異国での育児ー言葉と文化の壁から見えたこと
現在、アメリカを中心とした海外に住んでいる方を対象に、離乳食セミナーを行っている、Tokoです。
2023年に離乳食アドバイザーという資格を取り、活動をスタートさせました。
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アメリカで生活をして気づいたのは「多様な選択肢」があるということ。
たとえば「食」について、多民族国家ゆえ、ビーガン、ベジタリアン、ハラル、オーガニック…などとにかく選択肢が多いのです。
選択肢があることは同時に迷いも生じますが、わたしにとってこれはメリットと考えています。
この選択肢の豊富さは、赤ちゃんの食育ともなる離乳食においても同様で、いろんな文化の人々が暮らすアメリカでは食材はもちろん、方法にも選択肢があります。
これまでの経験や気づきから、当方が運営する海外在住頑張るママのための離乳食教室では以下の想いをもって、異国で育児を行う方々のサポートする活動をスタートしています。
今回の記事では離乳食アドバイザーとしての活動の経緯と実際活動を始めてみて感じたことを残したいと思います。
ニューヨークでのはじめての育児
親の助けを借りずの異国でのはじめての育児は、意外にも順調で子どもが少し月齢が上の友人がおり、いろいろと教えてもらうことが多かったり、小児科への定期健診も毎回夫同伴で行くことができたので、不思議と言語の壁もそれほど感じずに楽しんでいた。
異国での育児で感じたことー言葉の壁
ところが生後4か月頃、夫の長期出張中にはじめて息子が風邪をひく。
ひとりで看病をしたときの不安、孤独は今でも覚えている。
鼻詰まりが苦しそう、目がとろんとしている、熱はそれほど高くないけど身体がいつもより熱い気がする。
夫不在ではじめて小児科へ行くことを決意し、まず予約の電話。
息子が具合悪い中絶対に行くべきなんだけど、もう言葉で言い表せないほど気が重い。
話しはそれますが母国語でない言語での電話って本当に苦痛(わたしだけ?)。
めちゃめちゃ早口だし、一方的にものすごい量を話される。
これまで何度「Could you speak slowly, please?」と言ったことか。
なんとか、かかりつけの小児科に行き簡単に症状を説明したら、
「ただの風邪だから様子見で大丈夫。熱が39℃超えたらまた来てね」
とのことでその日はそれで帰される。
あっという間の出来事で帰り道、もやもやとした不安と突然の罪悪感に襲われる。
「これが日本だったら、どういう対応だったのだろう?」
「うん、うん。とやや反射的に頷いたけど、本当にわたしは医者が言っていたことを理解していたのか?」
「あれ、そういえばなんて言ってたっけ?」
苦しんでいる息子のことがいちばんなのに、何か大事なことを聞き逃してしまっているような感覚。
間違ったことをしてしまってないかの不安。
そして理解できるまでちゃんと聞き返さないと。
命をかけて産んだ子どものために、唯一無二の母親として子どもを幸せにできるのは私だけなんだから。
などと思ってしまい、すごく落ち込んだ。
言語の違いはもちろんのこと、病院に行けば薬を処方してもらえるという日本の安心感をどこか期待していた自分もいて、ここではじめて異国での育児の壁にぶつかったような感覚になった。
そして次は離乳食で文化の違いを目の当たりにすることとなる。
異国での育児で感じたことー食文化の壁
体調を崩してしまって少し遅れた息子の4ヶ月検診。
予防接種をして、医師からそろそろ離乳食だねーと。
そこから始める目安や離乳食初期におすすめの食材、注意するべき食材について医師が止まることなく話した。
なんとなく聞き取れたのは
•4ヶ月から始めてもいいけど急ぐことないから6ヶ月でいいよ
•最初はアボカドとかバナナから始めるといいよ、その次は〜‥(永遠と続く食材説明)
•アレルギー食材はさっさとやってね。とくにピーナッツ!
•はちみつは一歳になるまであげないでね
•ホットドッグやポップコーンで窒息死する子供が多いから気をつけてね
ということ。
ここでも上記同様、自分の情けなさを実感とともに
「え、アボカド…?って赤ちゃんが最初に食べれる食べものなの?」
「アレルギー食材って卵とかだよね?ピーナッツ??」
「ホットドッグやポップコーンについて、生後4か月で説明されるとは!さすがアメリカ!!!」
などと食文化の違いに直面したのだった。
帰宅後、そういえば、と思い義母が送ってくれた日本の離乳食をひらいてみた。
読んでも読んでも離乳食の開始に「アボカド」なんていう文字は出てこない。
食材の進め方、さっき聞いた話と違う・・・!
小松菜、しらす、ひらめ?どこに売っている?
アレルギー食材のところにピーナッツの進め方なんて書いてないぞ・・・?
アメリカで日本のように進めていくことは、もしかして難しいのか。
ここで大きな不安や疑問にぶつかり、アメリカで離乳食を進めていくことに不安を感じた。
そして心のどこかで異国にいながらも「日本」にバックグランドを持つ人からアドバイスをもらいたい、とモヤモヤした気持ちが生じていた。
離乳食アドバイザーになってから
上記の経験から、
・もしかして同じようにこの「モヤモヤ感」を感じたことがある人がいるのではないか。
・私が「日本」にバックグランドを持つものとして、異国での離乳食をはじめとした育児に対して、疑問を抱き悩む人々を救えるのではないか。
・「食」という場面だったら、自身の食品メーカーでの経験を活かせるのではないか。
と思い、まずは離乳食を軸に発信してみようと決意。
Instagramを立ち上げ、母子栄養協会の離乳食アドバイザー養成講座を受講し、資格を取得した。
そしてInstagramでは自分が想像していた以上に、開始当初から反響の声が寄せられた。
こういった共感や応援の声は、今もなお、海外での離乳食に関する情報を発信する原動力となっている。
始めはちょっとやってみようかな、くらいの気持ちで始めたInstagramでは現在800名を超えるフォロワーとなり、セミナーやお話し会などまだ数回の開催にも関わらず、すでに50名近くの方と繋がることができた。
ありがたいことに中には妊娠中や生後すぐにご受講いただき、その後離乳食が始まってからまた受講をしてくださる方も。
さらにありがたいことに一緒に活動できる仲間もできた。
「食」という軸から少し裾を広げて、アレルギーの症状のお話しや体調不良時の対応・病院受診について、そしてアメリカでの乳幼児の歯のケアについての発信も行っている。
育児においても言葉や文化の違いに直面するが、でもそれは、
・日本の良さに気づき尊重できること
・いろんな情報、選択肢を得ることができ、自分や家族にあった方法を選択できること
というメリットでもあることを、今後も伝え続けていきたい。
長くなりましたが今回はここまでとします!
読んでくださったみなさま、ありがとうございました☆
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