴の通りになると、良いんだけど。