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WHERE OCEANS MEET マベル ポブレット展

私はまだキューバに行ったことがない。そこは言葉も、文化も、気候さえも私の知っている世界とは違って、全く未知の世界だけれど、そこにある海は普遍だ。例えそこには私の知らない “青” があったとしても ー いやきっと、あるのだろう。あるに違いないけれど。

女性が、きらきら光る水面みなもの海に浮かんでいるように見えるインスタレーション。緑に近い青が、澄んだ海を想起させる

この展覧会の内容を垣間見た時から、私は即座に行くことを決めていた。その理由は、“青” にちなんだもの - つまり、“海” がテーマだったからだ。

作品を見始めた当初、私はこのアーティストをヨーロッパ出身だと信じて疑わなかった。

なぜかと言えばそれは、彼女の創造する “青” が、私がヨーロッパで見た “青” にとても近かったから。

ヨーロッパの “青” についての話

本展では全体的に照明が落とされて薄暗い演出がされていたが、それらときらきら光るインスタレーションや、ビデオの音も相まって、まるで海の中(もしくはそれはまるで子宮の中のような)にいるような気分を感じられた

けれど彼女の出身地はキューバだった。想像だにしなかった場所だけに、私は戸惑った。キューバはいろいろな意味で旅行地としては魅力的な土地で、しかしその遠さゆえ、私はこれまで現実味を帯びて渡航を検討したことはなかったけれど、初めて真摯に、この土地に好奇心を感じた。そして、このアーティストへの興味と好奇心と、高揚感も同時に。

マベル ポブレットが織り成す様々な “青”

デザイナーやアーティストの感性が自分の何かと触れ合って、そしてそれが、自分の何かとかみ合う時、それはたまらなく気持ちよくて、私はとてもすてきな気分になる。

私たちは人生という大海原おおうなばらをいつも泳いでいるけれど、そこで揺蕩たゆたう何かに出逢うのはいつも奇跡で、そしてそれは、とても尊い。

私はこの展覧会でまた新しい “青” に出逢ってしまって、その奇跡はまた私を海へと向かわせるようだった。どうして地球にはこんなにたくさんの “青” があるのだろう。そしてなぜこれらの “青” はこんなにも美しいんだろう。私はどうしてこのいくつもの “青” に魅せられてしまうのだろう。

私のパレットにはまた一つ新しい “青” が増えて、私はそれをとてもうれしく思った。

マベル ポブレット(Mabel Poblet)の同展覧会はちょうど今日(2023年5月14日)閉幕した Kyotographie でも巡回していたそう。

私は残念ながら行かれなかったけれど、このアーティストの作品に出逢えたことをとてもうれしく思った。そしてまた見知らぬ “青” に出逢いたい、とも思う。自分の知らない何かを見つけると、人生と、私たちの感性の泉は、さらに豊かなものになるだろうから。

WHERE OCEANS MEET マベル ポブレット展
シャネルネクサスホール公式サイト
https://nexushall.chanel.com/program/2023/mabel/

※ 挿入されている写真及び画像、動画コンテンツはすべて筆者によるものです。また、施設等の情報は、当記事執筆時点(2023年5月)のものとなります。
※ 本展覧会は東京・京都にていずれも会期終了しています。

(Tokyo, 13 March 2023)

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Toki Minami
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